アートフェア東京のFAT Collectionに2年連続でノミネートされた、岩手県盛岡市にて活動されているアーティストの松嶺貴幸さんの個展に行ってきました。会場は仙台市の倉庫街である卸町にあるGallery A8T。

 

松嶺さんはスキー競技の際の怪我による頸髄損傷で肩から下が不随になる障害を負うも、デジタルアートなど様々な手法で作品を発表しているアーティストです。

 

 

 

 

 

まずこちらの絵画は、まさにそのデジタルアートなんですが、日本画的な作風で有機物である花と無機物である機械の部品が融合した、その対比の組み合わせがクールです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やはりご自身の怪我が作品にも反映されているのか、絵画にせよ立体にせよ「首」から何かが生えているモチーフが印象的です。

 

 

 

 

 

 

 

こちらは、シリンジに充填した絵の具をカンバスの上に重ね、それを爆竹で爆発させて描いた「Blast Painting」。一見ジャクソン・ポロックのアクションペインティングにも似た作風に見えますが、ポロックが文字通り体のアクションで絵の具を飛び散らかしたのと異なり、爆竹という「爆薬」の爆発力で絵の具を飛び散らかしているという、より”偶然”の力が作用している作品です。

もちろん、どんな色の絵の具をどれだけ、どこに出すか、何色と何色の絵の具を組み合わせるか、松嶺さんの綿密な計算のもと製作されてはいるのですが、それでも爆竹がどう爆発するかは火を付けてみなければ分からない。まさに爆竹とのコラボ作品とも言えます。

 

1人のアーティストの個展なのに、手法も作品ジャンルも作風すらも様々で非常に見ごたえのある展覧会でした。