任天堂の歴史をアメリカ人がアメリカ側からの視点で描いた任天堂の歴史書のような本で、同社のアメリカでの軌跡を知ることができます。ちなみに原著タイトルは「HOW NINTENDO CONQUEST AMERICA」(アメリカはいかにしてアメリカを征服したか)。

日本人からすると任天堂がどういう会社で、どういう経緯でデジタルゲームに参入し、これまでどんなゲームをリリースしてきたかは一般常識的に知っていますが、では任天堂が海外展開、特にアメリカに進出するときにどのような戦略をとったのか?実際どのように市場に迎え入れられたのか?ヒットを飛ばした後にどんなことがあったのか?当時のアメリカ国内のゲーム業界やゲーマーコミュニティの雰囲気はどうだったのか?はイマイチよくわかりません。本書では、任天堂を取り巻く”アメリカ”がよくわかる内容でした。

 

しかし問題がないわけではありません。それは、筆者が情報源としてWikipediaをはじめとするWeb上にある情報を一時情報に記事を執筆していることです。なので任天堂の企業情報や経営陣に関すること、つまり日本側の情報について不正確な点が多いのです。またこれは筆者本人の(日本に対する)憶測や思い込み、認識間違い、無知ではないか?と思われる箇所も多く、あくまでも「アメリカ人が書いた日本企業に関する本」であることを念頭に読まなければなりません。

 

本書はNintendo 3DSのリリースのところで終了しており、Wii Uの失敗とSwitchの成功については触れられていません。それでも、任天堂という企業と同社がリリースしたコンソール、各種ソフトがどのようにアメリカの市場に受け止められ、浸透していったかを伺い知ることができます。正直ゲーマーにとってそれ以外の部分は常識レベルの情報なので新しい発見はありませんが、子供の頃からリアルタイムに歴史を知っているアメリカ人が執筆した記録としては貴重だと思います。