最高過ぎる本を借りました。内容以前に存在自体が美しい科学書シリーズ「アルケミスト双書」ですが、仙台市民図書館は厳密にジャンルで仕分けするスタイルなので残念ながら書棚のあちこちに散らばっており、何かのついでに見つけるしかありません。ジャンルで分けるか、シリーズで分けるか難しいところです。

 

本書はその題名から一見数学的論理を解説した本のように思えますが、実際の内容は基本的な幾何学の知識(中学高校の数学程度)と幾何学模様の歴史および美しさについての本で、著者も数学者ではなくデザイナー。そのせいか視覚に訴える要素が強く、読んで楽しむというよりも見て楽しむ絵本や画集のような魅力も兼ね備えた本でした。とはいえ学問的なことが何もないかというとそうでもなく、それどころか幾何学を起点に物理学、哲学、宗教学、考古学、民俗学、美術、建築学、天文学、音楽とありとあらゆる分野に広がっていき、ページ数こそ少ないものの情報の密度が非常に高く読み応えがありました。

 

円から突然旧約聖書に飛んだかと思えば…

 

 

 

プラトンへ飛び、さらに新石器時代の遺跡の話になり…

 

 

ピラミッドから建築、そして天文学へ。

 

 

地軸の傾きと宗教画の人物描写の共通点と、この世の学問は全て繋がっているのだと実感できます。

 

 

教会建築がただ美しさを追求したのではなく、窓枠から天井装飾まで全て綿密に計算され、安全性と美しさ、宗教上の意味を全て兼ね備えたデザインになっていることも分かります。過去の職人たちの技術と知識、そしてセンスがいかに卓越したものだったか。だからこそ今までずっと残っているんですね。

 

紀元前の時代から既にコンパスがあり、ちゃんと計算してデザインを作り、それを生活の中に取り入れていたという事実に歴史のロマンを感じます。
 
本書は実用書ではなく、アートな装丁と内容の教養書と言えます。それはこのアルケミスト双書の他シリーズ全体にも言えることかもしれません。果たして仙台市民図書館で他のシリーズ本に出合えるのはいつの日か。