市民図書館が再開したら早速廃墟の写真集を借りるという。図書館から廃墟の本を借りるのはこれでもう何回目になるでしょうか。仙台市の廃墟推し恐るべし。
本書は日本全国97ヶ所の廃墟を巡った大判の写真集。刊行されたのは2003年ともう17年前なので、今ではもう解体・撤去されたり朽ち果てたりして無くなってしまった所もあるでしょう。本書は、病院、ホテル、集合住宅、工場と、ジャンルを問わず大規模な廃墟の外観や内部をあくまでも「美しく」撮影した本です。そこから見えてくるのは、建物の、というか人間の営みの栄枯盛衰であり、自然の逞しさです。多くの廃墟が、ただ崩れているのではなく内部に雑草が生えたり、ツタが生い茂ったり、なんなら木すら生えているのは、それこそ映画「天空の城ラピュタ」で描かれた自然の逞しさそのもの。現実にある廃墟とは思えない、まるで異次元世界を彷彿とさせるような美しい写真ばかりで非常に眼福でした。
個人的にグッときた写真はこれらの工場の廃墟↓

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう無機質な機械が朽ち果てていくのってなんでこんなにカッコ良いんでしょうか。

こうした「退廃美」は、かつて繁栄していたものが急速に滅びることによって生じるんですよね。最初から寂れているところが滅びたところでただ貧乏くさくてしみったれているだけですから。こうした産業革命や高度成長期を支え、多くの人々が行き交い、働いていたであろうところが崩れているからこそ「美しい」。廃墟の魅力はこの一点に尽きると思います。