たまに行く模型屋の扉に貼ってあったポスターを見て偶然開催を知り、急遽行ってきました。昨年末も開催していたとのことで惜しいことをしました。知っていたら昨年も見に行っていたものを…

 

「仙台帆船同好会」という、帆船模型を作るサークルの展覧会です。
 
2005年から活動開始。こんなエンブレムもあります。聞けばメンバーはほとんどが60代以上の高齢者とか。まあ船の模型はジャンルを問わず「根気模型」と呼ばれるくらいなので、せっかちで忙しい人には向きませんからね。
 
それにしても作品はいずれも圧巻でした。まずサイズと細密さがハンパない!

 

 

このジオラマ人形のスケールでだいたいサイズはお分かりいただけるでしょう。これ、作るのは勿論のこと完成品を会場まで持ってくること自体大変ですよ。しかも1人で複数個展示している人もいましたからね。きっと自宅から会場まで車で何往復もして搬入したのでしょう。

 

 

 

 

小さいボトルシップもありましたが、これはこれで凄いです。細かいパーツをピンセットでいちいち瓶の口から入れて組み立てるのだから。

 

 

 

同じ船でも作者が違えば仕上げも見せ方も変わってきます。

 

 

船の中が見えるって良いですね。

 

 

 

 

 
これは東日本大震災で壊れてしまった作品を時計にリメイクした作品とのこと。ケースを時計の外装にし、周りに小さいボトルシップや大航海時代を彷彿とさせるアンティークな小物を配置しているのもセンスが良いですね。何より日常生活の中で使える模型って最高!
 
 
大型帆船のキットはほとんど海外製なので、まずは辞書を頼りに説明書を読むことから始めるそうです。そしてその船の建造や当時の時代背景、政治、経済、文化、芸術、建築技術、さらに船長の経歴まで調べて時代考証し、それを元にディティールアップしていくのが醍醐味とか。模型を作ることは歴史と文化と技術と物語を学ぶことでもあるんですね。
 
 
 
実在の船だけでなく架空の船もありました。こちらは映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズに登場するジャック・スパロウの船「ブラックパール号」。もともと雑誌のおまけを毎号集めて組み立てるキットでしたが、それをさらにディティールアップして仕上げています。
 
 
敢えて途中の段階が飾られているのも構造が分かって良いですね。帆船模型は完成まで早くても半年、長いと5年ほどかかるので、その過程を毎年見せるというのも面白い展示手法です。
 
 
 
 
西洋の大型船だけでなく日本の船もありました。こうして見比べてみると、遠洋航海船と近海航海船の違い、西洋の美意識と日本の美意識の違い、当時のそれぞれの政治と経済の違いが如実に分かって本当に面白いです。
 
帆船模型の材料は実物の船と同じ木なので盛ったり削ったりできない一発勝負。最初の竜骨の組み立てでしくじればすべてがパーという、もはや精神修行のような趣味です。それを何年も続けていくつもの大作を作り続けている高齢者がサークルを結成できるほどいる仙台は良い意味でヤバいですね。