タカラトミーの公式Twitterアカウントさえも「神回かカオス回しかない」「見る抗うつ剤」と公言するアニメ「戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー」をYoutubeで見てみました。ゴールデンウィーク限定で1~35話まで無料配信中です

 

画像はタカラトミー公式Twitterアカウントより。

 

「戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー」は、日本国内で1985年~86年にわたり放送されていたアニメです。そもそも「トランスフォーマー」は、日本国内でタカラ(現タカラトミー)から販売されていた玩具シリーズ「ダイアクロン」「ミクロチェンジ」を、アメリカの玩具メーカーのハズブロがタカラとの業務提携のもと新たな設定を加え、別の商品「TRANSFORMERS」として北米で展開したシリーズです。それが男児にバカ受けし、1984年に玩具とのメディアミックス戦略のもとアニメ化、それを日本に逆輸入したものが「戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー」です。なのでトランスフォーマーは「日本生まれ」ではあるけれどアニメおよびそれに付随する商品はアメリカからの逆輸入で、北米に1年遅れてヒットしているという不思議な運命を辿ったシリーズです。それがまさか実写映画化され現在までアニメも玩具もリリースされ続ける長寿コンテンツになるとは、当時誰が想像していたでしょうか。

 

ちなみに私はこれまでトランスフォーマーをまともにチェックしたことはありませんでした。さすがに模型作りなどをしていることから一般常識程度の知識はフィギュア雑誌や映画雑誌から得ていましたが、1985年に放送されていたアニメもまるで見た記憶がないし(秋田県で放送されていたかも怪しい)、テレビでマイケル・ベイ監督の実写映画が放送されても作業をしながら観て「なんかガチャガチャしたバカ映画だなあ」くらいにしか思っていませんでした。だいたい私は小学生の頃にコロコロコミックを愛読していたので、雑誌とのタイアップを目にすることもなかったんですよね(トランスフォーマーは講談社から発刊されていた「コミックボンボン」とタイアップしていた)。

 

で、今頃になって初めて「戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー」をちゃんと見たのですが、感想は…

 

ムチャクチャ面白い

 

もう最高オブ最高です。どこを切っても面白さしかない!「神回かカオス回しかない」「見る抗うつ剤」の意味が本当によくわかりました。いや、むしろ「全話カオス回であり神回でもある」と言った方が適切です。何が最高かって

 

・両陣営とも基本ボンクラかポンコツばかり

・特にスタースクリームが徹底的にクズ 

・何度スタースクリームに裏切られても許し続けるメガトロンはもはや聖人君子

・両陣営バカだらけの中粛々と任務をこなすサウンドウェーブがデストロンの官房長官状態

・コンボイ司令官の「私に良い考えがある」が良い考えだった試しがない

・バンブルビーがひたすらかわいい。癒し系。サイバトロンのマスコット

・アメリカ発のアニメなのに突然キャラが江戸っ子口調になる(特にデストロン)

・サイバトロン側の連中の口の悪さがデストロン以上。というか普通に物騒

 

…と、数え上げればキリがありません。そりゃスリップノットのシドが魅了されてソロ活動時に「DJ Starscream」を名乗るわけです。

 

画像検索したら最近は姿までスタースクリームになってた。

 

アニメを見た後だとタイトルだけで笑えるアルバム。

 

鋼鉄の峰不二子、もしくは鋼鉄の両津勘吉なスタースクリーム(右)。

 

アニメの作画の質は、正直そんなに良くありません。むしろ当時としても出来は悪い方でしょう。だってキャラの色が違う(塗り残しも多数)、突然キャラが分身する、キャラのプロポーションや顔のデザインがエピソードごとに異なる等の作画ミスが多発しているのだから。Wikipediaによれば作画制作は主に東映動画(現東映アニメーション)が担当していたそうですが、余程タイトなスケジュールだったか、もしくは労働環境が劣悪だったか(またはそのどちらもか)想像に難くありません。

 

手前(右)にいるコンボイ司令官が真っ青

 

しかし、それを補って余りあるほど各エピソードが超展開のうえに脚本のテンポが良く、見ていてダレるところが一つもありません。もう脚本家は何かやばいクスリを一発キメて尋常ではないエネルギーで本作のストーリーを書いていたに違いありません。その一方で、アメリカの放送規定により戦闘・襲撃・爆発シーンではトランスフォーマー、人間ともに死者が一人も出ず、老若男女誰もが楽しめるお気楽な作風に仕上がっています。

 

ところでコンボイ司令官がやたらと崖から落ちる件

 

これらの要素に加え、日本版では翻訳担当者による「意訳」「超訳」が 大噴出し(サイバトロン側の台詞が物騒なのもこのせい)、翻訳だけでなくオリジナル版では無言の部分にも新たに台詞をぶっ込み、そこにさらに出演声優陣によるアドリブが乗っかるという奇跡のコラボが発動。これにより「戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー」は謎のパワーを持った”どうかしているロボット群像劇アニメ”となりました。もともと超展開とテンポの良い脚本が魅力だったコンテンツに、翻訳担当者の意訳・超訳と声優のアドリブが加わり面白さに磨きがかかった事例としては、ドラマ「特攻野郎Aチーム」にも通ずるかもしれません。なお、ニコニコ大百科によれば、「戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー」の翻訳を担当した方は、映画「コマンドー」(テレ朝版)の翻訳を手掛けた平田勝茂さんとのこと。あの名台詞「筋肉モリモリマッチョマンの変態だ」を考えた人なら納得です。

 

過去記事:

TVシリーズ版「特攻野郎Aチーム」

 

基本的に本作は一話完結型なので、どのエピソードから見ても楽しめるのですが、とりあえず基本設定やキャラの名前を覚えるために1~13話くらいまでは時系列で見ることをオススメします。ただ基本的に本作も玩具とのメディアミックス作品なので、エピソードが進めば進ほど新しいキャラが増えて覚えるのが大変になってきます。私もまだ全員を覚えていませんが、気が付くとメルカリで「トランスフォーマー 玩具 ジャンク」で検索しています。改めてちゃんとマイケル・ベイ監督の実写映画シリーズも観てみようかなあ…全作Amazonプライムの無料枠だし

 

こんなことなら3月公開の「バンブルビー」も劇場で観ておけばよかった。

 

次に実写映画を作る際はスリップノットに主題歌を発注してあげて下さい。