現在、3月23日(土)に開催される「スチームパンク」に特化したハンドメイドイベント「仙台スチームパンクマーケット」に出展するための作品作りのため絶賛てんてこ舞い中ですが、作業している間、ずっとAmazonプライムで2007年のNHKアニメ「電脳コイル」を見ていました。最近は版dメイド作業中にずっとAmazonプライムでアニメを見ています。もう月額400円の元を取りまくり。これをレンタルしたら一体いくらになるか。もうレンタル屋の会員になっていた過去がアホらしくて仕方がありません。
「電脳コイル」は、2007年5月~12月までNHK教育で放送されていた全26話のSFアニメ作品です。作品の舞台は、「電脳」と呼ばれる技術が一般に普及しているほんのちょっと先の近未来の架空の地方都市「大黒市」。この世界における電脳世界の情報は「電脳メガネ」と呼ばれるスマートグラスによって現実世界に重ねて表示され、ユーザーはそれを自在に操作できるようになっています。「電脳」は生活インフラから娯楽まで完全に日常生活に溶け込んでおり、小学生すら気軽に遊んだり、時にはハッキングなど電脳犯罪を行っています。
勘の良い方ならもうお気づきでしょう。本作はまさに現在話題となっている「XR Tech」を先取りしたアニメなのです。というか、もはやXRクラスタの必修科目!製作から12年経った今見ても全く古さを感じさせないどころか、今後の技術発展を予測するテーマやモチーフがてんこ盛りで示唆ありまくりの傑作中の傑作です。ちなみに放送当時から子供よりも大人に高く評価され、2007年文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞、第7回東京アニメアワードTVアニメ部門優秀賞、第39回星雲賞メディア部門、第29回日本SF大賞受賞作品と多数のアワードを受賞しました。
まず本作の面白い点は、ストーリーの舞台となっている「大黒市」が、SFにありがちな電脳化されまくったサイバーパンクな都市ではなく、むしろレトロな雰囲気を持つ”地方都市”であることです。高齢者もたくさんいて、駅前には昔ながらの雰囲気を残す商店街もあって、神社もあって、ランドセルを背負った小学生が毎日ワイガヤしている(ただし電脳メガネを使って高度なTech喧嘩をする)、平成というより昭和寄りなひなびた地方都市の風景。なお、大黒市は石川県金沢市にほど近い日本海沿岸の都市という設定だそうですが、日本海沿岸で、北陸で、金沢に近い、「メガネ」に関する都市といったらモデルは「鯖江市」で間違いないでしょう。なお、本作の影響で鯖江市は本当にスマートグラスの開発にも注力するようになりました。アニメが現実を、それも地方都市の経済を動かすって凄いことですよ。
こうした、ひなびた地方都市の風景とキャラクターに、ムチャクチャ高度に進化したテクノロジーを組み合わせるという「ギャップ」が本作の大きな特徴であり魅力ではないかと思います。皆特別凄いものを持っている、やっているという意識を一切持っておらず、高度な技術が生活の中に溶け込んでいる日常のすったもんだを連続して描くという。ストーリーが進むにつれ、徐々に謎解き要素が増え緊張感も増していくのですが、設定の根底にあるのは「スマートグラスが日用品となっている近未来の日常」。例えるなら現在のスマートフォンのようなものです。今、我々は特に「凄い物を持っている、やっている」という意識を持たず毎日スマートフォンを使用しています。しかし、その風景を1980年代あたりに作品として描いたらきっと近未来SFになっていたでしょう。そうした、、きっと将来実現するであろうリアルな世界観がもうたまらなく魅力的なのです。というか早く実現してくれ!
それにしても2007年という時代は、前年に発売されたNintendo Wiiによりモーションコントロールが一般化し、初代iPhoneがリリースされ、Second Lifeに端を発する仮想空間バブルが勃興し、AR(拡張現実)という技術と言葉も知られ始め、本当にTech、特にXRの節目と言える年でした。そんな年にこんな傑作アニメが地上波で放送されていたなんてもはや奇跡としか言いようがありません。というか時代の呼応?この時代をリアルタイムに目撃できて本当に良かったと心から思います。
現在「電脳コイル」はAmazonプライム会員特典で無料視聴枠となっていますので、会員の方は是非見て下さい。
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