image
先月末に引き続きまた図書館で借りてきてしまいました。西原理恵子先生の「人生画力対決」第2巻です。サイバラ先生の本も仙台市民図書館では人気らしく、なかなかまとめて借りることができません。まあ地道に一冊ずつじっくり読みますけどね。
 
本書でフィーチャーされる…というか画力対決に引きずり出されたのは…
 
・吉田戦車先生
・雁屋哲先生
・松本零士先生
・須藤真澄先生
・くるねこ大和先生
・浦沢直樹先生
・長崎尚志先生
・江口寿史先生
・竹宮恵子先生
・若杉公徳先生
 
…で、いずれのレポート漫画も面白かったんですが、群を抜いて爆笑だったのが「デトロイト・メタル・シティ」でおなじみの若杉公徳先生です。

 

 

もうサイバラ先生が指摘しているとおり、描けていない。
 
image
(記憶を頼りに)「ジーン・シモンズを描け」というお題でこれ。ジーン・シモンズ、実写版の「デトロイト・メタル・シティ」に出演してただろ!一応メイクした写真だって見てるだろ!それでこれ。
次のお題「ミック・ジャガー」がこれ。
 
image

「だからクラウザーじゃん」

 

最高 of 最高。やばい。いちおう「口が大きい人」という印象だけはあったらしくそれが反映されていますが、誰を描いても似たようになってしまう人ってまあいますよね。大御所でも。顔のパターンが少ないというか引き出しが少ないというか…。

 

この若杉公徳先生のあまりの「描けなさっぷり」がすさまじく、通常ならサイバラ先生が「描けず」に笑いを取るという流れから完全に逸脱し、両社かなりの接戦となる名勝負となりました。ついにはサイバラ先生も親戚のおばさんの説教モードになり、質問した答えが…

 
「ナルト」
 
サイバラ先生のレポート漫画の面白いところは、まあ実際は絶対こんな場面なんかないだろうと分かりつつも、その独特の言葉選びと勢いで押し切ってしまうところでしょう。あと本書に関しては各先生方の絵は本物なので、いい感じにユルいライブ感があります。矛盾しているようですが。
 

にしてもつくづく若杉公徳先生のうろ覚えの絵が面白くて仕方ありません。もうずっと見ていられます。これ、俯瞰の視点から見た絵じゃなくて、「頭から先に描いたら足が描けなくなったのであわてて下を小さく描いた絵」ですからね。しかも「また」とあるように、これの前にも同様の絵を描いているんだから最高です。サイバラ先生も「なんであんたは5分前の教訓を覚えていられないのか」と叱っていましたが、手クセでうっかりやっちゃうもんですよね。そういうクセが付くと。ちなみにサイバラ先生はどんなうろ覚え絵を描いても全身を描いたときはちゃんとしたバランスで足をスペースに収めていました。それってもう画力云々の話じゃないしw

 

本当にこの企画は「上手い絵を描いた方が勝ち」じゃないんですよね。「いかにクソみたいな絵を描いて他者に笑われるか」が真の勝負であるところに面白さがあるのでしょう。またそこに大御所を含むプロの漫画家を引きずり出すって、まさしくサイバラ先生の人生をかけた勝負だったのかもしれません。