2016年に刊行された本なのでもう「最前線」というほどでもないのですが、図書館にあったので一応読んでみるかなと軽い気持ちで借りてきました。当初は「どうせ流行りに乗っかった薄っぺらい内容の実用書もどきだろ」と思っていたのですが、目次を見てみたら…
2016年当時に出揃っていた各社のVR HMDの紹介からVRコンテンツの開発に使用されている環境やVRカメラについての解説コーナーまであり、確かに駆け足な内容ではありましたが何気に突っ込んだ構成になっていました。VR玄人には既に分かり切った内容ばかりでしたが、「VRなにそれおいしいの?」状態の初心者にはピッタリな入門書という感じです。
そしてVR HMD、VRコンテンツ開発環境、VRカメラの解説ときて、次に紹介されているのは「VRの歴史」。出た!VR系の新書には必ず記載されている元祖VR「ダモクレスの剣」。ただ本書の素晴らしいところは、ほぼ全ページがカラーで、左側に解説文、右側に写真というレイアウトで統一されていることです。つまりこれ、本当に博物館に収蔵されている”VRの遺産”がフルカラーで掲載されているんですね。この点は新書よりも親切!だって新書は文章がメインで写真があっても絶対モノクロだから。これは分かりやすいです。
こちらは2016年当時に日本国内で発売されていた各種VR HMDの分類図。一番安価なのはハコスコやCardboardなどの紙製の簡易モバイルVRゴーグル、その1つ上のモバイル・ハイエンドモデルが韓国サムスンと米Oculusが共同開発したGear VR、そして価格もコンテンツの質もハイエンドなのがOculus Rift、HTC Vive、PlayStation VRのPC・コンソール機に接続するタイプのVR HMDです。今も基本的にこの分類は変わりませんが、2018年の今ならモバイル・ハイエンドモデルとハイエンドモデルに「一体型」が加わるでしょう。Oculus GoやMirage Soloといった一般ユーザーがオンラインショップや実店舗でサクッと気軽に買えるやつが。
本書を読むと、今まさにVRの新しい時代が始まったことが分かります。2016年は一通りのVR HMDが出揃ったではありましたが、それでも一般ユーザーがそこそこのクオリティのVRコンテンツに触れられる機会はそんなにありませんでした。ハイエンドモデルのVR HMDを使って何かで遊ぼうと思えば、HMD本体だけでなくハイエンドPCやPlayStation4、さらにモニターやセンサー、コントローラーを揃えなければならず、なんだかんだ余裕を見て20万円は必要です。モバイル・ハイエンドモデルのGear VRだって、ゴーグル部分だけでも1万円代で、それに対応したサムスン端末は6万円から。そこらのモバイルVRゴーグルより質が良いとは言え、それでも7~8万円はかかります。おまけにスマホをセットしたらその間スマホは操作できないし、第一いちいちスマホをセットするのが面倒。ところが、Oculus GoやMirage Soloはそれ単体で使用でき、Oculus Goは2万円代、Mirage Soloは5万円代とこれまでのハイエンドモデルのHMDに比べたらはるかに安価です。先に「VRの新しい時代が始まった」と書きましたが、本書が発刊されてわずか2年でここまで状況が変わりました。もうVRの時間の進み方がマジで早過ぎ!
…ということで、ぶっちゃけVRのネタを日々追いかけている人にとっては目新しい情報は特にありませんが、VR初心者にとっては、大急ぎでこれまでのVRの歴史やここ数年の動向を追うのにピッタリな内容だと思います。




