この「Promised Land of Heavy Metal」は、先日のエントリでもご紹介したコルピクラーニのドキュメンタリー制作のクラウドファンディングを行っているフィンランド人ドキュメンタリー作家のKimmo Kuusniemiさんが2008年に公開したフィンランドのドキュメンタリー映画です。

 

コルピクラーニがドキュメンタリー映画制作でクラウドファンディングプロジェクトを開始

 

タイトルの直訳は「へヴィメタルの約束の地」。内容は、フィンランド国内のミュージシャンをはじめとする様々な人へのインタビューを通じ、いかにへヴィメタルがフィンランドという国家に根付いているかを明らかにするというもの。このインタビューの顔ぶれがもう「フィニッシュメタル名士録」ともいうべき豪華さ。およそ思い付く限りのフィンランドのメタルバンドのメンバーにインタビューしており、フィニッシュメタルが好きな人は絶対に見るべき作品です。なお、監督も出演者も全員フィンランド人ですが、あらかじめグローバル展開を視野に入れて製作された作品なので全員英語で喋っており、頑張れば内容は理解できます。例えるなら制作者も出演者も全員秋田県民なのに全員標準語を喋っているようなものです。

 

まあバンドのメンバーへのインタビューももちろん凄いんですが、一番凄いのは当時のフィンランド大統領のタルヤ・ハロネン氏にインタビューしていることです。で、元大統領も「へヴィメタルは若者に良い影響を与えていると思います。」なんてクソ真面目に答えていたりして。

 

他にも、先の記事にも書きましたが、ファイアーパターンの制服を着た牧師が「俺毎日ハードロック・ハレルヤだから。ミサの聖歌隊もメタルバンドにしてメタル・ミサやってるし」とか言ってたり、精神科医まで「へヴィメタルには若者の精神を癒す効果があります」とか言うし、もう何から何まで最高です。最高という言葉しか出てきません。

 

ただ、この映画で描かれているのは「2008年当時」であることは忘れてはならないポイントだと思います。これが公開されてから早9年。9年もあれば一国の音楽市場なんてガラリと様変わりしてしまうでしょう。これは2008年のフィンランドのメタル市場を切り取った作品であり、ここで描かれていることが今でも続いているとは限りません。実際、私は2009年と昨年ヘルシンキに行きましたが、確実に2009年よりCDショップは減っていました。ある意味これは一国のメタル市場の黄金期を記録したアルバムのような映画なのかもしれません。

 

なお、日本からの視聴方法ですが、もちろん日本版DVDは発売されておらずどこの映画祭でも上映されず、今のところちゃんと見るにはAmazonから輸入盤DVDを買うしかないのですが、それも「出品者から購入」の状態になっています。

 

 

以前はiPadアプリがあり、そこから途中まで視聴できてフル視聴はアプリ内課金から行えたのですが(私はそれで観ました)、今調べたらそのアプリも配信終了になっていました。

 

…で、もうちょっと調べてみたら…

 

Youtubeに落ちてました。

 

ということで興味のある人は消える前に観て下さい。