昨日7月22日(土)の14:00より、ソーシャルVRサービス「cluster.」にてVRカンファレンスイベント「Japan VR Fest. 開発者会 in Cluster」が開催されたので参加してきました。これは、イギリスのVR系企業のIN-VRが”世界初”のVR空間のみで行われる開発者カンファレンスを今年の12月に開催すると発表したことを受け、「じゃあ先に日本でVRカンファレンスをやって世界初になっちまえ!」と、ある意味嫌がらせみたいな理由で行われたイベントです。主催はこれまでVR系コンテンツを体験できる無料イベントを開催してきた「Japan VR Fest.」(旧OcuFes)。以下はイベントの様子です。

 

 

イベントの形式は、1人持ち時間10分程度で資料も交えながら自分の活動やプロダクトを紹介するというもの。開催時間はトータル14:00~18:00までだったのでかなりのボリュームです。ちなみに登壇者のラインナップは現在の日本のVR業界のキーマンたちばかりで超豪華。もしこれをリアルで開催したら参加費1万円くらい取るレベルです。こんな凄いイベントにVRとは言えまるっきり無料で参加できたなんてありがたいったらありません。

 

 

 

なお、私的に一番面白かったのは、GOROmanさんの「中国が電子マネーの普及のため爆速でキャッシュレス社会になっている」トークと、PANORA VR編集長の広田さんの「中国で財布をなくして四面楚歌になった」トークでした。どちらも直接VRとは関係のないお金に関するお話だったのですが、特に広田さんのエピソードは「もし自分が海外取材に出かけた先で同じような目に遭ったら…」と想像して背筋が寒くなりました。言葉が通じない国で電子マネーが上手く使えずキャッシュカードも現金も一切なく飛行機の時間が迫っている状況ってどんなでしょうね。もう脳汁が出るどころの騒ぎじゃないですよ。私はGOROmanさんと広田さんどちらのTwitterアカウントもチェックしているのでおおよその内容は知っていたのですが、それでもご本人の口から聞くと臨場感が違います。

 

中国では日本で言うところのLINEみたいなメッセージングアプリ「WeChat(中国名:微信)」が普及しており、既にメッセージングアプリの域を超え”生活インフラ”と言ってもいいくらい様々なサービスが提供され、またそれが多くの中国人に定着しています。その中でも電子決済サービス「WeChat Pay(微信支付)」は中国内外の多くの店舗・サービスが導入しており、ユーザーはリアルなお金をやり取りする必要なくありとあらゆる決済をこのWeChat Pay、つまりスマホのみで行えます。GOROmanさんは先日Maker Fair西安に参加された際にWeChat Payを活用してほとんど現金を使わずに過ごせたそうですが…

 

広田さんは上記のスクリーンショットにあるとおり大変だったとのこと。

 

クソ高いとかいろいろありますが、ソーシャルメディアが規制されている国に行くならやっぱりローミングは便利。

 

それにしてもこのイベント自体世界初のVRカンファレンスですが、成田空港からVR空間にログインした人も世界初なのではないでしょうか?

 

まあ便利とはいえ、基本中国本土のサービスのやりとりは中国政府に筒抜けなのでいつ何が起こるか分からない緊張感は拭えません。

 

私はオンライン動画学習サービス「Schoo」をたまに利用しているのですが、このClusterとSchooをどちらも体験してみると、やはりストリーミング動画を見ながらリアルタイムチャットをするよりも、喋っている人もそれを見ている人もどちらもアバターとして同じ空間にログインしているVR/仮想空間の方が臨場感があって”参加している感”があるなと思います。

 

■ここから思い出話

2006年頃に勃興した仮想空間バブル当時、現在Cluster内で開催されているようなオンラインイベントが様々な仮想空間サービスで行われていました。まあ大規模かつユーザー主催のものはほとんどSecond Lifeでしたが。Second Lifeは初期の頃こそできることはテキストチャットぐらいでしたが、すぐにユーザー有志による開発で(Second Lifeはユーザーが空間内で3Dモデリングやコーディングが行える自由度の高いサービス)、Sim(ユーザーが月額課金で持てる私土地)内で音楽ストリーミングしたり、オブジェクトの中にYoutube動画を埋め込んでモニターのようにして動画を再生したり、画像やPDF、Webページをリアルタイムで複数のユーザーが共有できるようにしたりと、急速にイベント開催の手法が多様化。瞬く間に毎日毎時間どこかで何かのイベントが開催されるほどユーザーによる草の根活動が活発になっていきました。その後、2007年に動画ストリーミングプラットフォームの「Ustream」が出現。それはすぐにSecond Lifeユーザーにも受け入れられ、今度はオブジェクトの中にUstreamの画面を埋め込んでテレビモニターのようにする開発者ユーザーが大量出現し、ライブストリーミング映像をSecond Life内に居ながらにして見られるようになりました。そうなると次に増えたのはUstreamとSecond Lifeの双方向イベント。Second LifeにUstreamの映像を配信し、逆にSecond Lifeの中の様子をUstreamで配信するというもので、これはイベント当日にSecond Life内にログインできないユーザーの救済にも役立ちました。というのも、実はSecond Lifeの当時のサーバーは結構貧弱で、1つのSimに同時にログインできる人数はわずか45~50人程度だったのです。というか当時は「1Sim=1サーバー」で一つのサーバーで捌けるユーザー数がたったの50人程度だったんですよね。もうそんな状況で「Second Lifeは儲かる!」とか散々言ってた奴はSecond Lifeが何なのか知らずに浮かれてたウルトラバカです。で、そんな状況だから徐々に「これならUstreamでオンラインイベントやった方がよくね?」という空気になってきました。Ustreamにもチャット機能があるから、何かを見て交流するだけなら確かにUstreamだけでも用は足ります。さらにUstream上で自分がプレイするゲームや仮想空間の画面を配信しながらしゃべって解説するという、現在の生主みたいな活動を始めるUstreamユーザーが出現。そうなると、ただ誰かがやっていることを傍観してチャットするだけのライトなユーザー層はわざわざアバターを作ってログインする必要性を感じなくなり、皆Ustreamのみのオンラインイベントに移動してしまいました。

 

仮想空間バブルがはじけた要因はいろいろあります。ハイスペックPCじゃないと利用できない、「儲かる!」と煽る広告会社にユーザーが白けた、うかつに煽りに乗って参入した人が実際は全然稼げなくてその腹いせにdisりに回った、たいしてユーザー活動もしていないライターが適当な記事を書きまくった、Ustreamなど他サービスのコミュニティの成長、Facebookのオープン化によるソーシャルアプリ/ゲームの波、Minecraftがリリースされてものづくりしていた開発者ユーザーがそっちに引っ越した、スマホ/タブレットへの未対応etc... しかし、いろいろなことがあって今一周して再度「やっぱりアバターで同じ空間に複数の人が同時にログインするって面白くね?」という流れになってきているのではないかと思います。私自身、Clusterを利用してからSchooを利用すると、講義の面白い部分ですぐに「いいね!」や「ハート」のオブジェクトを出したくなるし、講義が終わった後は「拍手」したくなります。みんなアバターでログインしてイベント中にリアルタイムに”アクション”する、この臨場感と一体感、楽しさは一回体験するともう忘れられません。しかも今はそれをVRで体験できるのです。まあVRも現時点ではハイスペックPCがないと利用できない点は10年前の仮想空間バブルと同じですが、今後スマホでも利用可能なモバイル対応ソーシャルVRサービスが普及すれば状況は改善されるでしょう。ということでClusterはライトユーザー層の取り込みのためにモバイル版があったら良いんじゃないかと思います。