最近また話題のJASRACですが、実は十数年前にどう考えてもJASRACの調査目的としか思えないテレアポ仕事をしたことがあります。
 
私は専門学校を卒業後に、どんなバカでもできそうな軽作業バイトを1日から手配する人材登録会社に登録し様々な仕事をしていた時期があったのですが、特にとある大企業系列のテレアポ請負会社に気に入られ、最終的にはそこで他のテレアポバイトを管理するSV(スーパーバイザー)になりました。そんなある日、電話番号以外の情報が一切書かれていない謎の電話番号リストを渡され
 
「敢えて雑な言葉使いで忘年会の幹事のふりをして『お店にカラオケありますかね?』と質問しその有無を調べるように」
 
と上から指示されました。その仕事を依頼した企業や団体名はもちろんテレアポバイトおよびSVには一切明かされません。しかし電話の内容を確認すると、かけている先はどうやら小規模なバーや大衆居酒屋、よく裏路地でワケありのババアが一人で切り盛りしているようなクラブばかりなのです。大抵、テレアポの仕事はどんなバイトがやってもそれなりの会話になるように模範的な会話のマニュアルが用意されるものですが、そのカラオケ調査の仕事にはマニュアルは一切ありませんでした。それどころか「雑に」「ぶっきらぼうに」喋るように奨励され、「相手を怒らせても気にするな」「丁寧に喋ると調査だとバレるから気を付けろ」「調査だと相手が気付いたらすぐにガチャ切りしろ」「酔っぱらってるふりが一番効く」と普通の仕事とはまるっきり逆のことを言われたほど。
 
今考えたら、あれは大規模なクラブや居酒屋、カラオケボックスではない、限りなく個人経営に近い小規模な飲食店だけを狙い撃ちしたJASRACのカラオケ調査だったのでしょう。カラオケを置いているのにもかかわらず著作権料を支払っていない店をあぶり出すための…。ということで、もし音楽に関わる仕事をしている方で突然JASRAC(と思しき所)からトンチンカンな電話がかかってきても、それはJASRAC内部の人間がかけている電話ではなく、どこかのテレアポ会社が請け負った電話である可能性が非常に高いです。なのでJASRACに対する文句をいくら電話の相手に言ったところでそれはJASRACに届かない可能性大なので、お互い嫌な思いをしない程度に適当にあしらって早々に切り上げた方が賢明です。