昨年末にフィンランド旅行をした際、現地で見聞きした話なのでおそらく正確な情報だと思いますが、なんとフィンランドにも秋田県男鹿市のなまはげとほぼ同じマレビト信仰がありました。それは「Joulupukki(ヨウルプッキ)」。今でもフィンランドではサンタクロースのことをこの名称で呼ぶので現地ではあの赤い服で白ひげを生やしてトナカイを連れてプレゼントを配り歩く老人のことを指しますが、19世紀頃まではまるっきりなまはげだったそうです。

 

もともと「Joulupukki」は「ユールのヤギ(クリスマスのヤギ)」という意味の言葉で、最初は「Jouluukko(ヨウルウッコ:クリスマスのジジイ)」という老人が ヨウルプッキというヤギを連れて集落の家々をまわって物乞いをするという伝説があったそうです。日本に例えると乞食の門付芸みたいなものでしょうか。このヨウルウッコとヨウルプッキがいつしか混ざり合い、やがて1年の締めくくりと来年の豊作を祈願する冬至の祭として、ヤギの角やヤギの仮面、ヤギの毛皮をかぶった村の男たちが村中の家を「ここに良い子はいるか」と言いながら訪ね歩き歌を歌ったり酒を飲ませてもらう風習になったとか。しかし20世紀頃になるとヤギの姿は徐々に消えて白髭の老人が家々をまわってプレゼントを配り歩く姿へと代わり、第二次世界大戦後には赤い服を来た”コカ・コーラのプロモ戦略以後”の姿に定着したとのこと。

 

私はNAVERまとめで「世界のなまはげ大図鑑」をまとめているのですが、興味深いのはフィンランドのヨウルプッキもまた

 

・豪雪地帯

・農業もしくは冬至・年末の風習である

・角がある

・仮面をかぶる

・家をまわって酒を飲む

・子供をビビらせる(悪い子はいねがならぬ「良い子はいるか」)

 

と他国の風習とほぼ同じ特徴を持っていることです。ただフィンランドが他国と大きく異るのは、上手いこと時代の流れとサンタクロースの流行に乗っかって「フィンランドにはサンタクロースが住んでいます!」と他国に先駆けて名乗りをあげ、実際に観光資源にしてしまったことです。今ではフィンランドと言えばサンタクロースが住む国として知られ、ロヴァニエミにはサンタクロース村が建設され一年中観光客が訪れるほど。それでどれだけロヴァニエミの地域経済が潤っていることか。他の国にも外からやってきた神が戒めと福をもたらすという”マレビト信仰”があったのに、フィンランドと他国の違いって一体何だったんでしょうね。思い切りの良さ?

 

このフィンランドのサンタクロースビジネスモデルからは、ある伝統が消えかかっている時に地域はどうすればそれを観光資源にできるか…という学びが得られると思います。男鹿のなまはげも現在はなり手がいないとか「めんどくせえから来んな」という家が増えたとかいろいろ課題があるようですが、どうにか観光資源として生き残る道を見付けて欲しいものです。

 

なまはげの面というと赤と青が一般的ですが家にあるなまはげの面はなぜか緑色。祖父が農協の日帰り旅行で男鹿市に行った時にお土産で買ってきたものです。もっと激レアな「黄色」があるらしいけど本当ですか男鹿市民?

 

んふんふ〜♪んふんふ〜♪(な〜ま〜げものは〜いねが〜♪ないでるわらしは〜いねが〜♪)
※人間椅子の「なまはげ」の節で

 

 

 

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