7月22日より遂に日本でも「Pokémon GO」がリリースされたわけですが、私が家でゲームを起動した直後のスクリーンショットはこんなのです。

 

 

ポケモンがいるかどうかの前に、まずあるはずの道がマップに描かれてませんからね。この途中で切れている道の先にもちゃんとアスファルト舗装された道路があるんですよ。国道でもなければ県道でもない農道だから?でもIngressのマップには農道や私道でも描かれているところがあるんですがね…。このように、Ingressの日本リリース直後と同様にまだまだ地域格差が激しいのですが、そもそも秋田県横手市なんてクソ田舎の山間部でPokémon GOやIngressをプレイするのはなかなかにハードです。だってガチでこんな場所を歩かなければならないのですから。

 

 

 

 

※全て家から徒歩5分圏内の近所です。

 

もうポケモンを見付ける前に熊を見付ける勢いで本当にシャレになりません。

 

先にリリースされた海外では既に「Pokémon GO」に関する喜悲劇がてんこ盛りで、日本国内にも報道されているのですが、それに対し否定的なことを云々かんぬん言ってる奴ほどIngressどころか他社の位置ゲーすらまともにプレイしていないのは本当に味わい深いですね。10年くらい前に3D仮想空間「Second Life」をまともにプレイせずに印象だけで云々かんぬん言ってた連中を思い出します。そして「なんか言うならまずちゃんとプレイしてからにしやがれ!バーカ!」と言ってやりたくなります。ってここに書いてるけど。

 

私が今回のPokémon GO騒動で思い出したのは、数年前に頻繁に出席していた海外でのIT系・ゲーム系のカンファレンスイベントです。だいだい2008年〜2010年くらいの時期だったので、時代としてはソーシャルゲーム黎明期、日本ではガラケー向けのモバイルゲームの全盛期の頃でした。そこではセッションの合間に他の参加者と話し合う機会が結構あり「西洋にないタイプで今日本で流行ってるゲームってどんなの?」という話題になることがよくあったので、彼らにコロプラの「コロニーな生活」やマピオンの「ケータイ国盗り合戦」のことをいろいろ説明しました。そう、日本にはスマートフォン出現以前から位置情報を利用したモバイルゲームがあったのです。その中でも「コロニーな生活」と「ケータイ国盗り合戦」は早くから地域経済の振興まで視野に入れて運営されていました。ところが、それを海外のIT・ゲーム業界人に説明しても、返ってくる感想は「Only in Japan(日本だけ)」や「Big in Japan(日本でのみ人気)」で「これは日本だから成り立つビジネスモデルだ(つまり海外では実現不可能)」と言われておしまいでした。

 

なぜ数年前まで位置ゲーが日本だけ、日本でのみ人気だったのか?それは海外の道端で携帯を出しっぱなし&見っぱなしでそこら辺をウロウロしてたらすぐに携帯をひったくられたりスリ・強盗に遭ったりするからです。当時のアメリカやらイギリスはそれくらい治安が悪かったのです。もしかしたら今もそう変わらないのかもしれませんが。尤も、まるっきり相手にされないわけではなく、例外的に北欧人はポジティブな反応を示してくれました。北欧諸国、特にノルウェー、スウェーデン、フィンランドは国土面積が日本とほぼ同じで南北に縦に長いという特徴も同じ、治安も日本と同等もしくはそれ以上に良いからでしょうが、北欧は人口もスポットも少ないから位置ゲーをやってもあまり面白くないのです。地域経済を振興しようにもその「地域」が日本に比べて圧倒的に少ないから当然観光地もお店も交通インフラも少ないw つまり位置ゲーには「治安の良さ」と「外出してそこそこ楽しめる程度の人口」が不可欠と言えるでしょう。ちなみに欧州で初めて本格的なスマホ向け位置ゲーをリリースしたのはフィンランドのゲームデベロッパーでした。

 

2010年11月にリリースされたフィンランド産位置ゲー「Shadow Cities」のPV。残念ながらサービスを終了し会社自体もなくなってしまいましたが、プレイヤーが2つの陣営のいずれかに属し現実のマップ上で実在するスポットにチェックインして敵陣営と戦うという内容はIngressの先を行く革新的なもので、後に両陣営のロゴやイメージカラーをあしらった各種公式グッズを販売するなどリアルとヴァーチャルを繋げる施策も行われました。っつーかIngressはこれをパクったのでは…

 

なぜPokémon GOが海外、特にアメリカで社会現象的に人気になったのか?それは位置ゲーというジャンル自体が海外ではまだ定着しておらず目新しいうえにポケモンのIPを使ったタイトルだったからというのもあると思います。日本人はコロプラとマピオンのおかげである程度位置ゲーに慣れていますから。なのに位置ゲーを知らない奴らが今更云々かんぬん言ってるのはちゃんちゃら可笑しいったらありません。何か言うならまず既存位置ゲーをプレイして「位置ゲー」とは何かを理解してからにして下さい。その時間がないならせめて位置ゲーについて調べてからにして下さい。


あと数年前に「位置ゲーなんて治安の悪いアメリカじゃ無理」と言われたのに、今こうしてテロの脅威もあるなか大勢の人がPokémon GOをやりまくっているということは、少しずつではありますが世の中は徐々に良くなっているという表れではないでしょうか。