- ニューロマンサー (ハヤカワ文庫SF)/早川書房
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「指輪物語」がこの世の全てのファンタジーの元祖ならば、ウィリアム・ギブスンの「ニューロマンサー」はこの世の全てのサイバーパンクSFの元祖です。1984年時点で現在のWeb社会を予言し、本作がなければ「「攻殻機動隊」も「マトリックス」も「ニンジャスレイヤー」もこの世に存在していませんでした。そもそも「マトリックス」は本作の映画化の企画からスタートした映画なのですから。「ニンジャスレイヤー」に”ザイバツ”や"ヤクザ”が登場するのも、敢えて東京からそれて”ネオサイタマ”が登場するのも絶対に「ニューロマンサー」からの影響です。作品の登場前後で文学界だけでなく他ジャンルのコンテンツやアート、テクノロジーの潮流すら変えてしまった金字塔的傑作です。
あらすじは…
とある仕事でケチな盗みを働きハッキング能力を奪われたコンピュータ・カウボーイ(ハッカー)のケイスは、日本の千葉市でしがないチンピラ稼業で糊口をしのぎうらぶれていた。そこへ、ハッキング能力を再生させる代わりに”ヤバい仕事”をやらないかという話が舞い込み、それを引き受けたケイスは高度なテクノロジーと暴力がせめぎ合うまさしく”ヤバい”世界へ足を踏み入れる…
本作が刊行されたのは前述のとおり1984年ですが、その時点でウィリアム・ギブスンが世界中にオンラインネットワークが張り巡らされシームレスにつながる社会を予見していたことにまず驚きます。ギブスンに先見性があったのか?それとも世間がニューロマンサーの世界を追いかけたのか?また興味深いのは、この時期に既にWebが「サイバー・スペース(電脳空間)」という「空間」として描かれていること。人間がそこにアクセスする際、脳とコンピュータをつないで”意識ごとダイブ”します。それらに加えて、まるでセットになっているかのようにサイバースペースには人工知能(A.I)がいて、人間と融合することによってシステムに縛られた存在から自由になろうとします。 無限に広がる電脳空間に覚醒した意識のまま飛び込み、人工知能と対話するのは人間の永遠の夢なのかもしれません。
21世紀、インターネットは本作の予言どおり世界中を覆うところまでは進化し、人工知能の活用も進められているが、我々は未だにPCやスマートフォン、タブレットといった「ツール」を使用し、「ディスプレイ」を通してデータを読むという実に原始的な方法でしかアクセスできていません。VRヘッドマウントディスプレイがもっと一般的になれば没入感は増すでしょうが。 果たして21世紀中に本作のように”意識ごとダイブ”できるようになるのでしょうか。
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