そこで海外のファン向けに英語の説明文を書いて紹介してみたのですが…
↑こんな感じ。
そしたら、主にFacebookのダイレクトメッセージ(チャット)にて海外の人間椅子ファンから「なまはげに似た風習が自分の国にもある」という情報が寄せられました。
実はFacebookを始めた当初からからちょいちょいチャットで「これ何て書いてるの?」的な質問を海外の方からもらっていたのですが、人間椅子がFacebookを使うようになってから格段にその回数が増えました。しかし今回は質問ではなく「情報」が寄せられる。それもいろいろな国から来るというのが実に興味深い…
私は昨年NAVERまとめでこんなまとめを作ったのですが
【豪雪地帯】世界のなまはげ大図鑑【マレビト信仰】
今まで知らなかった情報もあったので、その中からいくつか例としてご紹介します。
■韓国
韓国には占いや霊視、祈祷などを生業とする巫女「ムダン(巫壇)」がおり、彼女達の仕事の一つとして「”怒りの神”を呼ぶ」という儀式があるそうです。それは儀式の依頼があった家に行き、太鼓や鐘などの鳴り物のリズムに合わせて踊ってトランス状態になり怒りの神を自分に憑依させるというもの。怒りの神は怒鳴り散らして悪態をつき集まった人々を怖がらせますが、家の主人が酒や料理でもてなすと徐々に大人しくなり最後に説教をして巫女の体から去るとのこと。なまはげのように仮面や衣装を用いませんが、これはオールシーズン対応型のカジュアルなまはげと言ってもよいでしょう。なお「マッコリだけ出すと怒るので焼酎やビールなど複数の酒を用意した方がいい」「マグロを食べさせると喜ぶ」などの傾向があるそうですが、それはムダン本人の好みじゃないかと思います。というかぶっちゃけ”怒りの神”自体もムダンの演技じゃないかと思います。でもまあなまはげだって中の人の演技だし。
■アイルランド
アイルランド版なまはげの名称は「Mummers」。おそらく読み方は「ママーズ」ではないかと。どんな風習かはなまはげと全く同じですが仮面も藁で作るというのが特徴的です。Google画像検索で出てきた写真はこんなの↓
■アメリカ
ネイティブアメリカンのホピ族は、毎年晩冬の豆まきの時期に部族の男性が仮面をかぶって「カチナ」という神様の格好をし、山から降りてきて家々の子供に説教をする「ポワム祭り」を行うそうです。しかし伝統の観光化を防ぐために一般公開が制限されており100年前から撮影も規制されているとのこと。ちなみに今Wikipediaでホピ族を調べたところ、彼らは夏にも仮面の儀式を行っているそうですが「水木しげるはこっそりこれを写生して、画に残している。」という一文が。水木先生すげえ。
これまで私は海外のなまはげっぽい風習は「雪が降る」「農耕が生業」の場所で行われているものだと思っていました。しかし上記のホピ族が住む場所に雪は降りません。また彼らはマヤ文明の末裔とされているので、もしかしたら南米にも似たような風習があるのかもしれません。今も残っているかどうかは分かりませんが。
しかしこうもなまはげに似た風習が世界各国に存在しているとなると、マレビト(来訪神)信仰とは全世界の民族が持つ普遍的なものではないかと思えてきます。そもそも「変な格好をした奴に何かやる」イベントで最もメジャーなものはハロウィンです。逆に「変な格好をした奴が何かくれる」のはクリスマス。いずれも現在はキリスト教圏の風習ということになっていますが、元々はケルト民族などキリスト教化される前の民族の季節イベントでした。秋~冬に行うイベントであることも他のなまはげっぽい風習と共通しています。
もしかしたらまた新たになまはげっぽい風習の情報が寄せられるかもしれないので、来次第上記のまとめに追加しておきます。もう秋田県男鹿市は一回「世界なまはげサミット」でも開催すればいいんじゃないでしょうか。
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