どうしてフィンランドという国は珍メタルとITに関する面白ネタが次々と出てくるのでしょうか?

先月、クリエイティブマンのサイトにて"KABUKI METAL"を標榜するフィンランドのヘヴィメタルバンド「WHISPERED」の存在を知りました。どんな連中なのか、まずはこちらの最新アー写をご覧下さい。

WHISPEREDアー写

や べ え

あまりのインパクトに思わずTweetしたところ、予想外にバズってしまい現時点で2453RTなんてかましているわけですが…

favster
画像はFavsterより

まあ私だって見かけたらRTしますよ。なんでフィンランドで日本を題材にしたメタルをやるのか?もう興味津々です。ということでフィンランド語のサイトまで行って彼らのことを調べてみました。


まず彼らの公式サイトはこちら
http://www.whisperedband.com/


ここから各種ソーシャルメディア上の公式アカウントに飛べますが、Twitterのフォロワー数がたったの114人というのが悲し過ぎるwww もちろん速攻でフォローしました。Facebookページのいいね!数は3752とそこそこなんですけどね。残念ながらまだAmazon.co.jpで彼らの音源は扱われていませんが、まあiTunesとSound CloudとSpotifyやってるみたいだから無問題。いくつかの楽曲は彼らの公式Youtubeチャンネルで聴けます。最新PVはこれみたいですが…



私としてはまあアリ…というか普通にカッコ良いんじゃないかと思います。冒頭の日本語の語りも訛りなんて一切なく(ちなみに黒沢明の映画「乱」の中のセリフ)、和楽器と和旋律の使い方もセンス良し。楽曲自体はチルボドのフォロワーかな?という感じのメロディックデスメタルで、チルボドに日本モチーフを混ぜたような楽曲スタイルです。格好も最初見た時は「おいwwwwwww」と思いましたが、よく見てみればちゃんと着物を着こなしてる方です。彼らに比べたらハリウッド映画の日本描写の方がよっぽど変です。未だにトンチンカンだもの。

彼らの拠点はフィンランドの地方都市タンペレ。工業都市として有名ですがNOKIAの研究部門が設立されたことをきっかけに近年ではIT都市としても知られています。メンバーはJouni Valjakka(Guitars/vocals)、Pyrypekka "Pepe" Ruponen(Guitars)、Mikko Mattila(Bass)、Jussi Kallava(Drums)の4名。妙な日本風キラキラネームを名乗らず本名で活動しているところに好感が持てます。

バンドの歴史は2001年にPepeがやっていたファンタジーと日本の武士道をモチーフとしたメロデスバンド「Zealot」にJouniが加入したところから始まります。Zealot名義で2001年~2004年まで活動し、最後に3曲入りのデモCD「Bloodthroned」をリリース。

Bloodthroned1
こういうやつ。いいセンスしてるなあ。雪に突き刺さった刀ってなんだか横溝正史の「本陣殺人事件」を彷彿とさせますね。

その後さらに日本をテーマに作り込んだ「WHISPERED」へとバンドを再構築します。WHISPERED名義では、現在までに「Blindfold(DEMO)」(2006)、「Wrath of Heaven(DEMO)」(2007)、「Faceless(シングル)」(2009)、「Thousand Swords(フルアルバム)」(2010)、「Jikininki(シングル)」(2013)、「Shogunate Macabre(フルアルバム)」(2013)の計6つの音源をリリース。ただし現在入手可能なのは2010年以降にリリースされたもののみ。日本ではディスクユニオンにて取り扱いがあるとのこと。初期のモチーフこそ「侍」「武士道」という「あーはいはい外人さんが好きなやつですね」というものでしたが、現在は日本の歴史や伝説、怪談などをモチーフにしており徐々に幅が広がっているようです。


例えば2010年リリースの「Thousand Swords」のモチーフは武蔵坊弁慶と牛若丸で…

Jikininki
先のPVの「Jikininki」のモチーフは怪談。だからジャケットアートも人魂が飛んでいたりとホラーテイストです。

ちなみに歌舞伎ペイントをし出したのは最近らしく、2010年の時点では素顔でプレイしています。尤もギターに「侍」とペイントしていたりとかなりアチャー!な感じですが。

当時のPV↓



この頃はキーボーディストがいたせいかメロディが強め。しかしよくフィンランドで甲冑と琴を用意できたなあ。

…とまあこんな感じのバンドです。珍メタルと言えば珍メタルかもしれません。しかし私としては非常に好感が持てます。まず真面目にやっている感じが伝わってくるし、楽曲そのものの完成度が非常に高い。少なくともお隣スウェーデンのNinja Magicよりはよっぽどちゃんとしてます。まあ日本にだって北欧神話をモチーフとしたバイキングメタルバンドやペイガンメタルバンド、またはアンチクライストを掲げたブラックメタルバンドもいるわけで、これはグローバル時代の文化交流と言えるのではないでしょうか。