ゾンビ映画の巨匠、ジョージ・A・ロメロ監督の2008年の作品に「ダイアリー・オブ・ザ・デッド」というのがあります。
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本作は「ピッツバーグ大学の映画学科に通う大学生たちが”ゾンビ黙示録”の中を逃げ回りながらその様子を撮影し、ドキュメンタリーを作ってインターネット上で配信する」という内容の映画です。「ブレアウィッチプロジェクト」以降広まった主観映像によるフェイクドキュメンタリータッチの作品。

これには今までのロメロ作品には無かった要素があります。それは先にも書きましたが「インターネット」と「ガジェット」の存在。世界にゾンビが蔓延したとき、人間はどのようにガジェットとインターネットを使い情報発信・共有を行うのか?人の振る舞いはどう変わるのか?というのが同作品の主なテーマです……が、問題はその”インターネット”の使い方。主人公達がドキュメンタリーの動画をMySpaceに、それもYoutubeにアップロードしてからページに貼付けるのではなく直接MySpace動画にアップロードしているのです。

ダ セ エ

尤もこの映画が公開されたのは2008年2月(日本では2008年11月)で、当然脚本はそれよりずっと前に書かれたのだからタイムラグがあるのは当たり前ですが。ちなみにFacebookのトラフィックがMySpaceを抜いたのは2008年4月で映画公開の2ヶ月後…。確かに当時MySpaceはユーザー数・トラフィック数ともFacebookよりも上で一応「世界最大」のSNSではありました。しかしそれらの数は長期間横ばい状態で、一方Facebookはもの凄い勢いで伸びていました。一部には「まだMySpace更新してるの?マジダセェwwwwww」という雰囲気すらあったほどです。なのに映画で思いっきりMySpace起用。もう今見ると別方向から面白くてじわじわきます。なお、この作品には携帯電話で動画撮影・アップロードした日本人が一瞬出てくるのですが、やはり脚本家や監督にも「携帯と言えば日本」という認識があったのでしょうか?

これと同様のゾンビ映画を今作るとしたら、主人公達は一体どのようにガジェットやインターネットを使いこなすでしょうか?「ダイアリー・オブ・ザ・デッド」の主人公達はビデオカメラで映像を撮っていましたが(映画撮影中だったこともありますが)、今ならそれはスマホでやるだろうし、情報発信・共有の主な場所はFacebookとTwitterになるでしょう。画像、動画投稿もそれらに連動したクライアントかYoutubeだろうし。もしかしたらLINEを使う人もいるかもしれない。但しもの凄い勢いで情報が拡散されていくのでイタズラや荒らし、デマも相当数出るだろうし、パニックがパニックを呼びさらなる大混乱を巻き起こすことも考えられます。誰か今こそ「ソーシャルメディアとゾンビ」をテーマに映画作ってくれませんかね?かなり面白くなると思うんですが。

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