近所の市運営の文化施設で毎年障害者の美術展が開催されており、毎回見ては打ちのめされているんですが今年も無事打ちのめされました。


まず入って最初に見えたのがこれ。






350巻のセロテープを貼り重ねて作られた龍神の彫刻。制作期間は2年で完成後も手を加えられており“生き続けている”とか。セロテープという100均でも買える安価で身近な材料で、かつ貼り重ねるごとに、時が経つごとに黄変していくという素材の短所を逆に生かして自然に金色に輝く彫刻にする発想の見事さ。それもただ貼り重ねるのではなく鱗の向きまでちゃんと考えられている緻密さも凄い。もう最初から圧倒されてしまいました。




こちらは「家マグロ」という立体作品。どうすればこのような発想ができるのか。素材はスタイロフォームや粘土、木材などでジオラマとほぼ同じでちゃんとウェザリングされてるしコケの表現まである。







もう障害者アートとか関係なく普通に芸術作品として“良い”。販売可の展覧会だったら売約済みになってるだろうしたぶん現代美術のオークションに出品しても値が付く。



こちらは緑内障で左眼の視力が殆どなくなり右眼も3割ほどの視野が消失した方が、その状態で見える視界をグラフィックアートとして表現した作品。



この切り絵のデザインと緻密さなんてもうわけが分からない。作品自体を売っても売れるだろうけど、何かの商品にして広く多くの人に見られるべき。



亡くなった双子の妹さんに向けて作られたフェルト製のミニチュア。作品制作はただの自己表現ではなく誰かとの対話でもあることがよく分かる。






作風がどストライクだった作品たち。他の作品も見たいので画集を出してください。





この画用紙に水彩で描かれたPOPな感じがたまらない。何かの記事の挿絵とか仕事になるレベルじゃないでしょうか。


パリコレに出演したお気に入りのモデルを描いた作品。デフォルメと色彩のセンスが凄過ぎる。








きかんしゃトーマスとプラレールの絵。キャラのデフォルメのセンスがかわいい。版権取得して公式グッズにできたらいいのに。


それにしても障害者アートの制作現場にもCGやメタバース(仮想世界)が取り入れられているのが「現在」だなと思いました。むしろデジタル・仮想が容易に使えAIに助けてもらえるようになったことで、より容易かつ自由な作品制作ができるようになったという側面もあるようです。

見ているうちに「障害」の定義とはそもそもなんなのかが分からなくなってくる程の素晴らしい作品ばかりで自分も気合いが入りました。