もういい歳なんだけど、振袖を着た。
母の娘時代に仕立てた、40年前の着物である。
私が着なければ、もう袖を通すものもないであろう代物。
柄付けも、帯の厚みも、いかにも年代物だ。
用事が終わり、街を闊歩していた私は、外国人に声をかけられた。ちゃんと聞きとれなかったが、
「please take a picture with me」
と言われたように思う。
ふりかえると、東南アジア系の旅行者たちに囲まれていた。
まぁいいか、と思い撮影会をした。
この着物は、もう日の目を見ないかもしれないが、彼らの日本の思い出のひとつになればいい。


