【チェコチェコ小話】その⑦〜トルンカとポヤルその①〜 | チェコチェコランドのイベント・商品情報ブログ

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チェコが世界に誇る

人形アニメの巨匠

ブジェチスラフ・ポヤル(1923〜2012)

そのキャリアは

戦後、1945年、プラハに国営のアニメスタジオが設立されてから

スタートし

亡くなる2012年まで

アニメ制作にその生涯を捧げた人物です。

 

そのキャリア”67年”

 

完全に”チェコアニメの歴史そのもの”です。

 

私はそんな

ポヤル監督が生前、

ご一緒にお仕事する機会をいただき、

色々なお話をしていただきました。

 

ポヤル監督のお伺いしたことをもとに

チェコアニメの黎明期をご紹介したいと思います。

もともとプラハに

アニメスタジオが出来たきっかけは

当時のチェコスロヴァキアを

占領下にしていた

ナチスの発想からだそうです。

 

当時のナチスは

”なんでも我が物”にしたいという発想があったみたいで、

ある時、ナチスの偉い人が

当時から大人気のディズニーのアニメを見て

”これを超えるアニメを作るよう”

部下に命じたそうです。

 

命令を受けた部下は

「アニメなんて

どうして作ればいいのだろう…」

と悩みました。

 

いつの時代も

中間管理職は

”丸投げ”される運命で、

オロオロするばかり。

 

そこで

考えたのは

占領下にある

チェコスロヴァキアは

芸術家が多く、

彼らにやらせてみよう、と

考えたようです。

 

そして

若い芸術家を

プラハの集会所に集め

”プラハにアニメスタジオを

作るので、そこで従事するように。”と

通達があったようです。

 

その場所に

若きポヤルもいたそうです。

 

でも、ポヤルは

占領下にいたため

毎日、行きた心地がせず、

そこへ、

急に招集されて

ネガティブなことしか考えられず、

その時、通達されたことを

覚えていなかったそうです。

 

家に帰って、

母親から

「なんの話だったのだい?」と聞かれ

 

「母さん、僕は今、生きているのか?」と

聞くぐらい、追い詰められた毎日だったそうです。

 

でも、スタジオが完成する前に

ナチス政権は倒れ、

チェコに平和が戻りました。

 

でも、建設途中のスタジオはどうするのか?

新しいチェコスロヴァキアの政府は

このスタジオを完成させて

アニメ制作をスタートさせよう、と決めたのです。

 

この頃、アメリカが世界のリーダー的な存在になっており、

ヨーロッパの諸国は大きな”ライバル心”を持っていたようです。

 

古い歴史を持つヨーロッパの国々にとって

当時のアメリカは”新興国”と捉えていた節もあり、

「アメリカのディズニーのアニメに負けないアニメを作りたい。」という

気持ちが

ナチスにも

新しいチェコスロヴァキアの政府にもあったようです。

 

ただ、プラハでは

アニメ制作の経験者がいなく、

誰に任せればいいのか、

わかりませんでした。

そこに白羽の矢が立ったのが、

イジー・トルンカ(1912〜1969)

 

トルンカは

絵本の挿絵の画家として

当時、名を馳せており、

また人形劇団を主宰しており、

人形作りの職人としても有名でした。

 

しかも人からの人望も厚く、

新規の事業を任せるには

打って付けと考えられたようです。

 

トルンカは当時、33歳。

 

アニメ制作に関しては

全くの素人でしたが、

”創作”ができる喜びで

すぐに引き受けました。

 

ナチスの占領下、

トルンカは

ナチスの宣伝用のポスターなどの

美術労働を強制的に課せられていたそうで、

”自由な創作”に大きく渇望していました。

 

ポヤルは言います。

 

「トルンカがアニメスタジオの

責任者になってくれて

とても嬉しかったよ。

彼は優れた芸術家だけでなく、

リーダーシップがあって

面倒見が良かった。

経験のないアニメ制作だったが、

彼の存在のおかげで

自信を持って進められたよ。」

 

 

アニメスタート時、

トルンカは33歳。

ポヤルは22歳。

 

ポヤルは若い頃から

トルンカの片腕として働き、

トルンカは若いポヤルを誰よりも

頼りにしました。

 

初めてのアニメ制作ですが、

トルンカの監督作品として

なんと1年で

4本の短編アニメを完成させました。

 

デビュー作の「おじいさんの砂糖大根」

 

「動物たちと山賊」

 

 

「バネ男とSS」

 

「贈り物」

 

全て

”絵”のアニメです。

詩的なもの、

世相を皮肉ったもの、

ナチスを皮肉ったもの

と様々な短編アニメを生み出しました。

 

 

ポヤルは言います。

「全てが

”試行錯誤”だった。

頼りになるのは

自分の”インスピレーション”のみ。

でも、それが楽しかった。」

 

懐かしそうに

ポヤル監督は語ってくれました。

 

そして続けます。

 

「そんな時、

戦争中、中止になっていた

カンヌ国際映画祭が

再開されるというニュースが

届いたんだ。

トルンカは

「それに挑戦するぞ。」と言ったので

我々スタッフも

体が震えたよ。

あの”カンヌ”にチャレンジだ。

こんな夢のようなことが実現できるなんて

本当に力がみなぎったよ。

…でもね、トルンカは一歩

先を考えていたみたいだ。

 

 

ここから先は

イジー・トルンカのご長男の

ヤン・トルンカさんに聞いた話です。

「父(トルンカ)は

最初のカンヌを”挑戦”ではなく、

”結果を出そう”と考えていたと思います。

戦争中、虐げられていたので、

終戦後、

自由な世の中になってほしいと

考えていたんです。

でも、チェコスロヴァキアは

当時のソ連の衛星国みたいに

なりつつあったから、

言論や、表現に規制がかかるようになるのかな、

と思っていたみたいです。

そこで

せめて自分が関わる

”アニメ”だけは

自由に作れる環境にしたいと

考えていたようです。

それには

”自分が発言権”を持てるようになるしかない、

考えたみたいです。

”結果を出す”ことで

国が無視をできない存在にならなければ、と思っていたみたいです。

戦後初のカンヌは

ディズニーの作品も出展することになっていたので、

それを破って

グランプリを獲れば、

強烈な追い風になると思ったのでしょう。」

 

 

4本作ったうちの1つ

「動物たちと山賊」が見事

グランプリを受賞しました!

 

このことに関しても

ヤン・トルンカさんは言います。

 

「父は20世紀を代表する芸術家だけと

もっと才能があったのは”口”です。

外交、根回しなどに関しては

天才的な”雄弁家”だったから、

政治家や、ビジネスマンになっていたら、

もっと成功したと思います。」

 

ヤン・トルンカ「カンヌに出品した

のも

『動物たちと山賊』でしょう。」

 

「動物たちと山賊」は

とっても怖い闇の中の森の夜から

爽やかな朝を迎えるまでを

瑞々しく描いたお話です。

 

ヤン・トルンカ「『戦争中、ずっとチェコは

”闇の中”でしたが、

おかげさまで

”朝”を迎えることができました。

そんなチェコの私たちが

アニメを作りました。

どうぞ、ご覧ください!」って

感じで

カンヌの審査員にプレゼンテーションしたと思います。

”解放されたチェコがアニメを作りました!”で

押したのだと思います。

父は戦略家です。

ただ、出展だけしたなんて考えられません。

関係各所に絶対、きっちりプレゼンを

していたと思います。

だから

狙い通り、グランプリを獲ったけど、

父はナチスから解放されたチェコへの

”ご祝儀受賞”だと捉えていたと思います。

実力ではディズニーに

勝ったとも思ってなかったでしょう。」

 

そこで私が口を挟みました。

「なるほど、

4本作ったうち

『動物たちと山賊』を

出展したのも、戦略の一つだったのですね。」

 

ヤン・トルンカ

「いやいや、

『動物たちと山賊』は

もともと、”賞を獲るため”に

作ったのだと思います。

アニメ制作に携わった時点で

”アニメで世の中を変えよう”と

考えたのだと思いますよ。

戦争が終わったからと言って

自由な世の中が来ると思ってなかったから、

自分の手でなんとかしようと思っていたのでしょう。」

 

 

トルンカの狙い通り、

トルンカ率いるチェコアニメは

世界に轟くようになり、

チェコにおいて

アニメ制作は

”国策”となっていくのでした。

 

本日はここまでです。

次回は

”なぜ、トルンカは

人形アニメを作るようになったか”を

書かせていただこうと思います。

 

 

 

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