「放課後、ですか?」

 だめかな?とはにかむイケメンくん。名前は忘れた。クラスも違う。友達に目線を遣ると手であしらわれた。辛い。

「今日は友人とデートなんです、すみません」

 彼の肩が少し跳ねた。間違ってない。だってお出かけだもん。

「土曜日ですが、明日でよければお付き合いします」

 ほんとに!?と食いついた彼。だって暇だし、とは流石に言えず、それでもよろしいですか?ときくともちろん!と答え、紙にさっと文字を書く。うん。書かれた文字も美しい。合格。
『11時、学校の坂の下』
 うん。集合時間もいい感じ。場所も、家を知られることはなさそうで悪くない。

「また明日!」

 と、はにかみイケメンは走り去った。

「イケメンに興味ないんじゃなかったか」
「中身のないイケメンは好きじゃないってだけよ。美しいものは好きだわ」
「あんた醜いもんね」
「中身だけね」
「明日のデート、どうすんの?」
「熱が出ましたってお断りします」
「どうやって?」
「え……あ、」

 電話もメールも交換してない。SNSだってわからない。しまった。

「一杯食わされたか」
「その発言が真っ黒だよね、君」

 そこにいたのははにかみイケメン。

「どうしてもお話したかったんだよね、ふたりきりで。騙し合いは?」
「美しければ、嫌いではないわ」
「じゃあまた明日」

 はにかみながら手を振る彼。

「ええ、また明日」

 手を振りながら携帯電話の電話帳を開く。
 まんまと騙された。

 フリをした。


【Twitterお題アンケ:騙された君が悪い】