新葉館WEB句会 ユーモア川柳 1月
【佳作】澁谷さくら選
同棲の許可申請に来る娘 五十八
つい先日の出来事である。
娘が彼と一緒に「同棲」の許可申請に来た。
幸いにもその彼が真面目そうで、私のつまらぬ冗談にも上手に絡んでくれたのでほっとしたが…。
しかし…
同棲…と言えば、私世代の中では
上村一夫の「同棲時代」であり、
大信田礼子が歌う「同棲時代」であり、
由美かおるや沢田研二、梶芽衣子が演じた甘く切なく悲しい「同棲時代」である。
町の片隅の陽の当らない四畳半一間で貧しさや寒さに耐えながらも
愛だけを信じお互いだけを頼りに暮らしてゆく悲恋のドラマである。
可愛い娘にそうなって欲しいとは思わないが
陽の当たる綺麗なアパートで特に生活に追われるでもなく
楽しいだけの「同棲時代」と言うのも…なんだかしっくりこない…。
時代が変わったとは言え、あまりにもあっけらかんと「同棲時代」をされてもなー。
Webユーモア川柳句会2024年1月 – 新葉館出版 (shinyokan.jp)