「戦う建築家」 | 川柳 salon 402

川柳 salon 402

人間万事塞翁が馬

昨年暮れの読売新聞のコラム「建築季評」に書かれていた昨年東京で開催された『安藤忠雄展ー挑戦ー』を読ませてもらって一考。

 
建築家の安藤忠雄と言えば元プロボクサーと言う建築とは畑違いのプロフィールを持つ事で有名だが、記事を読み終えて安藤氏の自らが立つ場所がリングから建築に変わってもその戦う(挑戦する)姿勢に変わりのない事に大きな励ましをもらえた気がした。
 
僕が建築に足を踏み入れた時には、すでに建築は「スクラップ&ビルド」の新築主義が当たり前?そういうもので、その事に僕は何の疑問も持たずに建築に携わってきた。
しかし、その「新築主義」が母体となって生み出した「逆子」?「建築への危機感」が「文化財」と言う概念を産み落とし、逆に時代は今度はその時代の「逆子」である「文化財」への意識が持て囃される時代になった。
 
しかし、安藤氏は建築の「主流」も「逆子」も認めない。
建築物の時を止めてそれを守ろうとする「文化財」と言う名の「建築の逆子」も、スクラップ&ビルドと言う新築主義から生まれてきたおびただしい数の「建築の子たち」も認めようとしない。
 
彼は「どうしたら建築を使い続けていけるのか」「どうしたら建築が生き続けていけるのか」というジレンマを拳にして、今でも「建築」に向かってファイティングポーズを取り続けているのである。