対談集なので特にネタバレはないです。
🍀皆川博子
「丘の上の宴会を読んだ時に、これは悪意小説と言うジャンルだと思ったんですよ」
皆川「でも、ゲーテはゲーテを読んでいないわけですから笑」
🍀林真理子
アウトを読んだラジオパーソナリティーの男が、本場中に口をきいてくれなかった。
「なんかすごく怒ってるんですよ、妻が夫を殺す話だー!って」
現実とフィクションの区別つけろ。笑
あと、黙って仕事しようね?
「女の世界はほんとは連帯感に満ちていたり、友情もあるし、助けあったり、そこはあえて書かなかった。
だから、あれがほんとの女の世界だと思われても困ります」
林「私のとこにくるのは、このぐらいの見極めがつく程度の男なんだなって」
林さんのデビュー作について。
林「いや、ここまでやんなきゃ世の中に出られないだろうなと思ったところもあります」
「私、この世界に入って、ものを書くと言うのは恥をかくことだと思った」
「男の人が書く女って、みんな都合いいですよね。
みんな骨細でね」
林「あんな女のために不幸になってたまるか、っていう妻の復讐ですよね。
そこで離婚して男に新しい生活なんかさせるもんか。
死んだ子ともこうして歩いたでしょ、ほら」
「林さん怖いよ~」
怖いよ~!
不誠実な被害者もいれば
誠実な加害者もいる
再犯の恐れはないと思いますがね。
🍀斎藤環
「何でも安易にトラウマにすると、自己正当化のよう」
斎藤「ロベルト・ロッセリーニとイングリッド・バーグマンの子供であるというイザベラの血筋に(デイヴィッド)リンチは欲情してるんじゃないかと笑」
私家系図マニアだから、この気持ち分かるな!
🍀重松清
「私たち世代は就業機会がなかった」
(魂萌え!)
重松「夫のありようは、僕らの世代まで不思議なくらい変わらない。
読んでいて、俺だよ、これって」
「昔の女や低所得者はローンを組めなかったから。
一種男の甲斐性でもあったわけでしょう」
あー、なるほど!
「家庭の中でホワイトカラーとブルーカラーに分断される」
「フランスでは付き合いに踏み出したときは離婚を決意したとき。
だから意外なことに、簡単に不倫には至らないそうです」
仮面夫婦は殆どいない。
「男の表現力のなさは異常ですよ。
まだ本当に追い詰められていないからだと思います」
🍀柳美里
(グロテスク)
「女から見るとあの東電OLの話は全然セックスの話じゃないんですよね。
解放の問題です。
女の中の格差社会もテーマとしてあるし」
柳「空き室で殺害されたということにひかれました」
(石に泳ぐ魚)
柳「外部からの圧力では変わりません。
変わってたまるかという反発心も強かったですし」
(前述のラジオパーソナリティー)
柳「荒唐無稽な司会者ですね。
女性作家の場合気安く主婦作家とか言われます」
「本当に悲惨な目に遭ってる人が小説なんか読んで救われるかなって思うことがあって」
(朝鮮戦争)
柳「母は、欄干にいくつもの首が突き刺さってる橋を、目をつぶって渡ったそうです」
🍀星野智幸
(学生運動)
「何でヘルメットかぶるのとかって聞かれました。
でも、聞く方も男の学生には聞かないんです」
「爺さんがよくキレるとかって新聞に出るんだけど、キレた相手ってみんなおばさんなんですよね。
だから弱い者いじめなんです。
日本って男と女の仲がよくない。
根本的に何か憎しみ合っている部分が絶対ある」
星野「変な恨みを溜め込んだ人たちが性犯罪に行ったりするんですよね」
星野「性犯罪や幼児愛の爆発的な拡がりを見ていると。
男の権利を捨てることを強いられたという被害妄想だけがつのっている」
愛と付けないで欲しい。
ただの加害だよね。
星野「既得権益を奪われて被害妄想を膨れあがらせた連中が言い出すのは、共同体として権利を共有しようということですよね、国益とか。
靖国とか慰安婦とか、ちょっと前だったらネット上での話題だからって無視することができていたのに」
個人で所有出来なくても、所属組織が持っていれば自分が持っているつもりになれるって事?
虚しくないのかな?
🍀佐藤優
貯金が1千万あるのにスーパーで暖をとる老人。
佐藤「現在の日本を見ていると、ある意味では崩壊直前のソ連よりも悲惨な面がありますね」
「単なる貧しさよりも厄介な問題ですね」
老後は悲惨だぞ死ぬまで節約しろ、と思わされている。
そのマインドで生き続けて幸せか?
「世界を放浪してきた若者が沖縄のゲストハウスに集って、税金は払わずに勝手にインフラだけ使って暮らしている。
これも一種の未払い問題です」
女性の貧困の話題に対して結婚の話が続いてしまう所が、やっぱり高齢の作家達だなと思う。💦
佐藤「ポリス(都市国家)の対極がオイコス(経済・家庭)、ポリスの根本原理がノモス(法・秩序)であるのに対し、オイコスはピア(暴力)とされている」
「家長が女子供を殴ってでも言うことを聞かせると」
佐藤「人間は国家から逃れることができない。
パスポートがなければ日本から出ることさえできません」
日本円に価値があるのも、日本が存在するからですもんね。
今あんまり価値ないけど。
🍀坂東真砂子
坂東「女というのはある程度若ければ、夫や子供を捨てても、また次に産めると考える。
自分でも生産できるから。
一人の子に一粒種みたいに縋りつかなくてもいい」
前述の日野の事件の被害者夫婦そのままですねー。
「やっぱり年金が悪い。笑
年金がなければ、みんなもっと頑張ったかもしれない」
🍀原武史
「生と穢れに分けるということが、生殖はあくまで男系のものであって、女は用が済んだら要らないと言われている」
原「イザナキとイザナミは対等なようですが、女にだけ穢れがある。」
「イザナミは対等な夫婦であったと思っていたのに、火の神を生んだことによって死んで、なおかつ穢れを担う。
今度はイザナキが出産を目を洗うことによって担う」
生理中でも普通に神社仏閣行くけど、特に罰が当たった事はない事をお伝え致します。笑
まともな所は穢れ扱いしないと思いますけどねえ。
🍀西川美和
「女性像に関しては、こんな女の人いないよと、かつてはよく言われました。
おばさんにも人生があるんですね、と驚かれたりもして」
男が妄想で書いた骨細の女には文句つけないのに。笑
「男の女性像はおばさんか若い女、お母さん、その3パターンしかない」
だから男の創作物ってつまらないんですよね。
(ゆれる)
西川「真木(よう子)さんに抵抗感があるのかどうか聞いてみたら、何がですか?っておっしゃるので、この人は大丈夫だと思いました笑」
桐野「現場にいると性善説になりますか?」
西川「(小声で)いやいやいやいや」
ここ好き。
(母を殺害した少年)
西川「動機について、人を殺す小説を書こうと思ったと言う供述が出てきたんです。
私は、それは違うと思いました。
母殺しをしていなくても、母殺しを書けるのが作家なんだと」
ファンタジー小説家・歴史小説家の全否定。💦
🍀
久しぶりに読書熱に火が点いたのですが、まだ軽い本しか読めないので、初めて対談集読みました。
さらっと読めて良いですね。
男女論はあまり興味を持てなかったけど、事件や社会について様々な意見が読めるのはおもしろかった。
お薦めの対談集あれば、コメントで教えてください!
これは対談集だから仕方ないけど、無性に美しい日本語が読みたくなりました。