御聖訓一読集八日『三大秘法抄』

 

「諸仏の和光利物の月影は九法界の闇を照すと雖も、謗法一闡提の濁水には影を移さず。正法一千年の機の前には唯小乗・権大乗相叶へり。像法一千年には法華経の迹門機感相応せり。末法の始めの五百年には法華経の本門前後十三品を置きて、只寿量の一品を弘通すべき時なり」(御書1593-4ページ)

 

 

三大秘法抄の梗概(第五問答まで)

第一問答:神力品結要付嘱における所説の要言の法とは? 妙法五字。

第二問答:流布はいずれの時か?末法。

第三問答:末法だけとはいささか偏波ではないか?三時弘教の次第がある。末法は寿量品一品のみ出離生死の要法。

第四問答:寿量一品とは何故か?三大秘法を表す「是好良薬」の文あり。

第五問答:では、三大秘法の体とは?本尊とは、題目とは、戒壇とは。

 

●三時弘教の次第(仏の付属に基づく時代と教法)

 

『高橋入道殿御返事』

「我が滅後五百年が間は迦葉・阿難等に小乗経の薬をもって一切衆生にあたへよ。次の五百年が間は文殊師利菩薩・弥勒菩薩・竜樹菩薩・天親菩薩等、華厳経・大日経・般若経等の薬を一切衆生にさづけよ。我が滅後一千年すぎて像法の時には薬王菩薩・観世音菩薩等、法華経の題目を除いて余の法門の薬を一切衆生にさづけよ。末法に入りなば迦葉・阿難等、文殊・弥勒菩薩等、薬王・観音等のゆづられしところの小乗経・大乗経並びに法華経は、文字はありとも衆生の病の薬とはなるべからず。所謂病は重し薬はあさし。其の時上行菩薩出現して妙法蓮華経の五字を一閻浮提の一切衆生にさづくべし」(御書887ページ)

 

●月と日により釈尊の白法と大聖人の大白法を表す

 

『諫暁八幡抄』

「天竺国をば月氏国と申す、仏の出現し給ふべき名なり。扶桑国をば日本国と申す、あに聖人出で給はざらむ。月は西より東に向へり、月氏の仏法、東へ流るべき相なり。日は東より出づ、日本の仏法、月氏へかへるべき瑞相なり。月は光あきらかならず、在世は但八年なり。日は光明月に勝れり、五五百歳の長き闇を照すべき瑞相なり。仏は法華経謗法の者を治し給はず、在世には無きゆへに。末法には一乗の強敵充満すべし、不軽菩薩の利益此なり。各々我が弟子等はげませ給へ、はげませ給へ」(御書1543ページ)

 

●逆謗の二人への折伏教化

 

『教行証御書』

「正法には教行証の三つ倶(とも)に兼備せり。像法には教行のみ有って証無し。今末法に入っては教のみ有って行証無く在世結縁(けちえん)の者一人も無く、権実(ごんじつ)の二機悉(ことごと)く失(う)せり。此の時は濁悪(じょくあく)たる当世の逆謗(ぎゃくぼう)の二人に、初めて本門の肝心寿量品の南無妙法蓮華経を以て下種と為(な)す」(御書1103-4)