Dクラッカーズ〈6〉王国―the limited world (富士見ファンタジア文庫)/あざの 耕平
¥651Amazon.co.jp

【それは、夜明け前の透明な時間。
少年は一粒の涙をこぼしながら、“王国”への扉を開く。
“魔法使い”となった少年を受け入れ、女王は囁いた。
「尊い方。私は貴方の望む力になりたい」
そして、世界はついに目を覚まし――物部景という少年が葛根市から人々の“想い”から姿を消した。
その日、梓の心には喪失感が刻みこまれたはずだった。
しかし、変わることなく過ぎる時間の前に“景への想い”は揺らぎ、幻のように曖昧になっていく…。
“王国”の、そして女王の力には、どんな想いも通用しないのか?
人々の中から“景”という存在が完全に消え去る刻は、すぐそこに迫っていた―――。
ネオ・アクション・サスペンス、すれ違う魂が傷つけあう、第6弾。 】

● 登場人物~

物部 景
はぐれ者の悪魔持ち(オーナー)。
女顔で色白、おまけに小さめで細い男の子。
だぼだぼの青いウィンドブレーカーが目印。フードまですっぽり。
ウィザードの名前でアングラな人達に知られている。
悪魔は自身の影。

姫木 梓
景の幼なじみでもある帰国子女。女王様。
なんていうか……景に対してのみ、傍迷惑な人。かなり「わーこの人ひでー」と思う。うん。
護衛術を嗜んでいたのである程度の心得はある。千絵の相方。実践派。ポニーテール。

水原 勇司
コウモリの愛称を持つ景の相棒。情報収集役。
年の上限はあるものの美人大好きなカルい男。
景の独断専行と千絵の無謀っぷりを収めるある意味苦労人。

海野 千絵
自称探偵。ドラッグ撲滅アングラカチコミ上等な女の子。
下手な変装が得意。変装になってない変装ってなんだ。委員長。
警察と不良に名前が知れ渡っていて、親は千絵の行動を放任している。

甲斐 氷太
ドラッグ・ドックズ通称DDの王様にしてサメの悪魔を持つオーナー。
好戦的で戦闘狂。粗野だが頭は回る。
ウィザードと一戦やりたくてしょーがない。
DDがDDとして機能するには必要不可欠なカリスマ。参謀にビーグル。
もうどうしようかってくらいこの人好きだ。

皆見 茜
元セルネット「デルタ」、一時期旦那(甲斐)の所にご厄介になっていた頭のキレる人。
表紙ー。三つ編み+眼鏡、地味極まりない女子高校生。
怒っている甲斐の目でも真っ直ぐ見据える。


■ 感想とか色々~

感情なしに人は人を記憶できるか、っていうので。
景と過ごしたこれまでがただの知識としてしか思い出せない水原と梓さん、唯一景を知識としてではなく覚えていてその繋がりを取り戻そうとする千絵。
中学生三人組、久美子と香苗と由紀も登場。
ああなんかこの人達が出てくると明るくていいな…。

流れる空気がぎすぎすしてて「あーうー」言いながら読んでました…。
仲が悪い、ってんじゃなくて――見解の相違というか優先順位というか。
今までなかった食い違い。忘れていることへの苛立ち。上手く言い表せない隔たり。
かける情熱も時間も能力も、梓さんと水原は付き合ってやる、というものなのかなと思ったり。
しかしまあ…カラオケでのあのカッコよさは一体なんなんだ、というくらい千絵がカッコよかった……言ってくれてありがとう!
乱暴な風が吹き抜けた後の爽快さ。「みんな」の意味が違った。


旦那が向こう行っちゃったのもあってガタガタのDD。
ビーグルと水原のツーショットって初めてじゃないかな!
わーもうお互い苦労してますよね暴走気味の主人持つと……! という雰囲気満載。
あとこれに茜さん加わってしみじみお茶でも飲んでいてくれるとわたし的には最高でした。
というか旦那とビーグルって何歳?
消さなかったメールと留守番電話。都合のいい、と言われても信じたいものは信じる。
自分の思っているような理由じゃない可能性があるとしても。
意外に重要だったロザリオ! 引っかかっては消え、引っかかっては消え、ああもうさっさと思い出して! でもそしたら物語としての面白みが…!というジレンマ。

王国にいるのは魔法使いと黒い犬。
うわーもー黒犬ーーー!!とどれだけ喜んだことか。
女王様と魔法使いのやり取りにハラハラしたり、扉の前で待ち続けた一人と一匹に可愛さを感じたり。
黒いわんちゃんが待っていた理由がよかった。
5巻での決闘のときに戦闘狂として景と旦那は同類らしかったけど、結果論で語るなら黒い方は行くために待っていて青い方は会うために待っていた。
ああもうダメ、茜さんに送ったメールも合わせて素敵過ぎる……っ!
一括送信でないことを祈ります。
「姐さん」の復活、ビーグルと同じDD古参の迎え。
茜さん…そんなに能力的には活躍してないんですが……揃えたようにカッコいい…。


「美人の味方、ただいま参上」で沸き立った。
そのあとの一連の千絵と水原はお互いに可愛すぎる。
水原は飄々としながら内心焦ってそれをまた取り繕ってると可愛くてしょーがない。


イラストレーターは村崎久都さん!
茜 さ ん ……!
なにこの無愛想な子! 片手に本って! セーラーって! 三つ編みって! 眼鏡って! 大好き!
外行っちゃうんですか旦那は!?と思ったわたしはこの2人がどれだけ好きなのかと。旦那がツンデレに見えたって。わたしも茜さんの頭ぐしゃぐしゃにしたーい。
挿絵も表紙と近くなってきました。おまけの茜さんも可愛いです。単語帳!
思えば読み始めたのって表紙の威力だと思うんだ……いや読み続けられたのは作品の魅力故だが。
短編込みで全巻揃えたのでゆっくりまったり読みたいと思います。



Dクラッカーズ〈5〉追憶―refrain (富士見ファンタジア文庫)/あざの 耕平
¥693Amazon.co.jp
→(5巻の感想