※個人的妄想。苦手な方はご遠慮ください。

 

 

 

 

 

 

『だからさ、あれは

 恋愛に関して自信のない人が

 好きになった相手にイジワルしちゃった、

 そういうことでしょ?

 ストーカーの亜種、とも言える。』

 

金曜日の夜

いきつけのバーに来ています。

バーテンのサトシさんはわたしの推しに似ていて

カクテルの味も間違いなし。

 

幸い席も空いていて

カウンターの奥から3番目に座れました。

一番奥は常連シゴできリーマン サクライさんの指定席

(本日は未だ姿を見せず)、

2番目の席には、わたしが密かに

サトシさんのイツメンだと認識しているうちの一人、

小柄で色白な男性が座っています。

 

「えーーイジワルで

 あんな嘘を吐いたってことですか?

 めっちゃ大事になってたじゃないですか。」

『似非人権派のせいでね。』

 

あ、この人 結構シニカルかも?

さっきマスターが『ニノ』って呼んでた気がする。

 

わたしと『ニノ』さんは なぜか

女性町議が男性町長にセクハラされた事件

(女性は後にセクハラの事実はなかったと

 発言を撤回)について

話しています。

マジ、なんでこんな話になった?????

 

『お待たせいたしました。』

「わぁ美味しそ~う!

 いただきまぁす。」

 

金曜限定の定食(数量限定)が

サトシさんによって供されました。

今日は ムニエルがメインです。

 

おしゃれなバーなんですけどね、

週1でこんな日もあるのです。

ちなみに『ニノ』さんの前にも

定食が置かれていています。

ビールなんか飲んでると

お魚も白飯も味噌汁も冷めちゃいますよ~

 

『だから、

 自分の心に素直になるのが

 大切なんだと思うんだよね。

 女性も男性も

 いくつになっても恋はするだろうし

 好きになった相手には

 別の好きな人がいることもよくあることでしょ?

 自分が恋していること、

 好きな相手が自分をなんとも思ってないこと、

 素直に認めなくちゃね。

 ね?マスター?』

 

呼ばれたサトシさんが

こちらを向いてくれます。

今日も白シャツ蝶ネクタイ

ベストに長エプロンを着けた姿が

決まっています。

 

『なんの話ぃ?』

癒やしをもたらす声と顔♪

 

『素直が一番、てことですよ。』

『んふふ、ニノがそれを言うの?』

 

私も素直に

”今日のムニエルもご飯もおみおつけもピクルスも

美味しいです”と申告したいところですが、

イツメンの会話はもれなく聞いておきたいッ!

ああでも、”ムニエルのお魚は

サトシさんが釣ったものですか?”と

訊きたいッ!

 

しかし、それを上回る

イツメンとサトシさんの空気感ッ!

多幸感とはこのことかッ!!!!!

1週間の疲れが消えていく~~

 

二人の他愛もない会話は

常連さんのオーダーの声で遮られます。

 

わたしは定食をいただきながら

『ニノ』さんと

”勘違いしている人たち”について

話しています。

 

「え、もしかしてこのお店って

 結界をはってます?

 勘違いする人は入れない説、

 ありません?」

『ニノ』さんが愉しそうに笑います。

以前見たことのある酔った時よりは

抑えめの笑い声です。

 

『結界、あるかもね?

 もしくは、勘違いタイプには

 好かれない店なのかも。』

 

・・・両方あるかも・・・

 

『ご馳走様でした。』

『ニノ』さんが定食を食べ終え、

きちんと挨拶をします。

サトシさんが 近づいてきます。

 

『マスター、JCBで。』

『・・・どこがカードや・・・』

『もうすぐ貴重になる旧札ですよ。

 大切にとっといてください。』

なんの変哲もない数枚の千円札で

二人は愉しそうに会話しています。

 

『ありがと』

『じゃ、また明後日。

 カウントダウン楽しみにしていますよ。』

 

ふ~~ん、明後日ってことは16日?

カウントダウン?

17日を一緒に迎えるの?

 

え、それって

他のイツメン(含むサクライさん)も一緒?

え?どこで?

もしかしてこのお店?

 

訊きたいッ、

けれどわたしは節度を守る客ですから。

 

ニノさんが去った後も和やかに賑わう店内で

なんとなくサクライさんが来るのを

待つような気持ちになっています。

わたしが会いたいからではなく、

マスターと彼の2ショットを拝んで

心豊かに週末を終えたいからです。

 

さて、

ご飯を食べ終えたら

どんなお酒を作ってもらいましょうか。