※個人的腐妄想。苦手な方はご遠慮ください。




「大野旅館の社長と大女将も
 そうですけれど、
 うちも親が仲が良いんです。」


ちょっと高級な櫻井旅館に泊まって
古い我が家に帰ってきた。
今日は大浴場ではなく
旅館受付の奥、帳場の隅にある
休憩室にいる。
サクライさんは夜勤中である。

櫻井旅館(最初の名前、今はもっと
お洒落な名前になっている)で
サクライさんの妹さんに会った話をしたら
家族の話題になったのだ。

サクライさんの妹さんは
わざわざ部屋まで挨拶しに来てくれたのだ。
旅館の営業の仕事をしてるんだって。

サクライさんに似た顔立ち
頭の良さそうなとこも似てる。

櫻井旅館 スゲかったな。
明るくて清潔でテキパキしてて
お部屋ではゆっくり寛げて。

いつものかまくら会議慰安旅行なら
旅館経営者家族であることは隠して
泊まるらしいけど、
今回はバレバレだし。

てか、サクライさんのお父さんの方針で
同業者とは どんどん意見交換をするんだって。
妹さんが 旅館の経営や
周辺の櫻井リゾートの施設の運営についても
色々詳しく説明してくれた。

一緒に行った 西や上(カミ)のおじさんは
経営者魂を刺激され
なんだかスゴい研修旅行みたくなってる。

父ちゃんが来られれば良かった。
おいらじゃ まともな意見の一つも言えない。

皆が 観光産業がどうの
お客様のニーズがどうの言っている時に
おいらは サクライさんの妹さんの顔を
スケッチしていた、エアーで。

丸い眼
理知的な瞳
ふっくらした唇
意志の強さを湛えた眉
明るくて おいらを和ます笑顔

うん、お兄ちゃんそっくり

で、帰ってきて思ってるわけだ。
うん、妹さんそっくり

おいら
家族とかシンゴとか
描いたことあるけど
サクライさんのことも描いていいかな?

サクライさん
部屋に来ることあるからな。
予め 描くって言うべき?

・・・恥ずいから
言えないよ。

描いたとしても
隠しておけば良いのか。


サクライさんは 
お母さんはお父さんとは全く別の仕事をしていて
ほんで お2人がお互いを尊重し合ってる
みたいな高尚なことを話している。

子ども達には したいことをさせ、
自分たちも したいことを続け、
お父さんの仕事は世襲にする気は無い。

うちなんか
姉ちゃんが昔っから旅館の仕事をやりたがってたかんな。
祖父ちゃんも祖母ちゃんも
『じゃあ智は 絵描きにでもなるか』って。

んふふ、半分そうなってる。


「旅の疲れが出ましたか。」

サクライさんが優しい顔で尋ねる。
疲れてないよ、
おいらが喋らないのはいつものことだ。

ま、でも、
深夜で
サクライさんは就業中だし。

「邪魔してご免ね。」
おいらは部屋に戻ることにする。


うん、
やっぱ描こう、
内緒で。