※個人的腐妄想BL?系  苦手な方はご遠慮ください。




「おいら 京都に行く。」
サトちゃんが いつものボソッとした声で
でも決然として言った。


 ☆


俺の祖母は サトちゃんが知恵を借りに行った翌朝には
自分の地唄仲間や師匠に
電話をかけてくれていた。

マンション近くに住んでいた後輩は
群馬の自宅に帰らないと連絡先がわからない と
言いつつも
同級生経由で調べようとしている。

翌日 授業中の俺に
祖母ちゃんからメールが入った。
『今晩 サトちゃん
 お部屋に来られないかしら』

早速 師匠捜しの手がかりが
見つかったようだ。

大野さんに確認すると
授業が終われば帰宅する予定で
寄れると言うから
祖母ちゃんにその旨伝える。
俺も 四講目が終わったら帰ろう。


捻挫が大分よくなってきた祖母ちゃんは
晩飯を用意してくれていた。
サトちゃんは 菓子折りを手土産に持ってくる。

祖母ちゃんは 俺達に飯を食わせてから
ある舞台を録画したものを見せた。

俺 地唄舞って知らないけど
(祖母ちゃんには 一緒に観たことがあるでしょう
 と言われていた)、
フツーの着物(綺麗目の)で 直面で 踊るんだ。
芸者さんなら 仕事着に仕事のお化粧で踊る
ってことか?

録画は 国立の小劇場で
撮影されたものだそうだ。
サトちゃんは 画面を食い入るように
見つめている。

伴奏は 三味線と唄、
踊り手は女性1人
(俺が想像していたのより
 大分・・・人生の先輩)、
緩やかな曲に乗せて
しっとりとした舞いが繰り広げられる。

俺は 上手いな 位の感想である。
ああこれは 玉三郎が踊りの会で演ってたみたいなやつだ
とわかり、確かに祖母と観たことある系だ
とか考えている。

そして、再生されているものよりも
それを観て感動している(明らかに)サトちゃんに
余程興味をひかれている。

瞬きも忘れて
でも涙目なのは多分そのせいだけではなくて
ただただ熱心に見入っている。

踊りが終わって
祖母ちゃんが再生を止めた。

サトちゃんが息を吐く。

俺は 下手なことが言えない雰囲気に
口を噤む。
祖母ちゃんは 優しくサトちゃんを見やっている。


サトちゃんが
一度ギュッと閉じた眼を開いてから
祖母ちゃんに向き直り、
「この方です。」
と言った。