東武東上線の脱線事故の報道 | michyのブログ

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ダラダラした日常で興味を持ったことを、ぼちぼちと書きなぐります。

18日に起こった東武東上線の脱線事故、ちょっと驚いたが、
けが人も無く、大きな被害も無く、
場所的にも東上線と乗り入れる有楽町線&副都心線で回避できるところで
場所と1日の通過人員の割には影響が少なそうなのは不幸中の幸いか。
中間の車両だけが脱線したというのが気にかかっているが、
台車が破損しており、これが原因なら納得は出来る。
(まだ断定は出来ず、他の原因で脱線した後に台車が破損した可能性もあるが。)
いずれにしろ、正確な原因究明と対策を望む。


さて、
こういう自分の得意分野の事件事故の際、マスコミがどれだけいい加減かがよくわかる。
フジテレビのtwitterに釣られたうえ画像無断転載はもう呆れて笑うしかないとして、
やっぱりこういうところでおつむが足りないのが毎日新聞。

<東武東上線>5両目車軸2本が右側に脱線 ATS壊れる(毎日新聞 5月18日(水)21時29分配信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160518-00000097-mai-soci
http://mainichi.jp/articles/20160519/k00/00m/040/104000c

確かに線路内の機器が壊れているが、これはATSの地上子。
アンテナみたいなものと思ってもらえればいい。(ちょっと違うけど)
ATSは自動列車停止装置の略で、地上子や制御回路の地上装置と、
車上子や非常ブレーキなど車両についている車両装置の組み合わせを言う。
ここで壊れたのは地上子なので解りやすく言い換えるなら「ATSの地上装置」でいいが、
「ATS」だけなら明らかに不完全。
それに、東上線ではATSはもう使用しておらずATCに切り替わっているのだが、
NHKの画像や他メディア等ではATC地上子の破損に言及しているものの、毎日は一言も触れず。
「ATS」という言葉だけ中途半端に知ってて書いたか、他者の言葉を聞きかじったか。

いやね、
一つ一つの正式名称を知っておけとか書けということではない。そこは重要ではない。
だが、その機能や概念は正確に把握しないと、
何を書いているのか解らず、誤解を与えるきっかけにもなる。
解らないなら、「列車の保安関係の装置が壊れる」や「列車の信号に関する装置が故障」でもいいのだ。
だけど、「ATS壊れる」は無いだろ。


一つたとえ話を挙げる。
ETC機器を搭載した車で、ETCを使用せずに高速道路を利用しようとしたとする。
ドライバーはETCを利用しないことを認識としているので、
ETC/一般兼用ゲートに入って職員から券をもらい発車。
その際、何らかの原因で料金所ゲートに接触事故を起こしてバーを破損したとする。
この事故を説明するのに
「高速道路で接触事故~ETCが壊れる~」
という見出しをつけるのと同じだ。
それに、中の記事を読んでも「ETCが壊れていた」としか書かずに
「ETC用のバーが壊れていた」とは書かれていないとすると
読んだ人間は「事故の原因は何?ひょっとしてETCの誤作動か故障も?」と誤認する恐れがある。

毎日新聞が書いた記事というのはこういうことなのだ。

改めて言う。
一つ一つの正式名称を書けということではない。そこは重要ではない。
だが、その機能や概念は正確に把握しないと、
何を書いているのか解らず、誤解を与えるきっかけにもなる。

もっとも今回は、正確ではないにしても見たままを書いただけで、
大淀病院の件や羽越線脱線事故 のように
余計な自分勝手な解釈を付け加えなかっただけ、
毎日新聞にしてはまだマシと言えるかもしれない。


ちなみに、レスポンスの記事。非常に解りやすい。

東武鉄道の東上線で脱線事故…台車に亀裂(レスポンス)
http://response.jp/article/2016/05/19/275390.html