”神崎くんは独身”二宮ひかる | michyのブログ

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二宮ひかるの最新刊。
この人は色事のマンガ家というのは間違いないのだが、なんというか色っぽいのだが
自家発電には使えず人肌が無性に恋しくなる作風。うん、人肌が恋しくなる。
何というか、行為そのものの描写があっても「エロ」ではなく「いやらしい」なのだ。
そして強烈に人恋しくなる。体と心をぶつけ合うようなパートナーが欲しくなる。
元々そういう感じはあったが、ここ数年その傾向が強い。
単にお涙頂戴というわけでも人情物というわけでもなく(むしろそういう方向からはかけ離れてて)
やっぱり男と女のアレやソレを書いてて、だけどなんというか、
体を重ねるだけでなく心を重ねたり時に心を突っついたり鷲づかみにしたり、
そんなこんなで、生涯独身でも仕方ないかと諦めているおいらにすら
「ああ、誰かいい人いないかなあ」と思わせるなんとも罪作りな作風なのだ。

構成としては、タイトルにもなっている融通の利かない男・神崎くんと
彼にまつわる女性の話×2編。(プラス短編。)
本作は週刊漫画timesに連載されたものをまとめたもの。
昔ながらのごっつい男性向けエロ本に連載されたにもかかわらず
非常にソフトというか、よくよく見直したら行為そのものの描写は
神崎の昔の女とのわずかな回想シーンのみ。
なのに、どうにもトラブルメーカーっぽい裕子さんのうしろから
ぎゅっと抱きしめたくなり、問題児詩織ちゃんを頭ぽんぽんなでながら
お小言言いたくなる。
うむ、やっぱ罪作りだわ、この人の作風。

本作は2012年の”ダブルマリッジ”の登場人物を再構成して作ったまったく別の作品。
設定的には、”神崎くんは独身”のほうが現実世界で、その神崎くんが周囲の人物を
モデルに書いた小説が”ダブルマリッジ”。
作者本人があとがきで説明しながら
「いや、どうでもいいです」
みたいに書いているが、実のところ”ダブルマリッジ”の
裕子さんの堕天使的なキャラ設定が非常に魅力的であり
なるほど神崎の視点を通して魅力を浮き立たせる形でキャラ設定したら
こうなるのかと思うと二重に楽しめた。


追記
で、「あれ?”ダブルマリッジ”に神崎っていたっけ」と思って読み返してみたら、
・・・いたけど、うん、やっぱ暗いぞ神崎。自分の書いた小説内キャラでもこれか。
一貫性はあるけどな。

追記2
両作で、顔と名前は同じなのに一番性格と設定が異なるのが詩織ちゃん。
これは、神崎の更正して欲しいという思いなのかとも取れるかな。
うん、やっぱ暗いぞ神崎。(作者が意識してか無意識かは知らんが。)
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