3年連続の出場となる本大会だが、他に100km部門や瀬戸内ジャーニー120kmもある中、75kmは15時からウェーブスタートで遠方からでも当日出発で間に合い、なんと言っても海無県の生まれ育ちの私にとって、しまなみ海道というワードの破壊力ときたら半端では無く、どこ行くのと聞かれたら、「あ、えーっと、しまなみ海道に」と言いたくて仕方ないほど、憧れの対象だ。また、ウルトラウォーキングの類で初出勤したのが8回大会(75kmのみ)なので長い距離を歩くという初めての体験をした愛着もあるが、しまなみ海道というブランド感を味わえるというところも魅力だろう。


光があれば影があるように、この大会の開催日が、9月第2土曜日開催となるため残暑が厳しく、日差しも強いので紫外線対策が必須なのと、無風状態のコースは昼間熱せられたアスファルトからの暑さ、身体も火照り湿度が高くまとわりつくような汗は不快感も高い。とにかく長時間に渡り汗をかく。会社では真顔で「死なないでくださいよ」とエールを送られたくらいだ。確かに常軌を逸したチャレンジだ。


15時スタートで景色を楽しめるのがせいぜい4時間で、収めた画像の9割がこの時間帯だ。陽が沈むと橋の構造がそれぞれ違うのは分かるが、風景としてはどうしても単調となる。


さて、2度あることは3度ある、あるいは3度目の正直という諺があるように、私の今大会のテーマは3回連続の75km部門を気持ちよく歩くことにより、しまなみ海道ウルトラウォーキングを卒業しようというものである。あれほど海無県の希望と持ち上げておきながらしまなみ海道から卒業と言い出すあたりがおかしいが、14時間59分、14時間38分と縮むタイムを見て、13時間を目標にと、タイム縛りは辞めた方がいいよと頭の中では考えながら己の気持がそう主張してくる。これが悲劇の始まりだ。


私の練習と言えば通勤自宅から駅、駅から職場と1日12km歩くというもの。8月の信州中山道と木曽路12宿ウルトラウォーキング後、手帳を見るとしまなみ海道の期間まで、6日しか歩いていない。これはどういうことかというと、圧倒的な練習不足を意味する。私の場合、2週間歩かないと、感覚を取り戻すのに1週間必要で、手帳の歩いた日は連続しておらず、暑い日々に意気込みだけが熱くなり、気持ちとは裏腹に身体の状態はベストでは無かったのだ。にも関わらず、あわよくば13時間代と息巻いていた訳だ。なんとも恥ずかしいが、勘違いできるほど少しの距離なら問題が無かった。


いやいや、少し自身を深掘りすると75kmだからという慢心かもしれない。お盆休みだ、台風接近だ、暑いから体力温存だのという発想に繋がったのでは無かったか。今なら自分に言える。精神的な数字上のゆとりはあるが、体力的に100kmも75kmも同じだと。


自称、旅情ウォーカーとしては受付前の尾道駅付近の散策も楽しみの一つ。5時36分の電車で東京駅に向かい、のぞみ5号で福山駅へ。尾道駅には10時36分に到着だ。天気に恵まれ過ぎて嬉しい悲鳴だが昨年の暑さを思い出して顔が引き攣る。




アーケードの屋根が助かる。毎年、トートバッグを購入した彩工房や、和菓子の松愛堂に寄るのを楽しみにしている。

お昼は尾道ラーメンを食べているが、今回はスパイスカフェコヨーテさんに引き込まれるように入り食べたが、めちゃくちゃ美味しくて量もちょうど良くファンになってしまった。


尾道は路地裏に表情がある。




散策すると当然暑いが、ひと回りして渡船場へ向かう。





料金は100円で回収に来てくれるから、お金の準備をしておけば大丈夫。海からの風が心地良く幸せな時間を過ごせる。来週雨っぽいからサイクリングを今日にした、などの会話を聴きながら短い船上の時間を楽しむ。


到着してスタート地点の途中に厳島神社があり、昨年同様、昨年無事のお礼と今日の無事を祈る。



スタート地点に着き、お約束のスタート地点の画像を納める。受付まで1時間ほどあり、尾道市民センターむかいしまの施設を使わせていただき準備を進める。いつも利用させていただきありがとうございます。


準備は日焼け止めを顔や腕に塗り、ふくらはぎにカーフを装着するのが一苦労で、もう少しゆとりのある商品に変えたいと思っている。キツ過ぎるとちょっとした浮腫みも締め付けられ過ぎて痛い。

帽子にアームカバー濡らして冷やすタオルだ。


夜になるとアームカバー(冷感)も首のタオルも外した。冷感といってもやっぱり暑いのよ。今回は夜間だけ帽子も取った。それだけ暑い。(しつこい)


2時40分から大会の注意事項も含めた開会式が始まる。最近のアクトレップさんは主催の大会も爆発的に増えしまなみ海道ウルトラウォーキングは100kmも同時開催で当然リタイヤやイレギュラー対応など大変だろうなと想像しながらスタッフを見ていた。(嫌な参加者だな。)


過去2大会に比べて、にわか雨が降ったり風が少しあるように感じて灼熱が和らぎ昨年よりも歩きやすいことを期待した。


さて、最終組が呼ばれていよいよスタートだ。アドレナリンを出すべく自身を鼓舞していく、このなんとも言えない緊張感がたまらない。

仮装する参加者は今回不在でキティさんバッチを装着している人を見かけ話しかけようにもスタート後、会うことは無かったので速い方だったんだろう。さすがはキティさんバッチだ。


歩き始めて、やはり昨年より気持ち涼しいかな。

ヨロン極楽荘のTシャツを着ている方に遭遇したが、昨年もお会いしたかな、どこかでお見受けしたな、次回は話しかけてみよう。そんなことを考えながら歩く。


いゃあ、絶景。最近、腕をあげるのだが、手首をお化けみたいにダラんとしながら歩く癖がある。抜かした時に笑われているかもな。


反射タスキを受け取る場所に到着。この後階段で一気に橋の上まで上がるんだけど、昨年よりキツくなかったので、練習不足なのに、勘違いしてペースを上げていく。




うん、やはり風も少し感じる。今回は涼しく歩けるのかな。(涼しさを感じたいのは分かるが暑いって)


第1エイドは変更され16km地点のコンビニだ。到着してサンドウィッチをいただく。まだ序盤なのに2ℓ近く水分補給していて若干お腹が膨らんでいる感じがある。今年も夜間歩行の前に美しい景色を見せてくれる。


向島から因島を経て橋を渡って生口島から夜の部が本格化的に始まる。没入感には持ってこいの時間だ。



ソックスもインナーファクトに変えてからコンディションがいい。昨年はたくさんマメができたから、クリームと併用して対策ができて本当にありがたい。


夜になり、ペースを上げて行くがふくらはぎのカーフが締め付けられて痛みを感じる。気がつくと手が浮腫んいる。なんだ?そして次に太腿がペースに追いつかず悲鳴をあげ始めた。あれっ?ここで太腿に関しては練習不足を思い出したかのように痛感したのだが、浮腫についてはよく分からない。心当たりと言えばOS1の補給と炭酸を飲んだくらい。


ペースを落とし歩くが、浮腫んだ痛みを緩和すべく、ふくらはぎのカーフを脱ぐと決断し邪魔にならない場所で座る。しばらく浮腫の様子を見ながらリタイヤする医学的変化では無いと判断し13時間の目標タイムを捨て、歩き切ることだけ考える。


第2エイドに到着してしばらく休み、お腹が水分で膨らんでいるが、提供されたおにぎりは完食した。ふくらはぎはカーフを外してからは問題ないが手は全体的に浮腫んでいるから、手をグーパーしながら動かしたりした。


マイクロバスが停車していて、100km部門のリタイヤ者が乗っていた。最初は、リタイヤ者の送迎が遅いのではないかと思ったが、バスば満員になり次第ようやくゴールまで向かうようでリタイヤを決断しても物理的に待たざるを得ないのは仕方ないし、考えてみたら早く送迎されても現地の過ごし方も予定外のことで、バスに座っている時間が長い方が安心だ。


気を取り直して第3エイドへ向かう。3回目となればおよそのコースは覚えていて次は左手に曲がるなどGoogle mapは4回くらい確認するに止まりこれは心理的に楽だった。


ライトも2個持ち、前回大会で少し使用したものから使い、光量が落ちてきたら速やかに交換する。これはなかなかいい方法だと自画自賛。


ペースも落として、それなりに一定のリズムを保ち歩いていると、ペースメーカーにちょうど良かったのか後方に抜かない雰囲気のウォーカーが付いてくる。どんな形でも複数人いると万が一の時に安心だ。まだ、眠気は大丈夫。


第3エイドに到着し、コロッケパンを食べて少し休んでから出発。しまなみ海道は橋へのアプローチで登り、渡ってからは下る訳だが、下りが地味に脚に効いてくる。


初めて参加した時より距離の感覚を理解し、次のエイド到着時間を読めるようになり、これは本当に大きな進歩で闇雲に歩いていた時からは想像も出来なかったな、なんて考えながら歩く。徐々に襲ってくる睡魔に肩ストレッチが効果的で(自分調べ)おかげでかなり肩周りが解れた。


第4エイドは来栖海峡大橋が見える公園で休憩だけさせてもらい自販機でさらっとトマトなる商品を飲んで残り13km先のゴール目指して歩く。途中で地元の方が一礼してお参りしている。見ると弘法大師様の石仏がある。地元の方に挨拶をして弘法大師様に一礼し通過した。


いよいよ最長の来栖海峡大橋だが、ここから睡魔との闘いだった。途中、橋の欄干に左腕がぶつかって目が覚めたり危ない状態だったが、肩ストレッチをしながら歩みを進める。早朝になるとランニングをする人、自転車で通過する人がいるので、注意しなければいけない。

この橋は4kmくらいほぼ直線に歩く。とにかく長いので何も考えず歩くのが吉。

途中、2箇所くらいベンチが配置されていたけど、休憩するのにいいかもしれない。ちなみに暗い間の画像はこれが最後となる。


橋を渡りきり今治市街地に向かいながら朝を迎える。眠気も徐々に無くなり何も考えず進む。朝散歩の地元の方へ挨拶するも鬼気迫る表情に驚かれたかもしれない。車からも視線を感じて、勝手に応援してくれていると解釈していた。


ぼんやり歩きながら総括をする。参加する大会それぞれ課題が変化し、今回は練習不足でスピード出すと太腿が悲鳴をあげること、ふくらはぎのカーフがキツ過ぎたこと、終盤に浮腫んだことはあるが序盤で浮腫んだこと、冷感(冷汗)商品も暑いこと、汗が出過ぎると背中から肛門まで汗が流れ少し痛くなること、気さくに話して別れた後にバッタリ会うと照れくさいこと、眠気に肩ストレッチは一定の効果あること、日焼け止めを顔に塗っても汗で流れて結果焼けてしまうこと、インナーファクトのソックスは優れていること、エイドて水分補給時、水かスポドリか迷う時があったこと、調子が悪いなりに頭を切り替えれば、また自身の引き出しが増えること、眠気対策はコーヒー断ちをして効果を試したいと思ったこと、尾道のスパイスカフェコヨーテは美味しいこと、コーラを2本も飲んでしまったこと、大会でたくさんの応援を受けた分、人のためになることで尽くして返すこと。


さて、市街地に入ってもこれだけ総括できる時間がある。背の高いホテルの交差点を左に入りいよいよ今治城が近づく。


1年ぶりの訪問ができた。

タイムは15時間58分。欲を言えばキリがない。無事に歩けた、それで充分。たとえリタイヤしたとしても、それは次に繋がるナイス判断だし元々何も無いところからのスタート、得るものしかない。

あっ、そう言えば、しまなみ海道ウルトラウォーキングの卒業式は延期になりそうです。


スタッフや共に参加したウォーカーの皆さんや見守っていただいた地元の方々にお礼を申し上げます。


足にマメができなかったから、温泉に入り11時45分の松山空港発で羽田へ向かおう。会社で申し込みボタンを笑顔で押してくれた人への報告からまた次回へのスタートだな。


皆さんの健闘を祈ります。