ずっと雨だった。
暗くなってからの峠道では身体が冷えて心がくじけそうになった。

冷えに抗うように上りを攻めた。その結果60kmを過ぎてから限界がきたのだろう速度が落ち始めた。抜きつ抜かれつ歩いてきた集団に置いていかれ真っ暗な山中で独りになった。必死だから恐怖感はなかったが、今冷静に考えたら、よく暗闇に心が押し潰されなかったなと感じる。


雨は止む気配が無い。


膝への負担を軽減しようとザックからポールを取り出し使い始める。うまく使えていないからだろう、下り以外は邪魔に感じるが、歩く速度が落ちても腕の運動を取り入れることで冷えを誤魔化す狙いもあり、なんとか身体は温まってきた。


身体が温まると、暑くなり上下のレインウェアを脱ぎたくなり第4エイド70km地点で下を脱いだ。思ったより風が入り冷んやりしたが暑くなるとちょうどいい。


靴の状態だが、スタートして峠道になると避けられない水たまりが増えて常にびしょ濡れで水が入るたびにぐしゃぐしゃと足元で音を立てている。


ソックスはインナーファクトの五本指タイプ。ゴールまで変えることなく歩みを進めた。途中でソックスを履き替えるより、靴もぐしょぐしょ状態でもうこのまま行ったれ!という勢いでこの戦略にでたというかでざるを得なかったというのが正直だ。


私のおちゃめというかアホな経験を披露する。インナーファクトの五本指ソックスの裏表が分からなくて一度裏表間違えて大会に出たらたくさんマメができて合わないなと思ったのだがなんてことなくて私が間違えていただけだった。この商品は信頼性が高くおすすめできる一品だ。


そろそろ私が苦手な睡魔について語っていこう。

本大会では不思議と睡魔がいつもより軽減されたのだ。

大会前からローラーを使ったお尻や脚への筋肉解しが功を奏したのか、はたまた前泊したホテルのマッサージが良かったのか、日頃の行いなのかは不明であるが、朝方の短い時間だけにとどまって居眠りウォークをせずに歩けた。不思議だがいよいよ睡魔克服に向かっていることにしておく。


夜が明け始めて山並みが美しく見えるエリアを通過する。霧が龍のように山から立ち上り、それはご褒美のようなとても美しい景色が広がっていた。


雨、暗闇、峠道、雨音、葉に当たる雨音、ぐちょぐちょと音を立てる靴、森林の香り、雨の香り、体力の消耗、汗、足裏の痛み、肉体との会話、一歩一歩進むしか無い状況であらゆる事が五感を刺激してくる。


私はこれらを味わうために大会に参加しているのかもしれない。


23時40分でゴール。達成感という表現よりもたくさんの自然に触れた満足感と言った方がピッタリくる。


皆さんは大会で何を感じているのだろうか。


最後まで目を通していただきありがとうございます。皆さんの健闘を祈ります。








友人から、大浦天主堂の画像が送られてきたのをきっかけに長崎県を調べていたところ本大会を知ることになり締め切りが近いこともあり申し込んだ。私は直感で大会を選ぶ傾向がある。


105kmの距離で島原市をスタートして佐世保まで、晴れていれば雲仙普賢岳や有明海、ハウステンボスや佐世保の街の景色が楽しめる大会となる。

地域の方たちが盛り上げていくこと15回を数えるこの大会は105kmと50km部門があり参加者も多い。

さて、島原市を2026年5月3日12時スタートするのだが、スタート時には予報通り土砂降りの雨だ。



私の雨対策は、上下のレインウェアのみ、靴は対策を諦めて替えのソックスをバックに入れての参加だったが、履き替えることは無く、マメもできなかったのは不思議だった。


開会式に島原市長の挨拶で、この雨を最高のコンディションだと激励いただいたが、私は悪条件に燃えるタイプでも無く、あくまでもリフレッシュが目的なので、ずぶ濡れになり身体が冷えたら迷わずリタイアしようと決めていた。

12時にスタートしてしばらくは流れに沿ってゆっくり歩くことになるが、慌てる旅でもないのである程度バラけるまではペースを合わせた。


景色も雲仙普賢岳は全く見え無かったが、火砕流の映像は今でも鮮明に覚えていて、この地を訪れようと思ったのは手を合わせてお祈りしたいと考えたからだ。改めて被災者のご冥福をお祈りいたします。


土砂降りのスタートでペースも速いこの大会で良かったのがGoogleマップでルート確認が必要なかった点だ。警備員の方が交差点などで誘導してくれる。とても安心感があって携帯のバッテリーを心配する必要がなく負担が軽減した。


今回の課題としては股関節の痛みが後半につれて辛くなったこと。日頃のストレッチを怠っていたので柔軟性に欠けていたのが原因だと思う。一方で肩甲骨は多少の違和感があったものの最後まで大丈夫だったのは、上半身を脱力しながら歩けたからだと思う。以前は腕を振りながらだったが今は肩の力を抜いている。


私もここまでの雨は初めてで上着はミレーのフィッツロイジャケットで下はワークマンのレインウェアで防水機能としてはま、ま、それなりにあるはずだが、3時間も歩けばナイロン生地をただままとっている状態だったが気温や湿気的にそれでも着ていた方が良かったと結果的に思う。


靴の中に水が入っている感覚は不快だが、水たまりを避けられない場所があり、やけくそになった訳ではなく、濡れない小さな努力がだんだんどうでも良くなってきた。おそらく多くの人がそんな感覚だったのではないかと想像している。


頭からレインウェアのフードを被って歩いたが、サイズば大きめを買っておいて正解だった。フードを被った時、ジャストサイズだと背中が丸くなり歩きにくいと思う。普通の雨ならフードでなく帽子で十分だが、この雨量に時折暴風となるとフードを被った方が安心感がありストレスを避けられるように感じた。


夜通し歩くこの大会で今でも慣れないのが睡魔との戦い。それでも以前より学習し、1週間前から寝不足を避けて眠気がきたらガムを噛むようにしてから、かなり改善された。私は睡魔に抗えない自信があり、今のところ歩道にはみ出したりはしていないが転倒など居眠りウォークの危険を感じる。


帽子は今年から日除けカバーが付いているものに変えて朝方の日差しを軽減できたかな。もう見た目は気にしていない。笑


さて、話を大会に戻すと九州勢はスピードがある。さすが15年間続くイベントがそれを表しているようだ。年齢層も幅広く最高齢は82歳と発表があった。

時折、走行中の車から声援を受けてとても励みになった。地元の皆さんありがとうございました。


ゼッケンも企業タイアップだと想像しているが反射板機能が付いて厚みがあり立派なものだった。反射タスキ代わりに車からの視認性は高そうだ。



コースは前半は平坦で有明海や島原鉄道と並走しながら第1補給所を目指す。後半でハウステンボスあたりに峠越えがあり、疲労している脚には堪えるが、全体的には歩きやすかった。佐世保の街に入ると脳が勝手にゴール近しと錯覚してしまうので、見えないゴールに遠さを感じたくらい。


この大会を支えてくださるスタッフも我々以上に、土砂降りの雨や風のなか同じ姿勢での待機や気遣いは負担が大きいと考えてると、こちらから感謝状を贈りたい気持ちになる。


1人で参加していて、会話をしながら歩いている人を見ると、感心する。私なんか自分で精一杯。しかも考え癖があるので、あれこれ頭の中で考えて歩いているから、他人と会話が盛り上がらない。

それでもゼッケンに書かれた参加者の都市名をみて2人に話しかけられて、少しの間会話を楽しむことができた。話しかけたのは一度きりで単発の会話で終わっている。


スタートから第1補給所まで降られた激しい雨は、体力のみならず精神的負担も大きかったが、気温が幸いして寒さに震えることはなかったので一歩づつを重ねられたと思う。



補給所で提供された味噌汁で生き返る。やっぱり温かくて程よい塩分が絶妙なバランス栄養食だと痛感しながらいただく。全体的に補給食も満足している。一口で食べられるミニパンも印象に残っている。


おかげさまで21時間54分でゴール。たくさんのありがとうを経験した素晴らしい大会だった。



前泊で訪れた熊本天草市、島原半島を経由して諫早市に向かう景色、私はこの地が大好きだ。


•105km

申込人数

909

当日受付人数

818 (-91)

完歩者(完歩率)

507 ₴ (55.7%)

■ハーフ

申込人数

443

当日受付人数

394(-49)

完歩者(完歩率)

362名(81.7%)


最後まで目を通していただきありがとうございます。皆さんの健闘を祈ります。










この大会は、なんと言っても「山の辺の道」を歩き歴史好きもそうでない人も趣のある道だと感じることは間違いないだろう。その上に真冬の大会である。第1回の大会で夜間の寒さ対策がダメ過ぎて2度と同じ過ちをするまいと気合いを入れたが2026年1月10日は昼間は15℃と暖かいを通り越して早歩きでは湿気を多少感じる想定外に暑い気温だった。


体温調整で手袋もせずに夜中まで歩けたし、奮発して購入した登山用のアクティブインサレーションという防風ながら湿気は放出するウェアも深夜を過ぎて着たくらいだ。


当日、主催者から第1回は240名だったが年々申し込みが増え360名もの参加者で儲かりますとは言ってなかったが、どうやら人気が高まっている大会のようだ。


私の場合、毎回課題が変わり、今回は足のマメ対策が課題として残った。いわゆるシューズの中敷きを特注しているのだが、踵が干渉するようで水ぶくれが毎回できるようになり、これは私の足の指の形状だと思うが左足の小指にひどい水ぶくれができるようになった。次回は相談しながら調整しよう。


次の課題は股関節周りの柔軟性だ。途中までは良いのだが70km付近から股関節周りが硬くなりスピードが落ちてしまう。これは肩甲骨も関係しているようで、同じタイミングで股関節と肩甲骨が疲労してストレッチをしても回復はできずにスピードが落ちる。


このマメと筋肉の疲労から、集中力が切れてグダグダになってしまう。これが無ければもっと大会自体を味わい尽くせるはずだ。


一方でうまくできた面もある。いわゆる半端ないあの睡魔対策だ。1週間前から、睡眠を十分に取る意識と遠征の時は前泊をして、大会中に睡魔がきたらガムを噛むことで今回はうまく乗り切れている。


ちなみに、なんとなくだけど以前は服用もしていた痛み止めやカフェインがたくさん入った眠気覚ましなどは服用しないようにしている。これは自然な身体の反応を無理に止める必要も無いという考え方だ。


そんなこんなで21時間18分で完歩した。タイムや順位にこだわりは無い、私の目的は心身共にリフレッシュすることだからだ。


今大会も運営や、ボランティア、地域の皆さんの協力の上に参加させていただきました。明日から皆さんから受けた恩を日常生活で周りの方々にお返ししながら、私なりの恩返しとさせていただきます。


最後までお読みいただいた皆さまの健闘を心よりお祈りしております。

ありがとうございます。