バイトが休みの時何故か天気が悪い日が多いワシです・・・
家での仕事をしているんで出ないんですけどね・・・・
さて・・・予想外に好評でしたな・・・
ツンデレな孝天バージョン・・・(笑)
すっかり木曜日には孝天編
土曜日はヴァネさん編というのが定着気味に・・・
ま、気分で変わりますが。
というわけで・・・今日もヴァネさん編です。
どぞ・・・・
「You’re My Sunshine」 その3
良く考えてみたらあたしはヴァネスの事何にも知らなかった。
出合ったCDショップ、一緒に踊りに行ったクラブ。
あたしの手を握って笑っている姿位しか・・・ヴァネスのこと・・・知らなかった。
「あのね・・・ヴァネスって仕事何してる人?」
あたしは彼と一緒に一息いれるために立ち寄ったカフェで思い切って尋ねた。
「ん?あぁ・・・そう言えば言ってなかったっけ・・・・汐音は気になる?オレが何してるかって・・・」
「気になるっていうか・・・考えてみたらあたしあまりあなたの事知らないなぁって・・・」
あたしはカフェオレを口にしながらヴァネスをチラッと見た。
「名前で日本人じゃないのは解るけど・・・」
「まぁね。オレが生まれて育ったのはL.Aだよ。」
「アメリカの?」
「ん。いわゆるABCだね。アメリカで生まれた中国人てこと。」
「へぇ・・・中国系アメリカ人ってことかぁ・・・」
「ん。そゆこと。 で・・・今は台湾に住んでる・・・・」
「・・・・え?台湾にって・・・・」
あたしは驚いてヴァネスの顔を見つめた。
「・・・仕事がオフの時とかにこっちに来てるんだ。日本に知り合い大勢いるし。」
「・・・そうなんだ・・・」
あたしはそう言われて少し驚いていた。
もちろん日本人ではないのは解っていた。
でも台湾に住んでると言われると・・・やっぱり少しこの先の二人の事を考えてしまう・・・
あたしと彼はいつまでも一緒にいられないと言われた気分がする・・・
「・・・・そうだな・・・これからの二人のこと考えたら・・・
ちゃんと汐音にオレの仕事のこと知ってもらう必要あるよね。
汐音・・・ここ出よう。口で説明するより実際見てもらったほうが早いよ。」
ヴァネスは笑顔であたしにそう言った。
あたしは彼といつものように手を握って町を歩いていた。
「ねぇ・・・どこへ行くの?」
「ん?いいから・・・・」
少しだけいつもよりヴァネスの握った手が強く感じる・・・
あたしだけがそう思っているだけなのかな・・・
「ここって・・・いつものお店じゃない・・・」
あたし達はいつものCDショップに来ていた。
「ん。今日はこっちに用があるんだ・・・」
そうヴァネスは微笑みながらいつもの洋楽コーナーを通りぬけて
アジアンミュージックのコーナーへと歩いて行った。
「・・・置いてあるかな・・・あ・・・あった・・・」
そうヴァネスは言いながら数枚のCDを取り出した。
「・・・これがオレの仕事。」
そう言いながらあたしにCDを見せた。
「この前クラブで会った仕事仲間の仔仔とあと二人とオレ・・・・」
CDのジャケットにヴァネスが写っていた。
「それから・・・これがオレのソロのアルバム・・・」
あたしはそう言ったヴァネスの手にしているジャケットを見た。
今より髪の長いヴァネスが写っている。
「・・・・これって・・・ヴァネスってアーティストだったの?」
「ん。歌のほかにもドラマとか映画とか・・・やってる。」
「・・・・つまり・・・有名人ってこと?」
「ん。日本以外のアジアではね・・・結構・・・名前知られてる。」
「・・・・日本以外って・・・?」
「ん~・・・シンガポールだろ・・・中国、韓国、タイとか・・・」
「日本だとのんびり過ごせるからね・・・日本に来てる。」
「・・・・そうなんだぁ・・・」
「・・・・ショック受けてるだろ・・・汐音・・・」
「ん・・・予想外の答えだったから・・・・驚いてる。」
「まぁ・・日本では一部の人しか知らないからね・・・確かに。」
笑ってあたしにヴァネスはそう答えた。
CDショップの店員の一人がヴァネスに気がついた・・・
声をかけてきてサインをお願いしていた。
ヴァネスは笑いながらCDにサインをしていた。
あたしは少し離れたところでその姿を眺めていた・・・
「何度か来店していただいてましたよね?まさかヴァネスさんだとは・・・」
「ドウモアリガト。」
笑って店員と話しているヴァネスはあたしの知ってるヴァネスとは少し違う人に見えた・・・
「お待たせ。汐音、出ようか」
「あ・・・うん。」
ヴァネスはいつものようにあたしの手を握った。
あたしはその手を咄嗟に離してしまった・・・
「・・・汐音?」
「あ・・・店員さんが見てるから・・・」
そう言ったあたしを見てヴァネスは急に顔を曇らせた・・・
お店を出たあたし達は何故か少しだけ距離をおいて歩いていた。
ヴァネスの後ろをそっとあたしは付いて行った。
「・・・・何で?」
「・・・え?」
ヴァネスが立ち止まってあたしにそう尋ねた。
ヴァネスは悲しそうな顔をしながら少し怒っているように見えた。
「・・・・何で手繋がなかったの?オレの仕事知ったからか?」
「・・・・だって・・・お店の人が見てたから・・・」
「今までだって何度も来た店だろ?何度も一緒に通ってただろ・・・」
「・・・・そうだけど・・・」
「・・・・汐音もか・・・オレの仕事知ったとたんに態度変わるのか・・・」
「・・・だって・・・今までは知らなかったけど・・・」
「知ったらどうなんだ?急に人の目が気になるのか?」
そう少し声を荒げたヴァネスはあたしに言った。
「・・・・だって・・・」
「・・・・結局こうなるんだな・・・皆オレの仕事知ると態度変わるんだ・・・
汐音に仕事のこと教えるべきじゃなかった・・・」
「うん・・・・聞くんじゃなかった・・・」
あたしは下を向いてそう呟いた・・・
「・・・・本気で言ってる?」
ヴァネスの声が悲しそうな顔をしてあたしに言った。
「・・・・だって・・・・ヴァネスは台湾に帰るでしょ・・・そうしたらあたしのことなんて忘れる・・・」
「・・・・どうしてそう思うの?」
「・・・・だって・・・・ヴァネスは仕事が忙しくなって・・・日本に来る機会も減って日本でも有名になって・・・」
「・・・・有名になったら汐音はオレとはもう会えないって思う?」
「・・・・あたしのことなんてどうでも良くなる・・・」
あたしはそう言ってヴァネスの目を見つめた。
「・・・・どうでも良くなる相手だったら好きだなんて言わないよ・・・」
「・・・・あたしはどう考えてもこの先ヴァネスとこれからも一緒にいられるとは思えない・・・」
「・・・・汐音・・・」
「住む世界が違いすぎるってことに気づかされたから・・・あたし。」
「何でそう結論つけるんだよ?お互い努力していこうと思わないんだ?」
「・・・・努力って?あたしが台湾に行くってこと?そんなのどう考えても無謀でしょ・・・」
「・・・・別に台湾に来いなんて言ってないよ・・・・会う時間は少なくたって・・・」
ヴァネスはあたしの肩に手を置いて必死に言っている。
「・・・・あたしは・・・好きな人にはいつもそばにいて欲しいと思ってる人間なの・・・」
「汐音・・・」
「無理なの・・・離れていたら気持ちも離れちゃうよ・・・笑顔でなんていられない・・・」
「・・・・オレの笑顔の元は汐音だよ・・・今でもこれからも・・・」
「・・・・あたしの笑顔の元はいつもそばにいて欲しいヴァネスだよ・・・でももう・・・」
あたしはこれ以上耐えられない・・・
目を瞑ってからふぅっと息を吐いてもう一度ヴァネスの目を見つめた。
「・・・・ありがと。」
「・・・・汐音?」
「・・・・ほんの少しの間だったけど・・・一生大切にしたいと思うほどヴァネスのこと好きでした。」
「・・・・でしたって・・・もう終わりにするってこと?」
ヴァネスの顔色が見るみる内に変わっていく・・・
それでもあたしはそのまま言葉を続けた・・・
「・・・・夢みたいな時間だった・・・あたしに勇気もくれた・・・好きな人といるために強くなりたいって思う気持ちも。」
「・・・・もうその気持ちも消えるのか?」
「気持ちだけじゃどうにもならないことがあるでしょ・・・ヴァネス。」
「・・・オレは諦めるつもりなんて無いよ・・・汐音を。」
「・・・諦めるとか諦めないとかの問題じゃないと思う・・・」
もうあたしは彼の前にいられない・・・
彼の前で泣き顔なんて見せたくない・・・
「最後に笑ってさよならしようよ。ヴァネス・・・ね?」
「ヤダ・・・笑うなんて出来ないよ・・・」
「あたしはあなたの笑顔が大好きなの。いつまでも覚えていたいから。」
「・・・・嫌だね・・・絶対笑えない・・・嘘の気持ちで笑うなんて汐音相手に出来るか・・」
「・・・・解った。それじゃ・・・ここで。」
あたしはヴァネスに頭を下げてただそれだけを伝えた。
それからヴァネスに背中を向けて歩きだした。
涙が出そうになりそうなのを必死で堪えた・・・
せめてあともう少し彼から離れてからじゃないと駄目・・・
あの信号までなんとか頑張って歩こう・・・
目の前が霞んで見えない・・・
もう一歩も歩けそうもない・・・
あたしは人ごみの中でしゃがみ込んで泣いた・・・
もう涙が止まらなかった・・・
「泣くなよ・・・汐音・・・」
あたしの足元で見覚えのある靴が見えた・・
ヴァネスだった・・・
あたしの顔を覗き込んでいるヴァネスは泣いていた・・・
「・・・・ヴァネス・・・泣いてるの?どうして?」
「汐音こそ・・・どうして泣いてるんだよ・・・」
あたしは何も答えなかった・・・
「オレは汐音が泣いてる顔なんて見たくないよ・・・オレのせいで泣いてるんだよね・・・
もしそうなら・・・・オレ・・・汐音のこと諦めなくちゃいけないよね・・・」
「ヴァネス・・・」
「でもね・・・諦めたくないよ・・・」
今まで見たことのないヴァネスのクシャクシャな泣き顔・・・
あたしのせいで彼がこんなに泣いている・・・
「泣かないで・・・ヴァネス・・・あたしあなたの笑顔が大好きなの・・・・」
「だったら汐音が笑ってくれよ・・・なぁ・・・」
「無理だよ・・・あたしの笑顔の元はヴァネスだもん・・・」
「オレだって汐音が笑ってくれなきゃ笑えないってば・・・」
ただあたし達は抱合って泣いていた・・・
あたしは泣き顔のヴァネスの頬をそっと指でぬぐった・・・
それから・・・ヴァネスの唇にそっとあたしの唇を重ねた・・・
ヴァネスは大きな身体であたしをぎゅっと包みこむ・・・
あたしはやっぱりヴァネスを忘れるなんて出来ない・・・
たとえ離れてもあたしはヴァネスが好きなんだ・・・
あたしも彼を諦めるなんてできない・・・
もう彼の笑顔がなければうまく笑えないよ・・・
ただそう思った・・・
「汐音・・・オレね・・・」
「あたし・・・やっぱりヴァネスが好き・・・諦められないよ・・・」
「・・・・うん。オレも今汐音に同じこと言おうと思ってた・・・」
「・・・ホント?」
「うん・・・なかなか会えないとしても・・・汐音と一緒にこれからも笑っていたいんだ」
「うん・・・あたしもそうヴァネスに言おうと思ってた・・・」
「ホントに?」
「うん。ホントだよ・・・。」
ヴァネスはあたしがそう言うとニッコリと嬉しそうに照れた顔で笑った。
あたしも彼の笑顔で思わず笑顔になる・・・
「これからも・・・一緒にいてくれる?汐音・・・」
「うん・・・一緒にいられる時間は少ないけど絶対に離れないよ・・・」
「・・・・汐音・・・オレは汐音を愛してる」
「うん・・・あたしもヴァネスのこと・・・好き。」
あたしは赤い顔でそう答えた。
「・・・・愛してないの?オレのこと・・・」
「・・・・そんなことないよ・・・」
「・・・・ならちゃんと言って・・・オレに。」
「・・・・ここでは恥ずかしくて言えないよ・・・人が大勢いるのに・・・」
あたしは人ごみの中で泣いていたし抱合っていたことをふと思い出した。
あたし達は慌てて立ち上がってその場を離れようと歩きだした。
ヴァネスはあたしの手に指を組み入れて手を握った。
「・・・ちゃんと二人きりの場所で言ってくれる?オレに愛してるって・・・・」
「・・・う、うん・・・」
あたしは真っ赤になって下を向いた。
「・・・オレの泊まってるホテルに来て・・・良いよね?」
「・・・う、うん・・・」
あたしは益々顔が赤くなる・・・
「・・・もう今日は帰さないから・・・」
「・・・うん・・・あたしも帰りたくないから・・・でもね・・・ヴァネス・・・」
「何?」
「あたし・・・実は・・・」
・・・・その時ヴァネスのお腹が鳴る音が大きく響いた。
「・・・・腹減った・・・汐音お腹空かない?」
あたしは思わず吹き出した。
「・・・なんだよぉ・・・泣いたらお腹減ったんだよ・・・」
ヴァネスは笑いながらお腹をさすっていた。
「うん。あたしもお腹減ってたところ。」
「それじゃぁ・・・何か食べていこうか。」
「うん。そうしよっか。」
あたしとヴァネスは笑って何を食べるか相談しながら街を歩いた・・・
やっぱりあたしはこの笑顔から離れられない・・・・
たとえいつも一緒にいられなくても
あたしの笑顔の源である太陽のような笑顔を
そばで見られるのなら・・・
あたしは彼のことをいつまでも愛していられるから・・・
