「月人壮士」 澤田瞳子著

先日の大学の東京校友会の春の集いで講演された作家の澤田瞳子さんの著書である。 母ちゃんは藤田瞳子さんをまったく知らなかったので、さっそく図書館で借りてきました。 藤田さんは母校の文化史の大学院を出た奈良仏教の専門家である。 この本は、非常に緻密に資料をあたり、奈良時代の聖武天皇が婚姻によって徐々に藤原氏に浸食されていく過程が繊細に書き込んである、非常に興味深い面白い歴史書であった。 母ちゃんは今年はNHKの大河ドラマ「光君へ」を毎回みている。 平安京の藤原家も、天皇家に次々と娘を入内させ、天皇の外戚となり、政権を担っていくという展開である。 むかしも今も天皇家に嫁するということは男子を生むことが第一義であり、雅子皇后もそこで苦労されたみたい。 千年の慣習だから仕方がないなあ。 

 

 

 

「関越えの夜」 澤田瞳子著

江戸時代の東海道の関所越えにまつわる短編集で、これもなかなかよく練られた面白い小説集である。 こういった時代物はけっこう人気があり、読者が多いのよ。 澤田さんの筆も冴えわたり、うん、読ませるね。 

 

 

「翼ふたたび」 江上剛

日航JALが経営破綻し、稲盛和夫氏が会社再建に取り組む、起死回生のノンフィクションである。 そういえば母ちゃんは全日空を利用するが日航に乗ったことがなかったなあ。 こういった感動的な企業再生のテーマでNHKさんは「プロジェクトX」を放映してくれないかなあ。 

 

 

「天空のネパール」 ウィリアムズ春美著

海外旅行が再開されて母ちゃんが一番に行きたいのは、ネパールなんだよね。 ヘリコプターでヒマラヤの山々を、エヴェレストを見たいんだよ。 中国の西寧からチベットのラサまで、青蔵鉄道で荒涼たる高原を走っている時に、はるかかなたに、雪を抱く崑崙山脈が見えて、魅せられちゃったんだ。  でもね、このところの円安で、ネパールツアーはとてつもなく高くなり、とても行けないや。 でも、この本を見るとさらにさらに行きたくなっちゃった。

 

 

「十五の夏」 佐藤優著

佐藤さんは浦和高校の1年生の夏休みに、両親から高校入学のお祝いに、東欧&ソ連への一人旅をプレゼントされるんだ。 当時、そんなに豊かでもない両親はよくぞ100万円近い旅費を息子に出したよね。 社会体制が異なる世界を若い時に見ておくことが、どんなに少年の人間形成にプラスの影響を与えるか。 佐藤さんは両親の期待以上の収穫を得て帰国する。 本人の感受性、知性、適応力、応用力がこの無謀にも見える15歳の世界旅行を意義深い成功に導く。 これは……、第一級の紀行文だ。