患者/山口愛里さま。30歳代中頃の女性。
主訴/買い物依存症。
山口愛里さんは、「愛情をもって育てられたことは、一度も無い」と言います。
愛里さんの父親は資産家で、愛里さんは「お金に困ったことは、一度も無い」と言います。
母親はお父さんの言いなりで、自分が無い。「私がお父さんに怒られていても、何の助けもしてくれなかった」と言います。
愛里さんは二人姉妹の次女。
「両親は、何をしても姉が一番で、私が何をしても興味が無く、無視されて育った」と愛里さんは言います。
無視するだけ、興味が無いだけならそれでもかまわないが、何か問題が起こると、「お姉ちゃんはすごいのに、お前はダメだ」、「お姉ちゃんは偉いのに、お前は劣っている」と言われて育ったという。
お姉さんは、「両親が望むように成長し、両親が望むような相手と結婚をし、両親が望むような子どもを産んだ」といい、姉にも自分が無いと言います。
それとは反して、「私が生んだ長男の顔すら見に来なかった」と言います。
愛里さんから聞いた話を列挙していますが、真実かどうかは関係ありません。
もしかすると両親や姉に同じことを聞いたら、違う感想を言うでしょうが、それはこの場合、関係はありません。
愛里さん自身が、「どう育てられてきたと感じるか?」が問題であって、本当のトコロはあまり関係ありません。
「本当のトコロ」が大切になって来るのは、愛里さんが、今ある症状を克服し、両親や姉の事を、「おもんぱかれる状態」になった時、初めて意味があることであって、今はただ、我々術者は、愛里さんの話に耳を傾けるしかありません。
愛里さんの買いもの依存症が始まったのは、長男さんを出産した直後から。
「両親が、私の苦労して産んだ子どもの顔も見に来なかったころからだ」と言います。
愛里さんの母親が銀行に振り込む毎月の仕送りを、「無駄なことに使ってやろう」という意識も働いたそうです。
【 患者様の個人情報を細かく書いていますが、個人が特定されないように、一部フィクションを加えて描かれています。みなさまには、「こんな感じの人かな?」とイメージを膨らまして、読んでいただければ、幸いです。】
【 メンタル面で、不調をかかえる人への基本な療法 】
患者さんはイスやベットに腰かけて、座ります。
術者は立った姿勢で、患者さんと向かい合わせになります。
患者さんに少し頭を下げてもらって、大きめのバスタオルを頭からかぶせます。
患者さんの前頭部を、術者の胸のあたりに当てた姿勢を取ってもらいます。
術者は、リズミカルに背中をたたいたり、さすったり、なでたりします。
背中をたたきながら、「大丈夫、大丈夫」、「心配無い、心配無い」と声をかけます。
これが基本のカタチです。