今回の紅麹における健康被害の実態がようやく明かされてきています。
回収対象のサプリメント袋の量
紅麹サプリだけで、30万袋が回収対象になっているそうです。
4月9日に厚生労働省で会見を開いた日本腎臓学会は、紅麴サプリを摂取し、健康被害が生じた95症例についての調査結果をまとめているので、掲載し解説します。
健康被害の内容
発表によると、95症例は男性が29人、女性が66人です。 患者の約75%は、診断した医師が紅麹サプリの摂取をやめるよう伝え、約25%は、ステロイド治療等を行ったということです。
95の症例の大半に『ファンコニー症候群』という病態が認められたということです。
ファンコニー症候群について
ファンコニー症候群は、腎臓の近位尿細管という部分の機能が障害されることで、様々な物質が尿中に過剰に排泄されてしまう病気です。近位尿細管は、体にとって必要な栄養素や電解質を再吸収する役割を担っています。この機能が障害されると、ブドウ糖、アミノ酸、リン酸、カリウム、重炭酸塩などが尿中に過剰に排泄されてしまい、様々な症状を引き起こします。
原因
ファンコニー症候群には、遺伝性のものと後天性のものがあります。
遺伝性のファンコニー症候群
- ファントン症候群:骨髄異形成症候群や白血病などの血液疾患を伴うことがあり、発達障害や難聴などを伴うこともあります。
- デント病:近位尿細管の機能障害に加え、腎機能障害や高血圧などを伴うこともあります。
- 低ホスファターゼ症:低リン血症や骨軟化症などを伴うことがあります。
後天性のファンコニー症候群
- 薬剤:シスプラチン、イフォスファミドなどの抗癌剤、テノホビルなどの抗HIV薬などが原因となることがあります。
- 毒性のあるもの:毒物、カビ毒、プベルル酸など
- 重金属:カドミウム、鉛などの重金属中毒が原因となることがあります。
- 感染症:サイトメガロウイルス感染症などが原因となることがあります。
- 自己免疫疾患:ループス腎炎などの自己免疫疾患が原因となることがあります。
- 先天性腎奇形:腎尿管接合部狭窄などの先天性腎奇形が原因となることがあります。
症状
ファンコニー症候群の症状は、原因や重症度によって様々です。
一般的な症状
- 多尿:尿量が多くなる
- 頻尿:トイレに行く回数が増える
- 夜尿:夜中にトイレに行く
- 脱水:水分不足になる
- 体重減少:体重が減る
- 疲労感:疲れやすくなる
- 筋力低下:力が弱くなる
- 骨痛:骨が痛む
- 発達障害:成長や発達が遅れる
- 難聴:聞こえが悪くなる
重症の場合
- 腎不全:腎臓の機能が低下する
- 代謝性アシドーシス:体内の酸性度が過剰になる
- 低カリウム血症:血液中のカリウム濃度が低くなる
- 低リン血症:血液中のリン濃度が低くなる
- 佝僂病:骨が弱くなり、変形する
診断
ファンコニー症候群の診断には、以下の検査が行われます。
- 尿検査:尿糖、尿アミノ酸、尿中リン酸、尿中カリウム、尿中重炭酸塩などの検査を行います。
- 血液検査:血液中の糖、アミノ酸、リン酸、カリウム、重炭酸塩、電解質などの検査を行います。
- レントゲン検査:骨の異常がないかを調べます。
- 遺伝子検査:遺伝性のファンコニー症候群が疑われる場合に行います。
治療
ファンコニー症候群の治療は、原因となる病気の治療と、症状に対する対症療法の2つに分けられます。
原因となる病気の治療
- 遺伝性のファンコニー症候群:根本的な治療法はありませんが、骨髄移植などの治療法が開発されています。
- 後天性のファンコニー症候群:原因となる薬剤や重金属を中止することで、症状が改善することがあります。とにかく、いち早く内服を中止することが最も重要です。
症状に対する対症療法
- 水分補給:脱水症状を防ぐために、水分を十分に補給します。
- 食事療法:失われた栄養素や電解質を補給するために、食事療法を行います。
- 薬物療法:低カリウム血症、低リン血症、佝僂病などの症状に対して、薬物療法を行います。
小林製薬の紅麹における健康被害の実態がようやく明かされてきているので
皆さんも注目していてください。