以下の五つの短編集。
「なぜ絵版師に頼まなかったのか」はアガサ・クリスティの「なぜエヴァンスに頼まなかったのか」
「九枚目は多すぎる」はハリイ・ケメルマン「九マイルは遠すぎる」
「人形はなぜ生かされる」は高木彬光「人形はなぜ殺される」(ずっと鮎川哲也だと思っていました)
「紅葉夢」は曹雪芹「紅桜夢」(これは知りませんでした)
「執事たちの沈黙」は映画でお馴染みになったトマス・ハリス「羊たちの沈黙」。
明治時代に東京医学校(東京大学)で医学を教えたエルウィン・フォン・ベルツと助手の冬馬が五つの謎に挑みます。
作品の中に出てくるナウマン、フェノロサ、モース、ビゴーといった面々は教科書でもおなじみです。
「維新という大事業は、二百数十歳の老獪な国家を一気に新生児へと変えてしまった」
「旧幕府が諸外国と結んだ不平等条約」
「不平等条約の改正は新政府の悲願でもあった」(以上164ページ)
明治維新に新生児として生まれ変わり急速に成長した日本は77年後、太平洋戦争に敗れ終戦を迎えます。
また新生児となった日本はそれからさらに高度成長を遂げてさらに77年たった2022年の現在。
日本は老衰の状態なのでしょうか、それとも新たな維新が起こるのでしょうか。