歪みを愛でて
久しぶりに肇と逢ってます
って言っても今現在はちょいとした理由があって別行動中だけど(・∀・)
別行動する前…車の中でいろいろ話してもらったんだけど…話が思わぬ方向へ進展したよ
前に歩き出してくれたことは嬉しいんだが…
予想してなかった答えが返ってきて正直、困惑してる
近いうちに海外留学すると言い出した
まだ細かいことは何も決まってないみたいなんだけど
けど遅かれ早かれ資金が貯まったら行くらしい
あたしに干渉する権利なんてない。
出来ることは受け入れて、見守ることだけ。
だけど…実感湧かないなぁ…
ハチミツ色の空想
大学の卒業式でした。
この日はサークルでお世話にになった先輩たちに花束を渡すべく、スーツを着て学校へ。
卒業式が終わった後、そのままの格好でバンドの練習へ。
練習も終わり、メンバーとカフェでお茶をすることに。
頼んだものがくるのを待ちながらみんなと他愛もない会話を交わしつつ、私はひそかに肇へメールを送ってみた。
実はあのファーストキスの日からお互いに一切連絡を取り合わずに、もう1ヶ月が過ぎていた。その間、私は私でバイトやバンドの練習に追われ、自分のことで精一杯だったから。
でもこの日はなんだか無性に肇に逢いたくて。逢えないにしても声くらい聞きたかった。だけど、なんて話しかけていいか分からなかったから無難に近況を尋ねてみた。
メール送信から10分後、
想像以上に返事は早かった。
現状はあまり変わらないらしい。
それから、今からストリート出るって書いてあった。
駅のいつもの場所で。
その場所とは私の居る場所から1分と掛からない所だった
思わずそのカフェを飛び出し、肇のもとへ向かった。
なんてタイミングがいいんだろ。肇の唄が聴けるなんて運がいい!
肇は弟と一緒に歌っていた。
弟さんとは初対面。人見知りが激しいみたいでなかなかに無口な人だった。
そんなところは肇とは正反対だな。
肇はすぐに友達を作る。みんなに好かれ、いつもみんなの中心にいるような人だ。同じ血が通っている兄弟でもこんなに違うと、むしろ微笑ましくなってくる。
今日の肇は肇で絶好調に明るかった。
だから余計に弟とのギャップが目立ったのかもしれない。
でもその肇の明るさは…明らかに空元気であった。
不自然な気がした。
やはり奥さんとのことが解決していないのか。
案外、肇も気持ちを隠すのが下手だな。
その日は1時間歌を聴いてから帰った。
会話はほとんど交わさなかった。
言葉なんて要らない。
歌声を聴けただけで満足。
肇は相変わらず空元気に見えたけど、弟さんがいるからなんとなく大丈夫な気がした。
あたしは肇と血が繋がってるわけじゃない、友達だけど夫婦の問題にはまったく関係がない。つまりはただの第三者でしかない。
そんなあたしが自らしゃしゃり出て慰めることはとんでもない勘違い行為。余計なお節介でしかない。
だから、これでよかったんだ。
何にもないのが一番いいんだ。
堕落の始まり
今朝早く、携帯から聞こえた着信音
普段なら着信如きで起きることはないのに、何故かこの日は飛び起きて電話に出た。
電話の相手は肇。
今日夕方から遊ぼうと云ってきた。
生憎予定は無かったし、先日の電話のことも気になったから遊びの誘いに了承した。
待ち合わせの時間と場所を決め、電話を切った。
待ち合わせはとある大学近くの本屋。
実際に逢うのは約4ヶ月ぶりだった。
約束の時間を少し過ぎた頃に現れた肇。
あの電話のことがあったからさぞ堕ちているのだろう、と思ったが、肇は案外普通そうだった。
私の車に肇が乗り込み、挨拶もそこそこに私たちはカラオケへ向かうことにした。
その道中、久しぶりに交わす肇との会話。
とは言え、久しぶりに逢ったときというのはどうも照れくさいものだ。
会話に隠し様のないぎこちなさが滲み出る。
否…このぎこちなさはあの日の電話のせいかもしれなかった。
やはりどうしても気になるので、私は普通の会話もそこそこに核心に触れてみたのだ。
肇は悲しそうな目で苦笑いし、あの電話の後のことを話してくれた。
やはり奥さんは明け方に帰ってきたらしい。浮気は確証的なのだそうだ。
奥さんの仕事先の人、浮気をした相手と肇は友達でもあった。
奥さんもその友人も許せない、と言う肇。
友人に仕返しする、と。
その友人にはちゃんとした彼女がいるそうだ。その彼女にもこの浮気のことをバラし、更に仕事先にも密告し、一生社会に出てこれないように精神的苦痛を与えたい、と。しかしその為には浮気をしていた、という証拠が必要なのだ。肇はこのときその証拠を作るためいろいろ根回しまでしていた。
私は初めてこの人が恐いと思った。
私の知る肇とは、明るくてみんなに好かれてて歌うことが好きで子供が好きで一時期保育士をしててサービス業に於いては天才的ででもちょっとドジなとこもある、そんな私の友人である。
こんな恐い肇は知らない。
そうこうしているうちにカラオケに着いてしまった。
とりあえず2時間入ることにした私たち。
歌い始めるといつもの肇だ。
歌うことが好きな肇。
私はこの肇の歌声が好きなのだ。
歌い始めてから1時間が過ぎた頃だろうか。
急に肇が歌うことを止めた。
釣られて私も歌わなくなった。
ソファーに寝転がりぼんやりする彼。
ふと、
頭を撫でてあげたくなった。
髪の毛に指を絡ませ、頭を撫でてるとその手を握られた。
微かに握り返すと、急に引き寄せる肇。
顔が近づいてきて、キスされるのだとわかった。
だが、一瞬忘れそうになったが、肇には奥さんがいるのだ。そんな人が奥さん以外の人とキスを交わしてはいけないだろう。
そして私にも好きな人が居るのだ。もちろん肇のことではない。一度振られてはいたが、それでも飽きられきれずに好きだった人が。だから私としても好きな人以外とキスするべきではないと思っていた。
だから一度ははぐらかして逃げることができた。
しかし、二度目はかわすことが出来なかった。肇の力が強くて拒否することができなかった…否…拒否しようと思えばできたかもしてない。私に拒む意思がなかったのだ。肇のキスは甘く舌を絡めてくるものだった。初めての甘美な口付けに私はすべてがどうでもよくなってきた。
こうして肇に唇を奪われた私。
ファーストキスの相手が家庭持ちの人とは…私の人生計画が狂ってしまったようだ…。
その後、人の膝で膝枕したり、人の肩に頭を乗せたり、キスをしてくる肇。
寂しさからそうしているのだと分かった。
私を好きな気持ちなど一切ないのだ。しかしそれは私も同じだった。
カラオケを出なければいけない時間が近づいてきた。
そこを出た後のことなど決めていなかった。
肇もこの後のことは任せるなどと、無責任なことを言い出した。しかしそんな肇の目にはどこへ行きたいかが書いてあった。
そう、私たちはホテルへ行った。
ファーストキスもまだだった私は当然処女であった。
さすがにそんな私に気を遣ったのか。口では初めては好きな人としろ、と云ってきた。しかしやはり目が寂しそうなのである。
そんな目を見ていたら「最後までしないなら大丈夫だから」、と自分でもわけの分からないことを口走ってしまった。でも後悔などしていない。
その後のことはご想像にお任せします。
ただ、ホテル行った後も私が処女であったのは断言しておく。
しかしこの行為は明らかに不倫であったことに間違いはない。
ただの友人だった私たちが不倫と云う関係性に変わったのはこの日である。