K君に再会する少し前、彩雲を見つけた。

こういうことだったのかと今は思う。


シンクロニシティって、やっぱりある。

K君とはたびたびこういうことが起こる。

遠距離恋愛で、付き合い始めてからまだ一度も会えず(なんならこの30数年間、半日しか会っていない)、毎日のLINEと、たまの電話だけで私たちは繋がっている。


だいたいお互いにこの時間ならというのがわかってきたからでしょうけど、送ろうかな?とスマホを握ったとたんにK君からLINEが送られてくることがしばしばある。

K君がニヤリマークをつけて「相思相愛だからだよ」と送ってくるけれど、遠く離れた東北と新潟で同じタイミングでお互いのことを想っているのがとても嬉しい。

電話は互いの家庭の状況が合わなければできない。

先週末は、K君が仕事や息子さんの受験など色々と忙しくて、ゆっくりやり取りが叶わなかった。

ちょっと淋しくなって、仕事帰りにちょっと電話をしてみようかとLINEを送ったら、そんなことは何も言っていないのに「話す?」と返ってきてびっくりした。これまたK君も、同じタイミングで電話をしようと考えてくれていたのだ。

仕事帰りの電話は今までしたことがなかったから、そのシンクロニシティに心底びっくりした。


たぶん私たちは互いによく似ている。

互いの家庭のことはあまり詳しく伝えあわないけれど、なんとなくK君も家庭のことを色々と背負って大変なんだなと感じている。

私もそうだから。我が家は夫と私がそのバランスを大きく崩して、なんとなく私が必死で家族を一人で支えるような夫婦関係。そこに疲れたし、だからこそ私が投げ出すことができずにいるのだけれど、K君もなんとなくそうなのではないかと感じている。

自分の両親、奥様の親、自分の家族…そこをK君が一手に抱えているような、そんな気配がする。

時々、K君から「本当にありがとう。ちび子さんがいることが支えになっている。生きている意味がわかった。」と、言われることがある。

私は私で、ずっと夫との関係に納得いかずにいながらも、こんなものだと自分に嘘をついてやり過ごしてきて、K君に出会って自分が人生で一番欲しかったもの、足りなかったものに気づかされた。


ずっと、互いに家庭があるK君との恋を、後ろめたいと感じてきたけれど、やはりこの恋は必然だったのではないか。

K君も私も自分の役割として、必死に互いの家族を支えている。だけど、時に息切れがするのだ。

投げ出しそうになるくらい。だけど投げ出すわけにいかないから、疲弊する。

夫婦のバランスが崩れたなかで、自分一人が戦うことは、必ず自分の何かをすり減らしていく。K君がそうかはわからないけれど、少なくとも私はそうだった。


そんな時、私たちはお互いに出会って恋をした。

二人でやり取りをしている時は、大学生の時となんら変わらない気持ちに戻って、全てを忘れてくだらない話をして笑いあって、それでいて互いの今の家庭や仕事の重みも理解し合える。

温かい気持ちと、恋の切なさを同時に感じている。

たぶん、互いがそれぞれの人生を乗り切る力を与え合う存在として出会ったのだと感じる。

出会ったことは必然だった。



外から見たら、許されない恋かもしれないけれど、この純粋な気持ちが、どうしてもいけないことには思えないのだ。

お互いがお互いの心を欲していることが。


先日、仕事でとても素晴らしい方に会った。

絶対無理だと言われる状況を諦めずに向かっていって、いくつものプロスポーツチームをトップレベルに導いた人。

「変えられるのは自分と未来。過去と他人は変えられない。だから、変えられることだけに気持ちをフォーカスして行動すると、未来は必ず変わる」と教えてくれた。

不思議なことに、この人に会う直前に、K君からも同じことを言われていた。

K君とこの先どうなるかはわからない。

けれど、今は自分の気持ちに素直になってK君に真っ直ぐ向き合うことが、自分にとって光の差す方へ向かうことなんだと思える。

もしかしたら、思いもかけない素晴らしい未来が待っているかもしれない。いや、きっとそう。

K君と出会ったことは絶対に必然だったのだから。