京阪間直通輸送の問題(4) | 京阪大津線の復興研究所

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大津線とは、京阪の京津線と石山坂本線の総称です。
この大津線の活性化策を考えることが当ブログの目的です。
そのために、京阪線や他社の例も積極的に取り上げます。

現在の京阪間で競争力が最も高いと言えるのは、JRの新快速です。新快速は国鉄時代の1972(昭和47)年3月に京都―大阪間29分、15分毎の運転を開始しましたが、現在もその水準を維持しています。停車駅には高槻と新大阪が追加されましたが、最高速度の向上によって相殺しています。ただし、便利さが仇となって着席率は国鉄時代に比べて悪化しています。

阪急京都線の特急は、烏丸・大宮・十三のみの停車で河原町―梅田間を最速38分, 15分毎で運転する時代が長く続きました。現在は10分毎になった代わりに停車駅が増え、烏丸・桂・長岡天神・高槻市・茨木市・淡路・十三の7駅に停まっています。ただ、所要時間の増加は京阪ほどではなく、河原町―梅田間を最速43分で走っています。

阪急にとって有利なのは、対京阪において最も競争力が必要な河原町と梅田が、共に始発駅であることです。したがって、停車駅増による混雑率の向上が決定的な不利にはならないのです。祇園四条と京橋が途中駅である京阪とは、この点が異なります。

阪急も京阪同様、近年は京阪間直通輸送を縮小する方向に動いていましたが、2011(平成23)年3月に変化が生まれました。先代の特急車である6300系のうち1本を6連化して車内を和風に改装し、「京とれいん」の名で復活させたのです。

京1・2
1・2号車の車内

京3・4
3・4号車の車内

京5・6
5・6号車の車内

当初「京とれいん」は嵐山―梅田間で運用されましたが、同年の5月以降は河原町―梅田間の「快速特急」として土休日に4往復が通年運行されています。この種の車両が定期運用されるのは珍しく、それだけでも注目に値しますが、さらに目をひくのは停車駅です。


「京とれいん」を用いた快速特急は、その種別が示すように特急より停車駅が少なく、烏丸・桂・淡路・十三の4駅です。つまり、かつてのノンストップ特急に近い列車が、限定的にせよ復活したのです。京阪間直通輸送が後退の一途をたどっていた当時の状況からすれば、これは画期的なことでした。

阪急の「京とれいん」にどの程度刺激を受けたのかは分かりませんが、京阪も2011(平成23)年10月の下旬から、8000系車両によるノンストップ列車を一部復活させました。行楽シーズンの土休日の上り(出町柳行き)2本限定ながら、かつてと同じ京橋―七条間無停車での運転です。2014(平成26)年3月下旬からは、上り3本・下り2本に増発されています。

種別は阪急と同じ「快速特急」ですが、単純に停車駅だけをみれば阪急以上に意欲的な列車です。この列車には「洛楽」の愛称が付いています。2014(平成26)年の正月三が日には、「洛楽初詣」の愛称で24分毎に8往復が運転されました。今後の動向が注目されます。

(追記)
2016年3月19日のダイヤ改正で、土休日の午前中に上り5本、午後に下り5本の「洛楽」が定期運転されるようになりました。淀屋橋ー出町柳間の所要時間は50分です。


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