11篇 指切りをした その14
八か月ぶりの我が家は懐かしい顔ぶれが集まっていた。結婚している姉も小さな子供を連れて帰って来ていた。正月は夫の実家へ行くので今回は早めに里帰りして来たのだと言う。
無理しなくても良かったのに…。
姉の義実家は大きな商家で、姉が実家へ帰る事を快く思わない、と言う話を聞いているので申し訳なさが先に立った。姉の夫は長男では無いのだけれど、自分の子供は皆自分の一族、と姑は考えている様だ。
いいのよ。私だって息抜きは必要だし、ね。
嫁姑の問題を歯牙にも掛けていない様に姉は笑って言う。何かあったら完全に妻の味方になると言う約束で結婚したらしい。逞しい姉に尊敬さえ覚える。
姉にベッタリな甥っ子は私が手招きするとトコトコとやって来た。膝の上に抱っこしてあげると嬉しそうに体を預けて来る。可愛いなあ、と思う。私は末っ子だから甘やかされた記憶しかないが、兄も姉もこんな感じで私を可愛がってくれたのかな、と今になって感じる。
何時もは率先して動き回る姉だったのに、今回は大人しくて妙だな、と思ったら二人目の赤ちゃんが出来たのだと教えられた。両親が姉を上げ前据え膳で持てなしている理由に納得した。
お姉ちゃん、おめでとう。良かったね。
大きな声で言ってしまった私に、姉は頬を染めながら嬉しそうに頷いた。
ありがとう。早々と二人の叔母ちゃんにしてごめんね。
照れ隠しの言葉が本当に幸せそうで私も嬉しい。
高校時代からの長い付き合いで、一時は別れそうになっても、強く求められて結婚した二人なのだ。子供が直ぐ出来たので、甘い新婚生活は短かったかもしれないけれど、結婚前に十分味わっていると思う。ゆったりのんびりと過ごした姉は一泊して帰って行った。
兄が帰って来たのは30日の夜だった。久しぶりの帰省だからか、両手に沢山のお土産をぶら下げていた。数日しか離れていなかったのに、兄の顔を見ると懐かしくなるのが不思議だった。