いっつあ・ハピバリィ☆ -5ページ目

いっつあ・ハピバリィ☆

腐女子の咲亜のヲタヲタしいブログさ
日ごろの日常や萌えた事など出来事いっぱい

コメントしてお!!
咲亜はさみしいと死んじゃうよ
あ、誰か手紙交換かメアド交換しようぜ




カラオケ行ってきましたー咲亜でっす



塾のMちゃんとなつみと鰻と鳥太郎と行ってきましたー



いっそいで起きてご飯食べたのに

「遅れるなコレ…」
とか思いながら待ち合わせ場所へ


すると1番乗り

しかもど用ビがいました

「おぉ、お母さん!!」
「よっ」
みたいなことしてたら鰻が来て、数十秒後にセバスが来ました

ど用ビとセバスで来てたみたいです


皆が予想より遅かったので、鰻と
「先入っとくか」
ってことで部屋へ
歌入れようとしたまさにその時Mちゃんとなつみが入室

なつみは初カラオケでした!!!

んで、鰻と咲亜で『嗚呼、素晴らしきニャン生』歌いました!!

超声出なかったでも楽しかった!!!!!

んで、Mちゃんの創世のアクエリオンを拝聴


歌上手すぎて寒気←

ビックラこいた

んで次々と歌って、なつみとMちゃんのBUMP OF CHICKENの0を聞きました!


なつみ超可愛かったなにあれすごい



それからしばらくして鳥太郎が入室


むっちゃMちゃんとRADWIMPS疑ってました

あと鰻にケータイで黒バスの青峰×黄瀬を書いてる人のツイッター見せてもらってました


死ぬほど萌えました(//////////////////////


ちなみに咲亜は黄瀬君のキャラソン歌いました!!!

超楽しかったテンション上がった


それからMちゃんが残酷な天使のテーゼ歌うときのムービーに
「Show劇」なんちゃら←

とかいうのがあったので

「…見てみるか」
ってことで見てみたのです、が


「ペンペンおまwww」
ってなりました


これはカラオケに行った人のお楽しみにしておきますね
とりあえず大爆笑でしたwww

PVって真面目に見たらかなり面白いですよねー


んでいろんなこと歌ってたらMちゃんがギターの習い事があるらしくばいなん
四人で歌ってました


んで、まぁ楽しかったカラオケは終わり、トイレに行きました



が。

女子トイレが1つしかなく、咲亜が鳥太郎となつみに説得されて男子トイレの方に行ったのです



*悲劇の始まり*



トイレ入った途端にカバンが便座に落ちる…!ってとこでギリギリキャッチ!

しかしこの次に


財布が床に落ちたので、

(いやぁぁぁあああ汚ねぇぇええええ)
って取ろうとしたら




ベチョッと。


( ∨ ;;;;;;;;;;;;;;;;





















( ∨ ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;












ん?





なんだろう…想像出来るけど目にしたくない感じ…現実から目を背けたい感じ…






ふ と 見 る と







ΣΣΣΣΣΣΣΣΣ( д ;;;;;;;;;;;;;;;;












指先に う 〇 こ が











「ぅぎゃぁぁぁああああぁぁあ無理無理!!!!なにこれうわぁぁぁああぁ!!」


すごい勢いでトイレから出て手洗った


外ではなつみと鳥太郎がいたので


「どした?」

と尋ねて来たのでとりあえず状況説明


泣きそうだった顔は笑ってたけど←

手ヤバいくらい洗った
家帰ってきてから20分間ずっと洗ってた((((((



鳥太郎は途中で
「帰らねばー」ってことで帰りまして


う〇このついた財布を道端にポイして、なつみと鰻に


「ごめ、今日自殺する☆」


自殺宣言して帰りました


真剣に涙出ました…うぅ…



でもカラオケは超楽しかったです!!!!!
またこのメンバーでいきたい!!!!!!





んじゃ…心ズタボロなんでこれで…
*
夢羽の言葉に、腕を斬られてない方の男は眉間に皺を寄せた。
「は?黙って見たり聞いてたりしてりゃ好き勝手しやがって糞ガキが。
遊びませんか?
ざけたこと言ってんじゃねぇぞ」
男はそう言って腰の辺りから黒光りする拳銃を取り出した。
夢羽はそれを見ても怯まず言う。
「拳銃くらいで驚くと思ったら大間違いですよ?
いつも拳銃より怖いもの見てるんで」
いつもの夢羽の喋り方ではなかった。
誰か大人が喋っているような、不思議とそう確信出来る話し方だった。
夢羽はそう言ってチェーンソーを構える。
なんだか男の方が怯んでいるように見えた。
腕を斬られた男は唸りながら地を這っている。
「この役立たずが…ッ」
男を見てギリッと歯を食い縛ってから、拳銃を夢羽に向けた。
「亜奈乃」
「…ぁ…あ…」
それを見た夢羽は亜奈乃に一言伝える。
亜奈乃は恐くて上手く話せないようだった。
「逃げて」
「…ぅう……ひっ…」
「逃げなさい!!」
亜奈乃は夢羽の声を聞いて泣きながらこっちに走ってきた。
「もう、だいじょうぶだからな、だいじょうぶだから」
「ぅっ…あぁっ…あぁぁあぁぁん…」
亜奈乃が俺にしがみついて泣き始めた。俺は背中を擦りながらずっと声を掛け続けた。
そんなことしか出来ない。無力な自分が嫌になった。
夢羽は亜奈乃が俺の所に行ったのを見て
「この場から離れて」
と言い放った。
「なっ…そんなことできるわけ…」
「立ち上がらないで!!」
再び放たれた夢羽からの怒声。
そして告がれたのは、
「二人とも死んだら、私が残る意味がないでしょ」
と。
夢羽は少しだけ涙を流して笑ってみせた。
俺には、どうしたらいいか分からなかった。

パァン!!!!!!!!!!!

途端に鳴り響いた破裂音。
「むうー!!!」
俺でも分かるほどの音。
銃声だった。
同時に
キィイイン、と金属がかすれ合う音がした。
「…てめぇ…」
「そんな軽々しく銃撃ってると、銃声に気付いた警察が音を頼りに見つけに来ますよ?
いいんですか?」
苛立ったように男が夢羽を睨み付ける。
夢羽の挑発にのっているのか、余裕綽々な夢羽に苛立っているのか。
俺は動くことができなかった。
夢羽を置いていくことなんてできない。
亜奈乃はずっと俺の胸に顔を埋めて泣いている。
「ふざけやがって…」

その一言を掛け声に。
男は乱射し始めた。
乱射魔(トリガーハッピー)だったから、あんな殺すことに躊躇がなかったのか。
夢羽はそれを的確に斬り、打ち返していく。

その光景をずっと眺めていたその時。

「お…おれだって…おれだって………1人ぐらい殺せんだよおぉぉぉおおお!!!」

腕を斬られた男が包丁を持ったまま立ち上がり、夢羽に向かって走った。
チェーンソーの大きな音と銃声で、瞬間、夢羽は気付いていなかった。
「ひっ…ひぃっ…死ね…死ねぇええぇぇええええ!」
「…?!」
そこで気付いて後ろをとっさに夢羽が振り向きー…


グチャアッ


「む…う…?」
俺は、

この時のことを無駄に鮮明に覚えている。

包丁から滴る雫。

生々しい音。

強ばる夢羽の体。

漂う鉄の匂い。

そして

夢羽の左目に刺さった鋭利な包丁。

「あッ…?」

グッチャグチュッ
そのままぐっ、と深くまで男が突き刺す。
夢羽の体は強張ったまま。
乱射していた男は口角をつり上がらせて笑っていた。
「ぁぁあああああああ゛ぁぁあ゛ぁぁああぁ!!!!」
夢羽の悲鳴だった。
耳をつんざく様な夢羽の悲鳴。
俺は涙が零れ落ちた。
見てられなかった。
逃げたかった。
男二人はそんな夢羽を見て、機械人形のように笑っている。
「ざまぁみやがれ糞ガキが!!!!!ハハッ…ハハハハ!!!」
「や…やった…お、おれだってやろうとすれ、ばできるんだ…は…ははっははははっ…」
恐ろしかった。
こんな人間がいるのかと。
目玉を刺して尚且つ笑う人間がいるのかと。
俺が絶望していると、
「だいと!!!!!!!」
「…!」
苦しげな夢羽が俺を呼ぶ。
夢羽は、泣きじゃくる俺に命令した。
「あなのをつれて、逃げて!!!!!!!!!」
グチュゥッと夢羽が左目に刺さった包丁を抜く音がした。
俺は足が震えて動けなかった。怖くて、怖くて。
口をわなわなさせて、ただそこに居座っていた。
「よっしゃ、俺こいつ殺すわ」
と。銃を構えた男が言い放つ。
途端にまた鳴り響く銃声。
銃声と共に聞こえるのは夢羽の悲鳴。

悪夢だった。
夢であればいいと思った。
なんども頬をつねった。
でも目は覚めなかった。
辛かった。
でも。
それでも、俺はー…
「ぐぁっ」
と、声を上げて夢羽が地面に倒れた。
「むう!」と思わず声をかけそうになる。
でも。
ここで俺が叫べば。
夢羽が今まで稼いだ時間を無駄にするのでは?
逃げた方が正解?
それとも?
何が正解?どう行動すればいい?
俺は


俺はどうしたら?


「泰斗!!!!!」
ずっと夢羽の声が聞こえる。

「泰斗!!!!!!!!!」
俺を呼んでる。


「早く」
何か言おうとしてる。

「早く…」
分かってる。

「…早く!!!」
夢羽が何言いたいのかなんて、分かってる。

「逃げてぇぇえええ!!」


夢羽のその声を聞いて、俺は走った。
亜奈乃を引きずって、全力で走った。
涙も鼻水も
傷も全部流しながら。
懺悔して、後悔して、悔しくて、叫びたくて、辛くて、助けたくて、投げ出したくなって、連れ戻したくなって、一緒にいたくて、どうにかしたくて、それでも


それでも何も出来なかった。
この時無力だった俺を、俺は許さない。
何も出来ず泣きじゃくる亜奈乃と一緒に逃げてしまったことを俺は自分を許さない。


なんでカブトムシを見ようなんて言ったのか。
どうして亜奈乃を無理矢理にでも引き戻さなかったのか。
そうしていれば、と悔やまずにはいられない。



これが俺と亜奈乃に植え付けられたトラウマ。
俺と亜奈乃を蝕む鎖。
『夢』を生み出した原因。
夢羽を狂わせた根。
俺達を血で汚れさせた事件。


その後俺は何分も走って、森の外に出た。
よく出れたと思う。
真っ暗な夜道を亜奈乃と歩いた。
涙は出なかった。
枯れていた。
銃声も、夢羽の悲鳴も、何も聞こえなかった。
何も感じなかった。
周りの音なんて聞こえなかった。
家に着いて亜奈乃と一緒に全部話した。
抱き締められて、心配されて、泣きつかれて、謝って、亜奈乃と一緒に吐いた。
夢羽のお母さんに事情を全部話した。
お母さんはとても冷静に話を聞いてくれていた。
不思議なくらい、俺達を攻めなかった。
しかも、祖父の誠四郎さんは話を聞きにすら来なかった。
俺達は1週間ほど学校を休み、俺は悪夢に苛まれ続けた。
剣道は6年間続け、しんどくなってやめた。
その事件の2年後。
森林公園から女の子の遺体が見つかり、男二人も捕まった。
ただ、夢羽だけいつまで経っても見つからなかった。
小5の頃に痩せ細った夢羽のお母さんから告げられたのは
「夢羽は死んだの…ねぇ、死んだの…死んだ…死んだの…」
という呪いにも聞こえる言葉だった。
俺は、そこから自分に壁を作って暮らしてきた。
ニュース見るのも嫌になった。
剣道してたら嫌な思い出が蘇った。












これ以上は話したくない。



過去の話はこれで終わりだ。


さて


今から会いに行こうか。


トラウマを克服しに。
亜奈乃と一緒に。


泰「泰斗とー!!」
亜「亜奈乃のー!!」








泰・亜「日愛ラジオー!!」



泰「3日も遅れて本当にごめんなさい!!
泰斗です!!!!」
亜「咲亜には沙伊ちゃんにボッコボコのフルボッコにしてもらいましたー、亜奈乃です」
泰「いつの間にフルボッコ…」
亜「まぁ今回は泰斗が悪いわけではないからね」
泰「咲亜乙!!!!!!!」
亜「そして昨日は小説すら更新してない始末」
泰「Oh…まぁ受験生だからなー」
亜「ってことで。
何から話そうか?」
泰「咲亜が今日カラオケ行くらしいからカラオケの話でもするか?」
亜「カラオケ楽しいよねー」
泰「そだなー」
亜「私は、いきものがかりとか、aikoとかSuperFryとかアンジェラ・アキさんとか歌うよ」
泰「皆さん聞いてください、亜奈乃超歌うの上手いんスよ」
亜「ちょっと…何言ってるの…」
泰「一回カラオケ行ったときかなりビックリしたの覚えてるぜ」
亜「あぁ…中1の時行ったもんね…でも泰斗も歌上手いじゃない」
泰「俺あの時何歌ったっけ?」
亜「アクアタイムズとかGREEEENとか…ボカロも歌ってたね」
泰「しかもぐるたみんさんの歌詞で歌ったわ」
亜「一瞬いろいろフリーズしたよあの歌聞いたときは」
泰「でもそのあとの『さよならメルト』は良かっただろ?」
亜「まぁ普通にかっこよかったけど…」
泰「というかカラオケって言ったら軟骨の唐揚げ!!!
あれ旨いんだよな~!!」
亜「うん、軟骨の唐揚げは美味しいよね。
私も食べたことあるけど、塩つけると美味しいんだー」
泰「あとはバラエティーセットとかさ、お菓子いっぱい盛ってるやつ」
亜「あれはただのお菓子を並べてるだけでは」
泰「まぁそうなのだが」
亜「ちなみに私は歌を歌うと声が変わるとか言われてます」
泰「こいつ、超低い声出すんですよ、男声」
亜「出せるんですよ、男声」
泰「それに加えてくそ高い音程の歌を女声で歌えるんですよ」
亜「えへへ」
泰「お前将来の夢なんだっけ」
亜「薬剤師ー」
泰「薬剤師やめて将来の夢声優にすれば?」
亜「何で?!」
泰「じゃあニコ動で歌い手デビューでもしろよ」
亜「さっきから何言ってるの…?」
泰「ほら、お前の好きな…誰だっけ…」
亜「小野友?」
泰「そうそう!!!小野友さんと仕事できるかもしれねーじゃん」
亜「声優になるのって簡単じゃないんだよ、泰斗」
泰「わ、わかってるよ!」
亜「わかってるのに簡単そうに言わないでよ…」
泰「すいません…」
亜「あーあ…進路、どうしよっかなぁ」
泰「進路って…まだ高1じゃん、俺達」
亜「それを言うなら、もう高1。どうせ2年後には決めなきゃならないんだから、今決めてもほとんど変わらないよ」
泰「海賊王に、俺はなる!」
亜「帰れ。」
泰「すいません。」
亜「…ってか、泰斗は大学行くつもりなの?」
泰「正直行きたくないけど、行かないと就職出来ないしなー…」
亜「大変な世の中だもんね」
泰「まぁ姉ちゃんはちゃんと就職出来たけどさ」
亜「泰斗の将来の夢って何?」
泰「海賊O」
亜「髪の毛をむしられるか、引きちぎられるか選んでいいよ」
泰「一緒じゃね?!」
亜「で?本当に何になりたいわけ?」
泰「…笑うなよ」
亜「笑う仕事なの?」
泰「よ…幼稚園の…先生…」
亜「マジかwwwwwwあははっはっははははwww」
泰「笑いすぎだろうが!」
亜「だ…だって…泰斗が幼稚園の先生って…www」
泰「言わなきゃよかった…」
亜「ロリコン?www」
泰「違うわ馬鹿野郎!!!」
亜「ショタコン?」
泰「更に違うわ!!!!」
亜「じゃあ、公務員試験受けなきゃダメだね」
泰「勉強ダリィ…」
亜「ロリコン乙www」
泰「ロリコンちゃうて!!」
亜「なんで関西弁www」
泰「ノリだノリ!!」
亜「海苔?」
泰「ちゃんと見ろよ字体を!!!!!」
亜「はー、面白かった」
泰「かなり傷付いたわ…心が…」
亜「ところで遅くなったけど、HappyBirthday泰斗」
泰「あ!!!!!!!!!!
ちょ、咲亜!!13日過ぎてんじゃん!!!!!
もう16になっちゃったじゃん!!」
亜「泰斗にプレゼントー」
泰「さんきゅ、中身開けていいか?」
亜「どうぞどうぞ」
泰「では遠慮なく…………お!!!これはまさか!!」
亜「まさかの」
泰「したに滑車がついて、後ろに引っ張ったら走るゴキブリの詰め合わせ!!」
亜「良かった、喜んでもらえて」
泰「あぁ、嬉しいよ…って、んなわけねぇだろちょっと待てオイ!!!!」
亜「ご、ごめん、ゴキブリ小さすぎた?」
泰「そういう問題じゃねぇえええ!!!!!」
亜「まぁこれは冗談で、本命はこっち」
泰「…信じていいんだな?」
亜「大丈夫大丈夫」
泰「………うわ、これはすげぇわ…」
亜「頑張ったんだよー」
泰「セーターとニット帽、マフラーに手袋…お前自分で作ったのか?」
亜「まぁね。これから冬だし、活用してもらおうかと」
泰「使う使うーさんきゅー」
亜「いえいえ。まぁそろそろ日愛の話にいきますか」
泰「そうしますか」
亜「いやはや夢羽が腕を斬り落とすっていう」
泰「あのころの光景未だに超覚えてる」
亜「私も。すごい怖かった」
泰「今日更新するので過去編って終わり?」
亜「そうだったっけ?あと1つくらいなかった?」
泰「まぁそれは今日のお楽しみということで」
亜「そだね」
泰「じゃあここらで~」
亜「気が向いたら夜にもラジオしまーす」

泰・亜「ばいな~ん!!」
*
「あっつ…」
午後2時45分。
俺は虫網、虫かごにおやつを持って家を出た。
『蓮華町森林公園』はここから歩いて10分ほどすれば着く。
夏だから当たり前なのだが、恐ろしい暑さだ。
陽炎まで見える。
歩いてるとあちこちでほとんどミンミンゼミがないているが、耳を澄ませば蜩(ひぐらし)も綺麗な鳴き声を上げて鳴いていた。
他は、ここらへんに綺麗な川が流れているせいか、河鹿(かじか)も美しく歌っている。
俺は夏の、この音達が大好きだった。
とことこ歩いて横断歩道もちゃんと手を上げて渡った。そして、横断歩道を渡って右手に進めば公園は見えてくる。
公園は大きく、よくわからないが東京ドーム二個分あるとのこと。
歩いてると公園に人影が見えた。
亜奈乃だ。
「おーい!」
「あ、たいと!!!」
俺に気付いた亜奈乃がこっちを向く。
走って近づくと、そこにはピンクのTシャツに白のレースキュロット、涼しげなサンダルを履いた亜奈乃がいた。
髪は2つくくりだ。
「はやかったな」
「まぁね」
えへへ、と笑う亜奈乃。
笑顔は可愛い。いや、普通にこいつ可愛いんだけどさ。
ちょっとしてから
「むう!!!」
「おくれてごめーん…」
いつもの白いレースワンピースにつばの広い麦わら帽子を被った夢羽が到着。
相変わらずお嬢様、って気品を漂わせる服だ。
黒くて長いくせのある髪をポニーテールにしていた。
「ふたりともはやいね。
まだ3じにはなってないよ?」
「まじで?ごめんな、むう」
「いいよいいよ、きにしないで。それより、カブトムシみるんでしょう?」
夢羽は笑顔で俺に尋ねた。
「うん」と頷き亜奈乃を振り返る。
「…おい」
おもいっきり顔反らしてやがる。俺がなんのために二人誘ったのかわかってんのか、こいつは。
「あなのってば」
「なに」
「なに、じゃねぇだろ」
「なんもないよ」
「んなこときいてねぇのにいうってことはなんかあるんだろ」
「なんもないってば」
「おい、あなー…」

「たいと」

俺が亜奈乃を説得していると、夢羽が口を開いた。
にっこり笑って、亜奈乃に言う。
「このまえはごめんね。
ついあんなことしちゃったの。ほんとうにごめんなさい。
なかなおりしましょう?」
そう言って夢羽は亜奈乃に手を差し出す。
一瞬びくつく亜奈乃。
しかし、ちょっとしてから亜奈乃も「ごめん」と言って握り返した。
「これでおわりか?」
「うん、おわりだよ」
俺が聞くと、夢羽が清々しい笑顔でそう頷いた。
亜奈乃もこくこく、と頷いて俺は笑って言う。
「じゃ、とりあえずおやつくってからカブトムシさがすとするか!」
その後結局、一時間ほどおやつを食べていて探すのは4時過ぎになるのだが。
*
「あー、おいしかった」
「あなのがもってきたそのかしパンおいしいね」
「むうがもってきてくれたマカロンとビスコッティもおいしかったよ」
「おい、おまえらおれのもってきたポテチたべろや」
なんて笑いながらベンチでおやつを食べて立ち上がる。
「いきますか」
「そだね」
「カブトムシみれるかな」
「つかまえたいな!!!」
「わたし、クワガタもほしくなってきちゃった」
「クワガタもかっこいいよね」
「ノコギリクワガタってつのすごいんだよ」
「カブトムシつかまえたら、クワガタもつかまえてたいけつさせてみようよ!」
「いいねー!」
とか話しながら森の深くまで歩いていく。
歩いていると、蝉の鳴き声や、いろんな虫の声が聞こえてきた。
三人ともテンションが上がる。
「カブトムシ、どこにいるかな?」
「カブトムシはみつがあるきにひっついてるんだよ」
「じゃああまいにおいのするきにいけばみつかるかな?」
「かなぁ?」
三人で手を繋ぎ、どんどん深くへと入っていく。
最早三人ともカブトムシのことしか頭になかった。
だから、そのとき軽く通り過ぎた『立ち入り禁止』の看板にも気づかなかったのだ。
草木が落ちた地面に付いている、血痕にも。
*
しばらく歩いてると辺りが暗くなってきた。
夏とはいえ、暗くなってくると流石に少し肌寒い。
俺は身震いして慎重に足を踏み出していった。
夢羽も亜奈乃も同じことを感じていたようだ。
片手で腕をさすっている。

今は、何時なんだろう?

虫かごには蝶はおろか、虫一匹入っていない。
虫がいなかったからだ。
「ね…ねぇ、ちょっとさむくない?」
夢羽が呟くように言う。
俺は「そうだな」と頷いて亜奈乃を見る。
「何言ってるの!
まだカブトムシみれてないじゃん!!もうちょっとさがそうよ!」
「でもおそくかえったらおこられるし、またこんどさがしにきたらよくね?」
「うん、こわいし、かえろう?」
夢羽はそう言って俺の背後にまわって辺りを見回した。
本当に怖いのか、ぎゅっと抱きついている。
それを見て亜奈乃はきっ、と眉間にシワを寄せた。
「な、なによ!!!
むうも!!たいとも!!
あなのをせめてるの?!」
「べつにせめてなんかっ…」

「そうだよ」

俺が否定しようとすると、夢羽は一言そう言った。
俺の肩にちょこん、と顎を乗せて言う。
「いまからさがしてもどうせみつからないよ。
あぶないのなんて、めにみえてわかることじゃない。
くらいし、しょうじきいままできたみちすらもわかんない。
こんなのでカブトムシなんてみつけられるわけない」
「…」
全く同意見だった。
というかあまりに正論すぎて返す言葉がない。
亜奈乃も怯んでいる。
夢羽はさらに続けた。
「どうせカブトムシをはやくみつけてたいとにみせてよろこんでもらいたかった、とかそんなりゆうでさがしてるんでしょ」
「は?」
夢羽の言葉に思わず声が漏れる。
なんだって?
「な…いきなりなにいいだすのかとおもえばそんなことしえないの?
ばかじゃないの!
むうのばか!」
あー、なんか亜奈乃泣き出したよ。ガチ泣きしてるよ。どうすんだよ。
「そこでキレられても、じじつだし。
だから、はやくかえろうっていってるの。
ほら、あぶないから」
夢羽も夢羽で焦っているようだ。
空はだんだん暗くなっていく。風も冷たくなってきた。
亜奈乃はまだ首を縦に振ろうとはしない。
すると、
「じゃあ、わたしひとりでさがしにいく」
「…は?」
亜奈乃の言葉に耳を疑った。この暗い中で、一人で?本気か?
「なにいってんだよあなの」
「ぜったい、みつけてやるんだから」
そう言うやいなや、亜奈乃は俺の言葉を聞かず、森の奥へ走って行った。
俺は血の気が引く。
追いかけようとしたその時
「…おいかけるよ、たいと」
と。
即座に夢羽が俺の腕を引いて走り出した。
同じことを考えてたのかと思うと、安心した自分がいる。
俺も全速で走った。
亜奈乃の背はまだ見えている。体力がすごくあるわけでもないからすぐ追い付けるだろう。
「…っ…ってぇ…」
「だいじょうぶ?」
走っていると、そこら中の枝や木に手や足が当たって擦り傷が出来ていった。
でも今はそんなことを気にしていられない。
「あなのっ…まてよ!!おい!!」
叫びながら走る。木が多くて上手く前が見えない。

その時。
ドンッ
「うわっ?!」
何かにぶつかった。特に顔面を思い切りぶつけた。
額を押さえて前を見ると、どうやら夢羽が立ち止まっていたのにぶつかったらしい。
夢羽の表情は見えないが、立ち尽くしている。
「むう、いきなりたちどまるなよ…」
そう言いながら額をさする。夢羽から返事がない。
おかしいと思って顔を覗きこんで尋ねる。
「おい、むうー…?」
「ふせて!!」
突然の怒声に俺はたじろいだ。夢羽がこんなに怒ったのは初めて見る。
咄嗟に伏せると、夢羽が俺に早口で呟いた。
「あそこに、おとこのひとふたりがいる」
「は?おとこのひと?」
「そう。あなをほって、なにかをうめてる」
「それがどうしー…」
「しかも、そのめのまえにあなのがいるの」
夢羽の言葉に「なっ…」と声をあげてしまった。
瞬間夢羽に手で口を塞がれた。
少し、座りながらだが背を伸ばし目を見張る。
亜奈乃が俺達の数メートル先の所でさっきの夢羽のように立ち尽くしていた。
そのまた数メートル先で。
成人の大人の男二人がシャベルを持って穴を掘り、何かを抱えて埋めようとしている。
1人は身長が高く普通体型だが、何かを抱えてる方の男はやせていて、ひょろっとしていた。
二人の埋めようとしている、その手は止まっていた。
男二人の視線は亜奈乃に向けられている。
こんな場所で何かを埋めようとしているということ。
つまり、誰にも見られてはならないものだったのだろう。
それをたかが小学生に見られて焦ってるというところだろうか。
そしてこの頃の俺は嫌なことを察してしまった。
『口封じとして、亜奈乃を殺すのでは?』
俺が考えたことを夢羽が察したらしく俺の目を見て頷く。
「なんとかあなのをこっちにこさせないとダメ。
ころされちゃう」
「でも、もしかしたらゴミとかすててるのかもしれないし、さ」
「たいともわかってるでしょう?」

「あれは、おんなのこだよ」

「さっきあしがみえたの」

「なっ…」
淡々と恐ろしいことを言う夢羽が怖くなった。
夢羽の視線は真剣だ。
俺は改めて男の手元に抱えてるものを見た。
すると、見えてしまったのだ。
小さな靴を履いた足。
ピンクのスニーカーを履いている。
今、女の子を埋めようとしてるのか…?
本当に?
自分達はとてつもないものを見てしまっているのではないのだろうか。
思わずぞっと寒気がする。
寒気と、吐き気。
夢羽は何も言わず、隙を見ているのかじっ、と前方を見ていた。
俺と夢羽がそうしていると。
「おい…子供が見てるぞ…なぁ…どうする…?」
「あぁ?
殺せ殺せ。子供の1人や2人殺しても何もかわんねぇだろ」
「で、でも2人殺したら死刑になるかもしれねぇけど、さ、1人だったら、」
「もしあの子供が近くの大人に言ったりしたらどうする。早く殺しに行け。
俺はこいつを埋める」
ひょろっとしてる男が怯えてるのを無視して、もう1人の男は女の子の遺体…だろう。遺体を受けとるというより、自分から奪ったようにも見えるが、手に取った瞬間穴に落とした。
「や…」
それを見た途端に亜奈乃が思わず後ずさった。
すると、女の子を穴の中に落とした男が細い男に包丁を渡す。
「早く行ってこい」
「……」
どうやら渡した男は殺すことに躊躇が無いようだ。
細い男は包丁を受け取って震えている。
亜奈乃は逃げたいはず。
だがきっと足が恐怖で動かないんだろう。
俺は、見てられなかった。
「行け」
「な…」
「早く行け!!!!!」
男の声に、細い男は一瞬驚いて「ひ、ひぃっ」と悲鳴を漏らした。
すると、
「お…俺は何も悪くない…何も悪くないんだ…。

…う…うぁぁあああぁぁあああああああぁぁああ!」
大きな叫び声を上げて、包丁を持った男が亜奈乃に走った。
俺は思わず
「あなの!!!!」と、立ち上がろうとする。
しかしそれを夢羽に制された。

「わたしがいくから」

一言そう言って、夢羽は。

夢羽は悪魔の様な笑みを浮かべてすごいスピードで地面を蹴って、走った。
「むう!!!!!」
思わず俺も叫んだ。
夢羽は一瞬で亜奈乃と包丁の間に走り


ギュィイイイイイイイン

「っ…?!」
恐ろしい程の爆音。
突然聞こえたそれに、俺は耳をふさいだ。
しばらくしてその音に慣れてから目を開ける。
「あなの、はやくにげて」
とー…。

チェーンソーを軽々と右手に抱えた、夢羽がいた。
見ると、細い男の包丁を持っていた方の腕がない。
見当たらない。
「あっひっ……ぁ…ぐぁああああぁぁあ!!いてぇ!いてぇよお!!!!おれの、うでが!!!」
男は泣き叫んだ。
亜奈乃はぺたりと座り込んで顔面蒼白になっている。
俺も、顔面蒼白だっただろう。
夢羽は軽く首を回して、男二人に言い放つ。


「おじさんおじさん」
「…んだよガキ」


「あそびませんか?」

その声は異常に冷たく、とても可愛らしく、残酷な、でも無垢な。

今まで聞いたことがないほど楽しそうな夢羽の声だった。


泰「泰斗とー!!」
亜「亜奈乃のー!!」









泰・亜「日愛ラジオ!!!」



泰「1日遅れてごめんなさい!!昨日は眠くて寝ちゃいました泰斗でっす」
亜「9月11日の今日はアメリカ同時多発テロから11年目の日ですね。
なーんて思いながら授業受けてた亜奈乃です」
泰「あ、そういえば」
亜「忘れてたの?」
泰「てへぺろ」
亜「殴るよ?」
泰「やめてください。」
亜「はーい、そんなこんなで今日は!1日遅れてしまいまして…泰斗」
泰「すいません、現場で寝ました」
亜「昨日、ラジオ録ろうと思って収録場所行ったら泰斗寝てるんだもの。
見た?スタッフさんの顔」
泰「呆れられてました」
亜「当たり前」
泰「次回から、いや、今日からちゃんとします!」
亜「しなかったらどうするの?」
泰「ペナルティ?!」
亜「あるに決まってるでしょ」
泰「なにがいいと思う?」
亜「ゲストに沙伊お姉ちゃん呼んで沙伊お姉ちゃん手作りのご飯を食べる」
泰「そのペナルティなら死ぬ気で頑張る」
亜「よし、頑張れ」
泰「てな感じで…皆、勉強してるか?」
亜「ちなみに咲亜は今日家帰ってきてからご飯作るまで寝てたらしいよ」
泰「馬鹿の極みだな」
亜「泰斗に勝るね」
泰「家帰ってからするって言ってますが」
亜「絵に書いた餅発言だね」
泰「明日から頑張るって言ってた」
亜「それしない人が言うセリフ」
泰「ですよねー」
亜「近々私達は中間テストがあるのですが」
泰「ギクッ」
亜「勉強してる?」
泰「あ、あ、あぁ、当たり前だろう馬鹿め!
ちゃちゃちゃっちゃんと勉強してるぜ」
亜「…しばくよ?」
泰「勉強してないです。」
亜「今から沙伊お姉ちゃんのストレス発散サンドバッグになってもらおうかな」
泰「俺の命の保証は?!」
亜「ない」
泰「ねぇのかよ!!!」
亜「勉強しなよ、高校生なんだから」
泰「その文句はどの学年でも言われる魔法のワードだ!!!」
亜「よくあんな勉強しないで蓮高校合格出来たね」
泰「流石俺」
亜「早く死ね」
泰「ヒドイな」
亜「冗談だよ」
泰「冗談じゃなかったら傷ついてるよ」
亜「ってかね、最近黒子のバスケって漫画にハマっててね」
泰「あー、知ってる。
ジャンプのだよな。
今すげー流行ってるやつ」
亜「その中のね、黄瀬君と青峰と赤司が超かっこいいの!!」
泰「んー、じゃまた読んでみるわ」
亜「貸すよ、よかったら」
泰「マジ?さんきゅー」
亜「とりあえずかっこいいから!!たぶん泰斗も恋するよ!!」
泰「BL?!」
亜「特に…泰斗って、どんな女の子がタイプ?」
泰「…明るくて、優しい子か…女の子だけどかっこいい子とか…」
亜「じゃあきっと、黄瀬君か青峰に恋するね!!」
泰「マジか…まぁ貸してもらうわ」
亜「うん、超オススメ」
泰「お前スポーツ漫画によくハマるよな。
テニプリとか、エリアの騎士とかおお振りとかさ」
亜「テニプリだったら不二君、エリアの騎手だったらあすか、おお振りだったら安部君が好きかな。
ってか、スポーツ男子が好きなんだと思う」
泰「スポーツしてる男子はモテるよなー。
小学校の頃も、走るのが速い奴はモテたし」
亜「何言ってるの。
足速くても顔がダメだったらダメ」
泰「なんでそこで顔近づけて来るんだよ…」
亜「泰斗」
泰「あ?」
亜「告白ってされたことある?」
泰「…んでそんなこと聞くんだよ」
亜「もしかして喪女ならぬ喪男なのかなと」
泰「……童貞ですが」
亜「高1で童貞じゃなかったらそれはそれで引くよ」
泰「…告白されたことは三回しかねぇよ」
亜「意外…泰斗でも告白されるんだね」
泰「1番のモテ期だったな」
亜「これからはもう来ない?」
泰「来てくれたら嬉しいなー」
亜「まぁ来ないけど」
泰「せっかく抱いた希望を即座にぶち壊した?!」
亜「泰斗には絶対来ないよ」
泰「断言?!」
亜「それより、昨日と今日の日愛のことでも話そっか」
泰「そだなー」
亜「とうとう次回が1番大切な場面というところまで来たね」
泰「カブトムシなぁ…。
まぁ、夢羽の剣道の強さも出だし、次回はそれが発揮されるだろうな」
亜「そろそろ一作目も終わるしね」
泰「だなー」
亜「じゃあそろそろテスト勉強しなきゃならないし、終わろっか」
泰「んじゃ今日はこのへんで!!!」


泰・亜「ばいなーん!!!」
*
「むうー!!!がんばれ!!」
俺は夢羽に声援を送る。
それを聞いて夢羽は、俺に手を振り返し、面を被って用意した。
夢羽の前には上級生の中では強い方の男子が竹刀を用意していた。
まぁどうせ瞬殺されるんだろうけど、夢羽に。
その上級生は何度も夢羽に叩きのめされている。
そのためか、何回も夢羽と手合わせしてリベンジを狙っていた。
「構え」
先生の声で向かい合わせになった二人が竹刀を構える。
そして…
「はじめ!!!」
声とともに、パァアアン!という音が武道場に鳴り響く。
「「面ぇぇぇえええん!!」」
二人の声も響き渡る。
二人以外の見ている俺を含む奴等は、思わず息を呑んだ。
「…っはぁ!!!!!!!」
夢羽の声が轟いたその時。
「柏ヶ原!一本!!」
ピピーッと、先生の試合を終わらせるホイッスルが鳴った。
一本取り。
夢羽の勝ちだ。流石。
「…ありがとう」
上級生の男子は夢羽から顔をそっぽ向かせて一言そう言った。
夢羽も笑顔で「ありがとうございました」とぺこりと礼をした。
俺は夢羽に駆け寄り、
「さすがだな」と笑った。
「こんどまたたいかいあるかられんしゅうしないと」
「むうはすげーなー」
俺は苦笑する。
俺も一応大会は優勝してるんだけど、関東大会でいつも二回戦負けする。
その代わり夢羽は当たり前のように全国大会に進んで軽く優勝する。
その頃の俺には世界大会があるか知らなかったが、夢羽は高校生の大会、一般の人の大会、プロの大会に出て優勝していた。
ほぼ瞬殺。ある意味怖い。
「あとにじかんれんしゅうがんばろうね」
「あぁ」
そう言い合って俺達は持ち場に戻った。
俺は、今度ある大会に出て絶対優勝してやる、と意気込んでいた。
その場で竹刀を振り回し、一定のリズムでそれを繰り返す。
今日の練習はそれで終わった。
そんな、なにもないまま木曜日、金曜日と過ぎ、土曜日になった。
運命の日まであと1日。
*
土曜日。
「いってくるわね~」
「いってくるよ~」
「「帰って来んな」」
毎週土曜日は父さんと母さんのデートの日だ。
俺と姉ちゃんは冷めた目で手を振り、なんと見送る時に言うことがハモるという奇跡。
母さんと父さんは腕を組み、手を恋人繋ぎにし、究極なイチャつきぶりを見せて家から出ていった。
「あー、やっとでていった」
「もうマジ帰って来なくていい」
二人でそんなことを言いながら舌打ちをする。
姉ちゃんはテレビ見るために、俺は亜奈乃と夢羽に明日のことを電話するためにリビングに向かった。
まず最初に亜奈乃。
『あなの?おれだけど』
『たいと?どしたの?』
『あしたのことなんだけど、むしあみとむしかご、おやつもってれんげこうえんに3じだからな!』
『うん、わかった』
『じゃ、またあした』
そう言って電話を切る。
思わずため息。一分にも満たない会話なのに、何かすげー疲れた。
また夢羽のこと言ってくるんじゃないかと思ったからだ。
次は夢羽。
『もしもし柏ヶ原ですが』
『あ、あのむういますか?』
『泰斗君?夢羽ならいるわ。ちょっと待ってね』
流石夢羽の家。お母さんが電話出るのか。
たぶんこの頃の俺は馬鹿で、金持ちな家は皆親が電話出ると思っていたそうだ。根拠がないのに何故そう思ってたんだろうか…。
『もしもし』
『おはようむう、あした、にちようびあいてるか?』
『あいてるよ、あそぶの?』
『…あなのと、おれとむうのさんにんでれんげこうえんにカブトムシみにいこうとおもって…で、でもいやならぜんぜんいいんだ』
『カブトムシみるの?いいよ?』
『ふぇ?』
あまりの予想外の返事にまぬけな返事をしてしまった。
俺は咳払いする。
夢羽は亜奈乃のことを気にしないのか。ケンカしてると思ってたのに。
『いいのか?』
『うん、なんで?』
『いや、べつにもなにもないけど…』
『それ、なんじから?』
『3じにむしあみとむしかごとおやつもってれんげこうえんにまちあわせ』
『わかったよー』
『じゃ、あした』
プチッ。
「あんたカブトムシ見に行くの?」
「うん、カブトムシってかっこいいだろ?」
「何言ってんのよ。あれツノ取ったら見た目触角のないゴキブリじゃない」
「は?」
「飛ぶしそこら中にわくし」
「わかねぇよ。」
ゴキブリみたいに家からわいてくるならわざわざ見に行ったりなんかしねぇよ。
姉ちゃんはめんどくさそうにソファの上で横になりながらテレビを見ていた。
俺はため息1つついて、ソファの前に敷いてある床の絨毯に座り込んでテレビの画面を眺める。
そこにはバラエティ番組などの明るい内容ではなくニュース番組が映っていた。
千葉県で起こった幼女失踪事件。少女を拐った犯人はまだ捕まっておらず逃走中とのこと。
最近はこのニュースばっかりなので、内容も覚えてしまった。
「物騒ね」
「とんでもなくかいりきなにんげんがいうせりふじゃないぞ、それ」
「うっせーな首180℃回転させてやろうか」
「ごめんなさい。」
姉ちゃんならやりかねない。思わず土下座。
俺はニュースがつまらなくなってきたので部屋に戻ってゲームをした。
ホケモンという小学生男子なら誰もが知ってるゲーム。
レベルあげに専念する。
ちなみに夜までそれをしてた俺は、ご飯を食べ、お風呂に入って歯を磨き、レベル上げをしてその日は眠りに落ちた。
…父さんと母さんは深夜に帰ってきたらしい。
*
「…はいってもいいですか?おじいさま」
「…よい」
夢羽は家の中にある唯一の和室の入口前に来ていた。そこには夢羽の祖父、柏ヶ原誠四郎が威厳を保った姿で座禅を組んでいる。
「しつれいします」
「…どうした」
夢羽が和室に入り正座すると、誠四郎は目を細めて尋ねた。
「おじいさま。
まことにおそれおおいのですが、おてあわせをしていただきたいのです」
「…理由を聞かせ」
誠四郎は髭が生え、まるで仙人のようになった姿で重い口を開く。
祖父の威圧を受けながら、夢羽はゆっくりと言葉を紡いだ。
「…おじいさまのチェーンソー、もしくはだいだいかしわがはらけにうけつがれる『鬼椿』をこのむうにかしていただきたいのです」
「…ぬかせ」
その一言と共に、夢羽の頬に激痛が走る。
頬を勢い良く叩かれたのだ。誠四郎は憤りを覚えたかのように言い聞かせた。
「チェーンソーを貸せだの、『鬼椿』を貸せだの、そんなものを貴様に貸すにはまだまだ修行がたりんわ夢羽よ…。
まだまだ青臭い餓鬼に貸せる代物ではあるまい…。
そして貸してほしいがための手合わせだと?
笑わせるな。出直せ」
誠四郎が冷たく言い放つと、夢羽はゆっくりと立ち上がった。
「おじいさまのもうしあげたことばですが、わたしはどうしてもかしていただきたいのです」
「…手合わせをするというのか。まだまだ餓鬼だな、夢羽。
お前はまだそこらにいる餓鬼よりはマシな方だと思っていたが」
誠四郎が言うやいなや、夢羽は畳を蹴った。小学生とは思えない速さで誠四郎の後ろに回る。
「…くびもと、しつれいします」
そう呟いて、夢羽は誠四郎の首に気絶させようと手をかざし…
トンッ
「…!」











と。首に衝撃を与えられ、倒れたのは、














夢羽だった。
「…だからまだまだ甘いのじゃ。全国大会優勝がどうした。
高校生、プロに勝てたからなんなのだ。
そんなもので満足している間は儂には勝てぬ」
誠四郎は気絶した夢羽を運ぶことなく和室に残し、部屋から出ていった。
こうして夢羽の夜も、更けていく。
*
「…」
亜奈乃はベッドの上で考えていた。
明日のこと。どうやったら泰斗を独り占めに出来るか。
夢羽を泰斗に近づけないか。
「…いっつもたいとはむうばっかり」
私のことは置いてけぼりで。
剣道も、遊ぶのも。
二人で。二人でいつも。
そう思っていると、お母さんが来た。
「亜奈乃ー?もう遅いから早く寝なさーい」
「わかってるー」
そう言われて電気を消す。
明日になるのが、少し怖い。
亜奈乃はゆっくりベッドの掛け布団に顔を埋めて眠りについた。
*
日曜日の朝10時。
「おい泰斗起きろ」
「うーん…あといちじかん…」
ドゴォッ
「いっっってぇぇええ!!」
「早く下降りてこい馬鹿」
おもいっきり腹姉ちゃんに殴られた死にそう。
俺はしばらくベッドでうずくまってからゆっくり階段を下りてリビングへ向かった。
リビングに行くと母さんと父さんがいなかった。
「ねえちゃん、とうさんとかあさんは?」
「寝室で子作りしてる」
「……………」
朝っぱらからこんなげんなりさせられるとは。
俺はテーブルに座って置いてあるご飯を黙々と食べた。
「私今日友達と遊びにいくから」
「なんじから?」
「昼ぐらい」
「ん、かえってくんな」
「安心しろ。窓割って入る」
「やめてくれよ」
手、血だらけになるだろうが。大惨事だし片付けるのはきっと俺。
「あんたは3時からでしょー」
「うん、3じから

「カブトムシ持って帰って来ないでよ」
「わかってるよ」
姉ちゃんはこの頃から虫が大嫌いだった。
ゴキブリは手で潰すけど。
俺はゆっくりとご飯を食べ終えて部屋に着替えに行った。
着替えを済ませてから歯をみがいて顔を洗って遊びに行く用意。
んで昼寝落ち。
2時半まで寝てた。
*
「ん…」
夢羽は目を覚ます。
いつもの自分の部屋ではなく、視界に広がるのは和室だ。
徐々に思い出す。
昨夜祖父・誠四郎に手合わせを願い、もろとも隙をつかれ、気絶させられたのだった。
後ろの首もとをさする。
まだ痛むが、気にするほどではない。
立ち上がって部屋から出る。
出ようとすると、そこには掃除機を抱えた夢羽の母親がいた。
「あら、今から和室掃除しようと思ってたの。
どこにいるのかと思ったら和室にいたのね。
おはよう夢羽、ご飯用意してあるわよ」
「ありがとう」
夢羽は母に礼を言って部屋から出た。
裸足のままぺたぺたと歩いてリビングへと向かう。
朝ご飯はサラダとカンパーニュ、ベーコンにココットとチーズ、食後のデザートにブルーベリーのムース。
夢羽の家には元フランス料理店で働いていたお手伝いさんがいる。
そのためか、朝からいつも豪華。
「いただきます」
手をぱん、と合わせて品が漂う食べ方でゆっくり食べていく。
今日は特別な日だ。
ずっと考えていた。
ただ純粋に。
当然だ。小学生とはいえ、恋だってするのだ。
渡さない。亜奈乃なんかには。
亜奈乃なんかに泰斗は渡さない。
夢羽はベーコンを噛みちぎる。
*
「おかーさん」
「何?」
「あとで、かいものつれてって」
「別にいいけど、どうして?」
「あそびにいくから、おやつかいたいの」
「いいわよ、三個までね」
「ありがとう」
亜奈乃はふりかけを掛けたご飯を食べていた。
母親の返答に、亜奈乃は笑顔で返事する。
正直、今日が怖い。
夢羽が怖い。前あんなことがあったのが身に染みている。
自分のせいなのだが、怖い。
だから、仲直りにと今日行くことを決めた。
きっと夢羽も泰斗のことが好きなのだ。自分と一緒で、本気で。
亜奈乃はどことなく覚悟して手をぐっ、と握りしめた。
今日は、特別な日。
*
ここまでが、俺達の過去が狂うまでの話。

このとき、この日、雨がふったり、誰かが止めようとする意志があればあんなことは起こらなかっただろう。
起こり得なかった。

俺達の狂った絵本はここから始まる。
短いような長いような。
始まりのような終わりのような。
ただ狂わされた、壊された、おかしくなった、もう戻れなくなった。
その原因はこの話なのだ。

心して聞いて欲しい。
俺達の過去を。
ー翌日ー
「泰斗~起きなさぁい」
「…んん」
母さんの声で俺は、ゆっくりとベッドから起き上がる。
ベッドの横に置いてある時計を見る。今7時ぐらい。今日は学校。
小走りでリビングに向かう。
「湊さ~ん。はい、あ~ん」
「ん、美味しいよ~」
リビングでは母さんと父さんが馬鹿みたいに食べさせ合いしてラブラブしていた。
俺はテーブルに座って朝ごはんをいただきます。
我が家の朝ごはんはいつも食パンとベーコンエッグにサラダだ。
俺は食パンかじりながらテレビを拝見。内容なんてわかんないけど。
「泰斗、最近学校どうだ?」
「ふつう」
「そうかそうか。ならいいんだ」
父さんと俺の会話って大体いつもこんな感じ。
ちなみに姉ちゃんは隣で目玉焼き頬張ってる。
「湊さん、お口にソースが」
「あ、ごめんよ沙希。ありがとう、愛してるよ」
「ウザい」
父さんと母さんのラブラブっぷりに耐えれなくなったのか、姉ちゃんが舌打ち混じりにツッコミする。
「父さんと母さんウザいよいつもいつも」
「なんだ沙伊?母さんにヤキモチか?可愛いやつめ」
「ウザい」
姉ちゃんがさらに言う。しかし父さんはそれを気にせず、母さんとラブっていた。
俺が食パン食べ終えてベーコンエッグ食べようとした頃に姉ちゃんが食べ終わった。
俺も早く食べ終わろうと、急いでご飯をかきこむ。
と、
「…?」
何か後ろから視線を感じる。たぶん誰かがこっち見て…。
でも母さんも父さんも姉ちゃんも、誰も俺を見てはいない。
しばらくきょろきょろして、(まさか外?カラスかな)と思ったから外を見る。
すると
「!」
口に入れてたベーコン吹き出しそうになった。
なぜなら
外の庭に植えてある塀の間から大きな目玉が覗いて、俺を見ていたからである。
大きく大きく見開いた目。
その目が俺を見ていた。
まるで俺を見捉えるかのようにただ見ていた。
俺はその場から数分動けなくなり、ただ震えてその目を見ないようにするので精一杯だった。
俺は急いでご飯を食べ終え、逃げるように部屋に戻り勢い良くドアを閉める。
「泰斗ー、行儀悪いわよ」
「ご、ごめん…」
母さんの言葉に小声でそう呟きながら、俺はドアの前にうずくまり涙目で震えていた。
何とも言えない恐怖心に駆られ、思わずあの場から離れたが。
その頃に気付いて、俺が夢羽と亜奈乃のを無理にでも仲直りさせれば良かったのだ。
そうしていれば、と後悔は尽きない。
俺はしばらくして震えが収まったころ、ランドセルを背負い家を出た。
*
外はそれなりに暑く、汗が額に流れる。
俺の小学校の一学年のクラスは4つ。俺と亜奈乃は3組。
教室に入ると、クラス中の皆が下敷きで自分を扇いでいた。
「泰斗おはよー」
「あ…お、おはよ」
クラスメイトに声を掛けられ、思わずつまってしまう。
通学路でもずっとあの目のことを考えていた。
それと、この頃は亜奈乃と一緒に学校行ってなかったので朝何も話していない。
まぁ教室にはいるけど。
「よ…ようあなの」
「…なに?」
明らか不機嫌そうに顔をこちらに向けた亜奈乃に俺は少したじろいだ。
「あ、あのさぁ、こんどさんにんでカブトムシがいるってうわさの『れんげこうえん』にさんにんでいかね?
ほら、あなのもまえみたがってたじゃんカブトムシ」
「…」
亜奈乃が興味を持ったような顔をする。
今の亜奈乃は虫大嫌いだが、この頃の亜奈乃はカブトムシにダンゴムシ、モンシロチョウ、ついにはクモまで昆虫が大好きなわんぱく少女だった。
一度俺とカブトムシを見に行こうと森に行ったことがあったのだが、そのときは見ることができず、次の機会にしようと持ち越したのだ。
「…なんでさんにんなの?」
「えっ」
言われると思ったが、まさかそんな単刀直入に言われるとは…。
そしてそのおもいっきり敵対心丸出しの言い方…。
夢羽となんかあったんだろう、とすぐわかるような態度だった。
「さ、さんにんで行ったほうがたのしいし、カブトムシもみつけやすいだろ?」
「…へー」
亜奈乃はそっぽを向いた。俺はため息をついて話しかける。
「こんしゅうのにちようびに『れんげこうえん』3じにまちあわせだからな」
「…うん」
そう言って俺は自分の席に着いた。
クラスの暑い温度は俺達の距離を溶かしていく。
*
学校はいつも通り過ごし、水曜日の今日は剣道があった。
学校の帰りは家に帰らず武道場へ向かう。
武道場は結構大きく、中には20人から30人程の小学生中高年の男女が胴着を着たり、竹刀を持ったりして稽古をしている。
「たーいーとっ」
後ろからポンッと肩を叩かれる。後ろを振り向くと、私立校の制服であるセーラー服を着た夢羽が柔らかい笑顔で話しかけてきた。
「きょうはちこくしなかったんだね」
「あ、うん。きょうはとくになんもなかったから」
俺はランドセル、夢羽は鞄を下ろしながら服を脱ぎ胴着に着替えた。
そして、自分の名前が刺繍で縫われた袋に入ってる竹刀を取り出し稽古を始める。
稽古と筋トレをおよそ30分。
それから先生に指導してもらい、手合わせをする。
俺は毎回先生に「姿勢よくしろ泰斗!背筋伸ばせ!」と言われる。
注意はしてるつもりだがついつい背筋が曲がってしまうのだが。
指導も受け、手合わせを始める。他人の手合わせはじっくり観察するに限る。
特に夢羽や上級生の手合わせは見てて面白い。
 
 
さて、夢羽と上級生で1番強い男子との手合わせをじっくりと眺めるとしようか。


泰「泰斗とー!!」
亜「亜奈乃のー!!」











泰・亜「日愛ラジオー!!!」





泰「毎回する度に、これラジオじゃねぇだろ!って叫びたい泰斗でーす」
亜「今日体重を計ってみると、なんと3ヶ月前より三キロも太ってて絶望した亜奈乃です」
泰「え?お前太った?全然そんな風に見えないんだけど」
亜「そういうとこ、無駄に優しいよね、泰斗は…」
泰「いや、マジ見えないって。本当に」
亜「…」
泰「その軽蔑の目ヤメロ」
亜「ってことで、昨日は谷雲君がゲストとして来てくれたのですが」
泰「呼ばなけりゃ良かった、と後悔してます」
亜「でも楽しかったよ?」
泰「俺は疲れた…」
亜「あと、咲亜が今日は模試テストに行ってきたんだって」
泰「テスト見直ししてないせいでksって嘆いてたな、ラジオの前に」
亜「泣き叫んでたね」
泰「そうだな。
ってか、久しぶりにパソコン触ったら質問が来てたみたいだから、それ答えるか」
亜「じゃあ、それのコーナーしよっか。
コーナー名何にしよう?」
泰「…質問コーナー?」
亜「泰斗に聞いた私が馬鹿だった」
泰「なんでだよ?!」
亜「じゃあ、日愛のお便り質問コーナーで」
泰「まぁ、いいか…。
じゃあ、日愛のお便り質問コーナー!!!」
亜「はーい、じゃあ早速いきまーす。
…これ、ラジオネーム〇〇さんとか言った方がいいかな?」
泰「ラジオっぽいからそうしてみたら?」
亜「うん、じゃあそうするね。
えーっと、ラジオネーム、ユキさん!!からいただきました!!」
泰「なになに…?俺達の名前の由来…?」
亜「私達の名前の由来かぁ…。読み方も教えて…だって」
泰「じゃあ一応書いとくか。
東雲泰斗(しののめたいと)
二橋亜奈乃(にはしあなの)
東雲沙伊(しののめさい)
谷雲慶吾(たにくもけいご)
金間由輝(きんまゆうき)
谷雲七菜(たにくもなな)
谷雲禰寧(たにくもねね)
雛菊さん(ひなぎく)さん
柏ヶ原夢羽(かしわがはらむう)
とりあえずメインキャラのだけ書いとくぞー」
亜「咲亜によると、由来はね…泰斗は『泰』の字がおちついて何事も無い。安らかって意味なんだって。
でも恐ろしく名前負けした可哀想なキャラにしたかったみたい」
泰「可哀想なキャラ…って…」
亜「ちなみに私は咲亜が自分の名前の入ったキャラだと愛着がわくから『亜』をつけたみたいだね。
正直咲亜愛着なんて持ってなさそうだけど」
泰「そんなことねぇだろ…」
亜「谷雲君の慶吾って名前は従兄弟の弟にとても似てる子がいたからで、由輝君がちっさくて可愛い男の子にずっとつけたい名前だったんだってー」
泰「金間…可愛い…」
亜「あとね、…夢羽は、『夢』みたいにあやふやな存在って意味みたい。
『羽』に特に意味はないだけど」
泰「へぇ~…」
亜「あとはなんとなくイメージでつけたみたい」
泰「そうっぽいわ…」
亜「じゃあ次いきまーす!!
ラジオネーム、涼さん!
私達が知り合ったいきさつを知りたいと…」
泰「一応過去編のとこにも書いたけど、亜奈乃が引っ越してきてな。
んで、仲良くなったんだよな」
亜「そうだったね」
泰「初めて会った時の亜奈乃はすっっっごい人見知りだったよな」
亜「あぁ~…思い出した…。お母さんの後ろに隠れてて、泰斗と目も合わせられなかったな…」
泰「まぁ、今じゃ全然性格違うけどな」
亜「そうね。別人って言われる…」
泰「とまぁ、そんな感じだなぁ…。質問は2つだ。
皆忙しいんだな…きっと…」
亜「考え方がポジティブだね、泰斗は」
泰「人生ポジティブに生きてナンボだ」
亜「全然名言なんかじゃないよ」
泰「さて、今日は眠くなってきたから早いが今日の日愛のことでも話すか」
亜「…夢羽がどんどん狂いだしてるね」
泰「俺の姉ちゃんはそろばん壊してるし…」
亜「この頃夢羽につけられた傷、うっすら残ってんだよね。
ほら、ここ」
泰「ん?どこだよ?」
亜「ちょっ、顔近づけ過ぎ!!!」
泰「いや、だって見えねぇから…」
亜「この馬鹿!!!!!!!!」
泰「そんな怒らなくても…」
亜「もういい今日は終わり!!!」
泰「あ、あぁ…じゃあ今日はこのへんで!!」

泰・亜「ばいな~ん!!」

「…ただいま」
「泰斗~おかえりぃ~」
俺が家に帰ると母さんが甘ったるい声で出迎えてくれた。
まだこの頃は母さんも父さんもいて、うざかったなぁ。今思えばちょっと楽しかったけど。
「あらぁ~?元気無いのねぇ?」
「ほっといて」
母さんの問いかけに冷たく返事して俺は自分の部屋に向かった。
「沙伊ちゃんはぁ~?」
「しらないよ!」
しつこく聞く母さんにキレて自分の部屋のドアを勢いよくしめる。
俺はドアの前に座り込んでため息をついた。
(しくじった…)
明日からどうすりゃいいんだか。
俺と亜奈乃は小学校が一緒、夢羽は超お嬢様学校に通っている。
ちなみに俺と亜奈乃はクラス一緒。
気まずいわー。
ってか亜奈乃が今度夢羽に対してどういう態度をとるのかが心配。
「泰斗~?明日剣道行くの~?」
「うんー!いくよ!」
母さんに一回怒鳴ってやろうかとも思ったが、怒鳴ると後々めんどくさいのでやめた。
明日は水曜日だから剣道。俺は月曜日、水曜日、金曜日の3時から6時まで剣道に行っている。
夢羽も同じだ。亜奈乃は何も習ってないけど。
「ただいまー」
あ、姉ちゃんが帰ってきた。姉ちゃんはそろばんを習ってるからいつも5時ぐらいに帰ってくる。
「沙伊ちゃんおかえりぃ~。今日は早かったね~」
「また私がそろばん壊したから出来なくなったの。だから早めに帰りなさいって」
「また~?!そろばん買い直さなきゃいけないじゃないの!ちょっとは力を制御しなさい沙伊ちゃん…。一体誰に似たのかしらぁ~…」
「そんなの私に言われても知らないよ。産んだのお母さんでしょ」
姉ちゃんの怪力は昔からだ。小さい頃から怪力でそろばんをよく壊して母さんが買い直していた。
俺は喉が乾いたので麦茶を飲もうと、部屋から出てリビングに向かった。
リビングに行くと母さんが父さんの写真見ながらソファに寝転んでいた。
「湊さん…早く帰って来てぇ…」
ラブラブラブラブしやがって。俺は冷蔵庫から麦茶のボトルを取り出してコップに注ぐ。
父さんはデパ地下の食料品売り場で働いてて、結構なお偉いさんだった。
…母さんとどっか行くまでは。
俺はコップを煽り、麦茶を冷蔵庫に戻してから母さんに尋ねた。
「かあさん、あなのってむうのこときらいなのかな?」
「さぁ~母さんには分からないわぁ~。亜奈乃ちゃんも夢羽ちゃんもいい子だと思うけどねぇ。ね、沙伊ちゃん」
「何?またけんかでもしたのあんた」
「いや…別に…」
嘘を付いた。
だってのまま行くと、亜奈乃と夢羽はケンカになる。
俺が板挟みされて。
たぶん今の状況を知ったら夢羽は実力行使に出るだろう。
実は、夢羽は剣道といい、体術といい超強い。小学生とは思えないぐらい強い。
剣道なんて俺とやりあったらすぐ決着つくし、俺が夢羽に掴みかかると背負い投げされて俺がこっぱみじんにされる。
どっちも全国大会出て余裕勝ちしてるし、俺が勝てるはずないんだけど。
だから、ケンカになったら夢羽は竹刀か何か持って亜奈乃を叩きのめすだろう。
もしかしたら夢羽の家の家宝である日本刀の「鬼椿」持ってくるかもしれない。
そしたらもうケンカじゃなくてただの殺し合い…いや、一方的だからただの殺しになる。
俺はそうなるのも嫌だし、それを止めるのも嫌だ。
だから決して二人にケンカしてほしくない。
俺は部屋に戻ってベッドの掛け布団に突っ込んだ。
それで、疲れたお陰かすぐ寝れた。

ピーンポーン
「むうちゃんいますか」
「亜奈乃ちゃん?ちょっと待っててねー」
亜奈乃は夢羽の家の前に立っていた。
夢羽への怒りが抑えきれなくなったのだ。
玄関から足音が聞こえたのでギュッと手を握り締める。
「なに?」
玄関からひょこっ、と顔を出したのはきょとんとした表情の夢羽だった。
亜奈乃は夢羽を見ていきなり言い放った。
「はっきりいうけど、たいとにもうちかづかないでよ」
「なんで?」
夢羽の声が重くなった。
亜奈乃はそれに恐がらず立ち向かう。
「あなのはたいととだけであそびたいから、むうとはあそばないの」
「…あぁそう」
そう言った時、
「…どうでもいいよ。
…そんなこと」
「ーっ!」
亜奈乃が顔をひきつかせる。
泰斗といるときには絶対出さないであろう声だった。
しかも夢羽の手には長い針が握られていた。
長い針で亜奈乃の頬を軽く裂いたのだ。
「なんであんたにそんなこときめられないといけないの…?」
「…ひっ」
夢羽から発せられる殺気に亜奈乃は後ろに退く。
夢羽は針を亜奈乃の喉にかすらせる。
「アンタになんかにしばられるわたしじゃない。
ちょうしにのっていろんなことほざいてるとー」

「…殺すわよ」

夢羽の手には、いつの間にか針が握られていた手にフォークが握られ、亜奈乃に向けられていた。
亜奈乃は額から汗が、目からは涙が流れ出した。
小学生が言う話し方じゃない。まるで中に大人の人間が乗り移ってるみたいだった。
亜奈乃は小さく口を開いて言葉を発する。
「そ…そんなのうそだもん」
「そうおもうならそうおもっとけばいいじゃない」
夢羽はフォークを素早く袖の裏に隠すと、冷たい視線で亜奈乃を睨んだ。
一睨みしてから静かに玄関に入って行った。
亜奈乃はかすかに震える体を手で押さえながら、ゆっくりとした歩幅でとぼとぼと家に帰った。
この日から、夢羽が殺人鬼へと変わるのを俺はただただ気付かずに過ごしていくのだ。
ただ、歯車が歪むのを眺めていた。






anegasaki-mu.h@naさんが呟きを更新しましたー

「欲しい」
「泰斗」

「泰斗泰斗泰斗泰斗泰斗泰斗泰斗泰斗」
「亜奈乃」

「コロス」
「コロシタイ」

「ドコニイルノ?」
「二人トモドコイッタノ?」
「ネェ…」

「オイテイカナイデ」

「1人ニシナイデ」
****

「うわぁー」
TVを見て『東雲泰斗』(自分で本名言うのは恥ずい)恋人いない歴16年まだまだ青春したい花の高校生ただいま彼女募集中!俺は呟いた。
食パンくわえながらTVニュース見てそう呟いた。
今見てるTVニュースでは数日前から多発している殺人事件の特集をしている。
被害者の顔と傷などが説明されていてリポーターの棒読みな説明が流れていた。
ちなみに犯人は捕まっておらず捜索中なんだとか。
物騒だなあ。
今どこのTVもこの情報ばかりでつまんね。
同じ説明ばかりされてもつまらないしリポーターはジジイばっかりってどういう了見だ。
美女を出せアナウンサーの美女を。
思春期真っ最中の高校生男子が見てるんだぞ。


「あー、確かにグロいなー」

ニュースに出てるそういうのに詳しいジジイが『むごい殺され方ですなぁ。可哀想に』と言ったので俺はつい便乗して答えてみる。
ってかジジイ、その言い方全く可哀想とか思ってない。
被害者の死体写真は写し出されてないが傷の説明見ればたいがいグロいと思う。
『臓器がそこらへんにちらばり眼球は飛び出て唇は無い状態です』

(朝のゴールデンタイムでご飯食ってるのにそんな情報流していいのか)
心の中でツッコんでみる。
食パンを食べ終わり、コーヒー一気飲み。
俺苦いコーヒーって嫌いなんだよね。
まだまだ子供なんだよなあ。そこんとこが。
最後にジジイの『きっとチェーンソーで切られたと思われます…』的な言葉を聞いて俺は食べた皿を洗浄機に入れ自分の部屋に飛び込んだ。
いや、本当に飛び込んだ訳じゃないけど。
部屋に置いてある学校用のカバンを開いて中身が揃ってるか確認し、部屋から出て玄関へ向かう。
こう見えても高1ですから!
遅刻できないのですよ。
テンション高いのは5月だから。キモいのは俺だから。
ローファーを履いてカバンを持ち立ち上がる。
「いってきまーす」
ま、朝は誰もいないんだけど。

言わないといけない気がする。

そんなこんなな俺の高校生活1ヶ月と2週間目の朝。
このときのことが今思うと羨ましくて。

すごく遠くに感じられた。

この頃はまだあんなことになるなんて思わなかった。



「おはよー泰斗。遅かったねぇ」
「悪ぃ亜奈乃。寝てた」あ、嘘ついちゃったてへ☆(キモいのはテンションのせい)
亜奈乃は俺の幼なじみで小さい頃から一緒だ。
長い黒髪は三つ編みで、目は黒くて大きい。
まつげが長く鼻は低い。
身長157、体重は秘密。
身体測定の時身長と一緒に体重聞いたら顔面にストレートパンチが入った。
頭は普通。俺よりはいいけど。
絵の才能皆無。俺の方がマシ。
そんな奴だ。
ちなみに言うが亜奈乃は恋愛対象には入らない。
何故かは分からない。
まぁ亜奈乃も俺を恋愛対象には入れてないだろう。
お互いの顔とか見すぎてかっこいいか可愛いかも分からんってのが事実。
朝は高校が一緒なので亜奈乃と登校している。小学校も中学校もそうしてきた。
まぁ亜奈乃の立ち位置が可愛い女の子なら気持ちや見方も変わるんだろうけど。
幼なじみというポジションの俺達は付かず離れずの距離でいた。
「それより泰斗、見た?あの殺人事件ー」
「あー見た見た、グロいよなあー」
早速朝見たニュースの話題が出る。
これだから毎朝ニュースを見ることは欠かせない。
ニュース見てる男子ってなんかかっこいい。
と、思う。
それから高校までは俺の武勇伝語ったり亜奈乃の朝ごはんが白ご飯とがまさかの蜂の幼虫の炒めものとかいうゲテモノだったことに驚いたりしながらしゃべり歩いた。
高校に着いて下足室を上がり、教室の前で分かれる。「じゃ、帰りは北門で待ってるから」
「じゃあ俺はタップダンスしながら行く」思わずくるり。
「じゃあね」
俺の渾身のボケスルー。
まぁ亜奈乃はツッコミじゃないけど。
むしろすごいボケだけど。
ってかもうボケ通り越してふざけてるけど。
ちょっと口をとがらせて教室へ歩いた。
教室のドアを勢いよく開き「っはよー」と一言。
「おぉ、泰斗。っはよー」
「ようナンパエロ変態男。お前を朝から視界にいれることになるとは思わなかったぜ。どけ、目が腐る」俺、カバンで顔面攻撃。
「朝からいきなりその仕打ちかコノヤロー。別に構わねえよ俺ドMだからな」友達、谷雲のどや顔。
「キモいうざい」俺から平手打ち。
「へぶっ」友達…間違えた変態から悲鳴。
くだらないことをしながら席に着きため息。
これだから変態ドMエロカスなくそ野郎は困る。
そしてチャイムが鳴る。教室に頭がハゲかけた教師が入りホームルームが始まった。
寝てやろうと瞼を閉じようとすると教師の口から俺の瞼を無理やり引き剥がすような言葉が飛んできた。

「このクラスの朱稲真人さんが昨日殺害され、息を引き取りました。」



…は?なんだって?