特に屈曲100ー130度程度しか他動的に動かせない場合は、まず筋の防御的な収縮であると考えてよい。

 

 おそらく肩甲下筋が主因であると考えられる。その判断は肩の外旋に大きな制限があるか否かである。肩甲下筋であればその制限が痛みを伴って存在するはずである。

 

 確認するためには、直接肩甲下筋とその筋膜を圧迫してみるとよい。圧迫による強い痛みと共に、20ー30秒後には外旋と屈曲の可動域改善が得られるはずである。

 

 最もよく反応する部位は、烏口腕筋および上腕二頭筋短頭、小胸筋、筋皮神経の三辺に囲まれた部位である(仮に烏口下三角と呼ぶ)。烏口突起の2ー3cm直下を痛みの許す範囲で母指で圧迫しながら軽く摩擦するとよい(烏口下三角はちょうどその下に位置している)。

  

 屈曲制限に加えて内旋制限もあれば小円筋の防御的収縮を疑う。同様に肩甲骨外側縁に沿うように大円筋の上内側部辺りを刺激する。烏口下三角に負けないくらいの圧痛がある。

 

 恐らく直接的には小円筋を刺激しているわけでわないと思われるが、内旋制限への効果は絶大である。

 

<文献>

1)吉尾雅春責任編集:理学療法MOOK1,脳損傷の理学療法1.三輪書店,125-134,1998