骨格筋の腱を叩いて筋に急激な伸展を与えたときに起こる反射。
 これは筋紡錘が刺激され、Ⅰa線維に伝えられ、脊髄において直接α運動ニューロンを刺激し、自己の筋収縮を起こす反射で、単シナプス反射である


 反射時間が非常に短くアキレス腱反射で30~40msecである。


受容器:筋紡錘、腱紡錘


・反射の判定は、量的変化(亢進、低下、消失など)、
 質的変化(筋収縮のすばやさ、大きさ、広がりなど)、
 左右差などをみて決定する。

Jendrassik増強法を試みて反射が誘発しない場合を、反射消失とする。


亢進している場合は、反射弓より上位中枢の抑制系の障害がある。錐体路障害ではこの抑制が無くなり亢進する。


減弱または消失は、反射弓のなかで下位運動ニューロン(全角細胞、末梢神経)の障害か筋自身の疾患を考える。


腱反射亢進は、その中枢より上位運動ニューロンの障害を、腱反射の減弱ないし消失では反射弓の障害を考える。


・膝蓋腱反射では、膝蓋骨上部で大腿四頭筋筋腹を投打し腱反射起これば亢進と考えてよい。


・反射の種類

 脳神経領域の反射:下顎反射(橋の三叉神経核より上位の障害)、

          頭後屈反射(頸髄より上部の両側錐体路障害ALS等)

 上肢の反射:上腕二頭筋反射、逆転上腕二頭筋反射、上腕三頭筋反射、逆転上腕三頭筋反射、橈骨反射、逆転橈骨反射

       回内筋反射(尺骨反射、橈骨回内筋反射)

 体幹の反射:胸筋反射、腹筋反射(上部、中部、下部)

 下肢の反射:膝蓋腱反射、アキレス腱反射、下肢内転筋反射、膝屈筋反射


・深部反射の記録法

  消失(-)、
 軽度低下(±)、

 正常(+)、

 やや亢進(++)、

 亢進(+++)、

 著明な亢進(++++)

 

<参考>

Jendrassik手技が、膝蓋腱反射を増強法するのはなぜか?

1)手からの求心性インパルスによって、γ遠心系の発射が増加するのが原因ではなかろうかと思われる。:「医科生理学展望p127」

2)Jendrassikの方法により胸椎の運動細胞が促通効果を受ける。「スタンダード人体生理学p89、シュプリンガー・フェアラーク東京」

 

◎加齢とともに、腱反射が減弱するのはなぜか?:「脳卒中最前線p441」

 腱反射減弱、感覚鈍化、神経伝導速度低下が加齢とともに起こるのは、
 末梢神経線維の一部が脱落して数が減少し、断面積の線維密度が低下することによる機能低下と考えられる。
 有髄神経も無髄神経も60歳を過ぎるとそれ以下に比して50ー70%に減ってくることが確かめられている。
 また、このことはこれらの支配下にある筋萎縮を説明するのにも好都合である。

 神経線維の減少は神経栄養血管の狭窄と関連があるようである。