「病的反射」

正常ではみられない反射。
 上位運動ニューロンの障害によって起こり、ある種の原始的防衛反応と考えられる。
 この反射は下位運動ニューロンが上位中枢の支配から開放されたときに出現する。

  頭部、顔面の反射:吸引反射、口とんがらし反射、クヴォステック徴候

上肢の反射:Hoffmann反射,Tromner反射,Wartenberg反射,Wartenberg徴候、
  にぎり(把握)反射,強制把握反射、手掌下顎(おとがい)反射、
  トルソー徴候(産科医の手;甲状腺機能低下症等の低Ca血症によるテタニーに特徴的である) 

 足底筋反射:ロッソリモー反射、メンデル・ベヒテレフ反射、Babinski反射、
 バビンスキ反射の変法:Chaddock反射、オッペンハイム反射、ゴルドン反射、シェーファー反射、 ゴンダ反射、ストランスキー反射
・クローヌス(間代):膝クローヌス、足クローヌス(偽性間代も一側性であれば錐体路障害)
・緊張性足底反射:前頭葉障害
・マイヤー反射、ルリー徴候:正常で起こるべき反射がみられないときに陽性。錐体路障害の一徴候。
・マリー・フォア反射:錐体路障害を示す病的短縮反射
・病的反射のなかで最も利用されるBabinski反射は錐体路障害があることを示唆する重要な所見である。

記録:陽性(+)、疑わしい(±)、陰性(-)

障害部位 AREA4 AREA6 AREA4+6
運動障害 完全片麻痺
isolated movementの障害
不完全片麻痺
skilled movementの障害
片麻痺の増強
痙性 - + ++
弛緩性 + - -
腱反射 減弱 中等度亢進 著明に亢進
バビンスキー
 母趾現象
 開扇現象

+
-

-
+

+
+
ロッソリーモ反射 - + +

 

「クローヌス(間代)」

・深部腱反射が亢進したときにみられる現象(偽性間代も一側性であれば錐体路障害)。

 膝クローヌス(膝蓋腱反射の亢進)、足クローヌス(アキレス腱反射の亢進)がある。

 痙縮があると観察されること有る。

・γ遠心系のインパルス発射が強まっている状態。
 伸張反射ー逆転伸張反射という継起現象がこの現象の一因でありうる。

「神経疾患にみられる反射異常」

 

 

錐体路障害 末梢神経障害 ヒステリー性障害
バビンスキー反射陽性 全ての反射減弱、または消失 病的反射陰性
深部腱反射亢進 病的反射陰性 深部腱反射両側亢進
腹壁反射減弱   腹壁反射亢進