発足前からこれだけケチが付くのも珍しい 石破さんには悪いがこの内閣は長く持たない予感

 
 総裁選の時、石破は解散時期について「早ければ早い方がいい。でも、ご判断いただく材料は整えたい」「国民に判断していただける材料を提供するのが、新しい首相の責任だ。本当のやりとりは予算委員会だと思う」と明言していた。野党と論戦をかわしてから、解散するとしていた。

 なのに、野党から追及されることを恐れ、約束した予算委員会も開かず、総理就任後わずか8日で解散してしまうのだから、さすがに国民の多くは「話が違うじゃないか」と、不信を強めているに違いない。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)がこう言う。

 「石破さんの国民人気が高かったのは、常に『正論』を唱え、筋を通す政治家だとみられていたからでしょう。どこか不器用で策も弄しないタイプだった。ところが、トップに就いた途端、変節し、党利党略で動いている。国民は『石破、おまえもか!』という気分だと思う。選挙は相手次第ですが、石破さんの、この変節は明らかにマイナスでしょう。石破さんの良さが消えてしまった。それでなくても、裏金事件と統一教会問題を抱えた自民党には、逆風が吹いている。石破さんは、裏金議員の公認について『徹底的に議論する』としていたが、もう公認を再検討する時間もないのではないか。世論調査では、裏金議員の公認を8割が『納得できない』としています。このまま公認したら、それも逆風になりますよ。世論調査では、石破首相に『期待する』52%、野田党首に『期待する』49%と拮抗しています」

 自民党議員は「選挙が1週間遅れるごとに自民は15議席減る」と、早期解散の大合唱だったが、この早期解散は、自民党のクビを絞めることになってもおかしくない。
 

自民、「裏金議員」原則公認へ 衆院選で比例重複も容認、首相方針

 

総裁選にあたり「国民の審判を受けるにふさわしい候補者か、党として責任を持つ」と述べ非公認の可能性に言及していたが、ここでも手のひら返し。
「裏金議員」はもとより、自民党ぐるみの組織的犯罪が問われている。

 

内田樹さん

「政治とカネ」という問題設定そのものが作為的ですね。あれは「自民党とカネ」の問題であって、自民党がどれほどでたらめでも、それを「政治一般」に対する絶望や幻滅に結びつけるべきではありません。でも、メディアは(左右問わず)「政治に絶望しろ」と訴え続けました。

「政治に絶望する」というのは有権者が「自分には政策決定に関与する権利がない」という無力感に慣れるということ、要するに「現状肯定」に同意するということです。メディアの責務は「出来るだけ多くの有権者が政策決定に関与できるように支援する」ことのはずです。その使命を果たしていますか?

 

 

 

内田樹さん
東京新聞から電話取材。石破新政権の評価について。総裁選のときは若干期待もありましたが、やはり簡単に食言しましたね。でも、この「変節」には合理性があるんです。安倍菅岸田過去12年の自民党は6回の選挙ですべて勝ちましたが、その理由は「有権者の期待を一顧だにしなかった」からです。
その結果の低投票率で、手堅い集票基盤を持つ自民党が勝ち続けた。だから、「政治にうんざりさせる」ことが必要なんです。さいわい日本のメディアは有権者が「政治にうんざりするように」仕向けることにはたいへん熱心なので、メディアからのこの側面支援もあって、自民党は勝ち続けております。
今回の石破さんの「てのひら返し」も、一瞬期待した有権者たちががっかりして次の選挙では投票する気になれないように仕向けるための作為的な裏切りです。「ああ、石破もやっぱりダメだったか・・・」と思わせることが自民党必勝の布石なわけですから。

 

 
 石破茂首相(自民党総裁)は、派閥の裏金事件で処分を受けた議員らについて、次期衆院選で原則公認する方針を固めた。都道府県連の申請を受けて公認していく考えで、比例重複も認める。首相は6日にも、事件の中心だった安倍派幹部らから状況を聞くことを検討している。

 首相は9日に衆院を解散し、15日公示、27日投開票の日程で総選挙を行う意向を表明済み。一方、公認問題については総裁選の中で「ふさわしい候補者か、党として責任を持たなければならない」とし、公認しない可能性も示唆していた。

 だが、総裁就任後は連立を組む公明党からの要請もあり、最速日程での衆院選を決断。公認手続きを急ぐ中、「裏金議員」は非公認としたうえで新たな候補を擁立する時間的余裕はなく、妥協する方向へ傾いたようだ。

 党は4月、政治資金収支報告書への不記載があった39人を処分。うち34人が8段階中4番目の「選挙における非公認」より軽い処分だった。こうした経緯から、公認問題を蒸し返すことに反対する声が党内に根強くあり、首相が押し切られた面もある。

 だが、裏金問題の対応は国民の理解を得られていない。朝日新聞が1、2日に実施した世論調査(電話)では、実態解明を「進めるべきだ」と答えた人が75%だったのに対し、「その必要はない」は15%だった。

 首相は1日の就任会見で「国民が納得したという状況にはない」とした上で、「どうすればもう起こらないかの認識をきちんと伺いたい」とも述べていた。6日にも安倍派幹部らと面会し、直接確認したい考えだ。

 党執行部も「裏金議員」の公認や比例重複を原則認める方向。その際、再発防止策を講じる誓約書を提出させる。野党側では立憲民主党を中心に、「裏金議員」の選挙区について候補を一本化する案が浮上している。

 

マイナ保険証への一本化、林芳正官房長官も「変更ございません」 厚労相らに続いて…不安の払拭どうする?

 
 
結局、林氏が見直しに言及したのは総裁選の最中のみ。岸田政権でも石破政権でも、検討した形跡すら見えない。
「法律で決まっている」というが、臨時国会で法改正せよ。
 
 
現行の健康保険証の新規発行を12月2日で廃止し、マイナ保険証に一本化する政府方針について、石破内閣で留任した林芳正官房長官は3日、記者会見で「方針に変更はございません」と述べた。平将明デジタル相、福岡資麿厚生労働相に続いて、従来の廃止方針を堅持していく考えを明らかにした。
 
9月の自民党総裁選では、石破茂新首相も、林氏も、保険証廃止の見直しに一時、言及していた。「手のひら返し」との批判の声が上がる中で、語ったこととは。(マイナ保険証取材班)
 
◆「終了が法令で定められており…」
林氏は3日午前、記者から「石破内閣として、12月の一本化を目指す方針でいいのか。あと2カ月しかない中で、どのようにしてマイナ保険証への国民の理解を得る考えか」と問われた。
 
林氏は、マイナ保険証で受診歴、薬剤情報を確認できる仕組みの活用を医療現場や救急搬送で進めていくことを例に挙げ、「国民の皆様にメリットがある。1人でも多くの国民の皆様にマイナ保険証をご利用いただくことが重要と考えている」と説明。
その上で、「現行の健康保険証の新規発行は本年12月2日に終了することが法令で定められており、この方針に変更はございません」と明言した。
 
◆石破首相、廃止前提で厚労相に対応指示
林氏は、石破氏が厚労相に就任した福岡氏に「保険証の新規発行の終了をめぐる一つ一つの不安に丁寧に対応するということが重要だ」と、現行保険証の12月廃止を前提とした指示を行ったことも語った。
 
ただ、国民からは今も、現行保険証の廃止への不安の声が多く聞こえてくる。
 
林氏自身も、9月の総裁選に出馬した際、「不安の声があるので、それを払拭して、皆さん納得の上でスムーズに移行してもらうための必要な検討をしたい」と述べていた。
 
この記者会見では、「不安払拭のための取り組みをしっかりと進めていく」と語り、廃止時期の見直しに言及することはなかった。
 
◆医療機関の7割、トラブル経験
全国保険医団体連合会(保団連)が公表したマイナ保険証に関するトラブルの最新の調査結果によると、回答した医療機関の約7割が5~8月にトラブルを経験していた。
 
マイナ保険証を読み取るカードリーダーの不具合などが多かった。マイナカードの電子証明書の有効期限切れによって、マイナ保険証として使えなくなっていたケースも相次いで報告された。
 
多くの医療機関は、現行の保険証を確認して、トラブルをしのいでいた。
 
こうした状況を背景に、保険証のように使える「資格確認書」での受診を希望し、マイナ保険証の利用登録解除を予定している人たちもいる。政府は10月末をめどに解除申請の受け付けを始める方針だが、開始日などの詳細は公表されていない。