岸田首相を総裁選不出馬に追い込んだ自民党の各派閥の裏金問題は、しんぶん赤旗日曜版

 

三浦誠・赤旗社会部長
自民党派閥の裏金は、「しんぶん赤旗」日曜版が2022年11月6日号でスクープしました。
「朝日」が自民裏金報道で新聞協会賞とのことですが、「赤旗」から1年以上遅れた23年12月に出しています。しかも東京地検特捜部の動きをうけた記事です。

 


 

「人の褌で相撲を取るな」っていう思いです。しんぶん赤旗の読者として赤旗に記者は全く忖度無しの記事を書き続けています。緻密な調査によってスクープ大手新聞社に負けていません。昨日毎日新聞がスクープをしたとき、共産党に議員は賛頌を送っています。

読者に本物の記事が届くのは嬉しいのですが、そこはきちんととしたルールーが必要です。

 

笹川神由記者

 

上脇博之教授

 


 笹川神由記者の2022年6月の調査報道からはじまり、赤旗と共に正月返上で調査を進めた神戸学院大学の上脇博之教授

 による刑事告発を下に東京地検特捜部が動きだしたことから始まった。

朝日新聞は、今回、新聞協会賞を受賞した経緯について「捜査の単著は、『しんぶん赤旗』の報道に基づく告発(最終的に不起訴)によるもので、自民党の5派閥でパーティー券の集計ミスがあるというもの」と、告発を続けた上脇教授の名前さえ出していない。

特捜部が動く前からコツコツと調査報道の取材を重ねてきた赤旗の笹川記者や山田健介デスク、刑事告発をした上脇教授へのリスペクトが記事からは全く感じられず、とても酷いなと思った。

特捜部が動き出したことを知って以降の朝日新聞の記者やデスクが奮闘してきたことは素晴らしいことだが、これまで東京地検特捜部のネタで、新聞協会賞を与え続けてきた日本の当局取材一辺倒の「慣習」は、もう時代にあわないとつくづく感じる。

かつて日本歯科医師連盟の闇献金問題で、特捜部の動きを取材し書き続け、東京新聞として新聞協会賞を申請した際、取材班の1人として名前を連ねた自分自身の過去を省みてもそう思う。

当局からのリークに頼り切った事件報道、それに対する形ばかりの新聞協会賞のありようは時代とともに変わらなければいけない。今回の新聞協会賞を受け取るべきは、朝日新聞取材班ではなく、赤旗の笹川記者や山田デスクであるべきだった。

笹川記者のように自民党全体の裏金づくりの経緯をしっかり抑えていれば、安倍派が特別に悪質だということではなく、自民党の元宿仁・永世事務総長を頂点とする地方組織も含めた自民党全体の裏金作りが問題の本質だということかわかるはずだ。  

しかし、朝日新聞の報道では「(自分たちの取材の結果)見えてきたのは、告発内容とは別次元の安倍派による巨額の裏金作りだ」などとなっている。

結果、岸田首相が派閥解体や派閥パーティー禁止の方針を打ち出した際、政治部も含めて、朝日新聞をはじめとするマスメディアの報道は政局の話に集中していった。

朝日新聞の記事を読むといかに特捜部のストーリーに沿った取材展開しかできていなかったかが分かる。現に毎日新聞の2024年9月2日のスクープでは、麻生派も全く同じ手法で派閥のパーティー券収入を所属議員にキックバックしていたかが報じられ、問題の本質は安倍派だけということでは全くないことは明らかだ。

今回、特捜部が立件の可否判断に「3000万円」というハードルを課し、2728万円が不記載の萩生田光一前政調会長や2403万円の不記載の山谷ゆり子参院議員らを軒並み不起訴にしたことへの批判も弱く、当局取材に寄りすぎていることの弊害が出ていると思う。

朝日新聞の新聞協会賞受賞の記事を読むにつけ、新聞にとって本来やるべき調査報道とは何かということを根底から問い直していくことが必要と感じる。

政治部はじめ、捜査当局や官邸、永田町に張り付くことを主とした記者クラブ制度の中での取材のありようも、そして新聞協会賞のありようも今後は、もっと見直されていくべきだと思う。

https://digital.asahi.com/sp/articles/ASS931HGCS93UTIL019M.html↓の朝日新聞社の記事(朝日新聞社が自民裏金報道で新聞協会賞 新編集システムで技術賞も)

朝日新聞の上記記事に関わった記者やデスクには、笹川記者と山田デスクの安倍派に限ったわけではない自民党裏金の本質に迫るArc Timesでの指摘を是非聞いてほしい→ 

 

 


しんぶん赤旗日曜版の山本豊彦編集長も同様の観点から自民党の裏金作りの本質について指摘している→ 

 

 

 

 

朝日新聞社が自民裏金報道で新聞協会賞 新編集システムで技術賞も

 
 日本新聞協会は4日、優れた報道に贈られる2024年度の新聞協会賞を発表し、朝日新聞社の「自民党派閥の裏金問題をめぐる一連のスクープと関連報道」(自民党派閥裏金問題取材班)が選ばれた。さらに、ほかの新聞社にも汎用(はんよう)できる本社と北海道新聞社、富士通が共同開発した「統合編集システム(愛称marche(マルシェ))」が新聞技術賞を受賞した。10月16日に秋田市で開かれる新聞大会で授賞式がある。
 
朝日新聞は23年12月1日付朝刊1面トップで「安倍派 裏金1億円超か パー券不記載 立件視野 ノルマ超分 議員に還流 東京地検特捜部」と特報。自民最大派閥の安倍派が政治資金パーティー収入を裏金化して所属議員に還流し続けていた疑いを明らかにした。松野博一官房長官(当時)ら同派幹部が裏金を受け取っていたことなども独自に報じ、還流システムができた経緯や政治資金規正法の構造的欠陥なども指摘した。
 
 新聞協会の授賞理由は「政治とカネを巡る構造を多角的に掘り下げ、裏金問題の解明を終始リードし社会に強いインパクトを与えた」。そのうえで「自民党の派閥解体や政治資金規正法の改正などの流れに大きな影響を及ぼし、権力監視の役割を果たした」と評した。

 マルシェの開発については「他社への展開も期待でき、新聞界のDX化を推進する技術として高く評価される」とした。その他の受賞は次の通り。

 【新聞協会賞】中日新聞社 福祉事業会社「恵」の不正に関するスクープと、一連の報道▽北國新聞社 能登半島地震「珠洲市街地に押し寄せる津波、輪島朝市通り炎上」のスクープ写真▽神戸新聞社 連載企画「里へ 人と自然のものがたり」▽日本経済新聞社 OSINTと3D表現技術による新たなデジタル報道手法の開拓▽京都新聞社 京都アニメーション放火殺人事件連載企画「理由」と公判報道

 【新聞経営賞】西日本新聞社 脳活新聞プロジェクト