知事選の推薦取り消し上申へ 維新長崎県総支部、大石知事巡る疑惑で

 
 
 長崎県の大石賢吾知事が県建設業協会に自身の後援会員集めを繰り返し依頼していたとされる問題などを巡り、日本維新の会県総支部は26日開いた役員会で、2022年知事選の推薦取り消しや大石氏との関係の見直しを党本部へ上申する方針を決めた。
 
 役員会は非公開。山田博司幹事長によると、医療団体の寄付計286万円が大石氏側へ流れた「迂回(うかい)献金」疑惑を含め「企業・団体献金の受け取りを禁止する維新の考えに反する」との指摘があった。推薦を取り消して関係を解消するよう要望が上がり、党本部に対応を求めることを確認した。
 
 大石氏側は県が同協会の陳情を受けて公共工事の最低制限価格を引き上げた後の23年秋以降、同協会長に後援会員集めを繰り返し要求したとされ、識者から「陳情実現の報酬を求めたと誤解を生む」と問題視されている。
 
 大石氏は知事選時に維新と政策協定を締結し推薦を受けていた。
 
 

永原譲二大任町長がハンターに損害賠償請求|「企業舎弟だった事実はない」との主張だが・・・

 
指定暴力団「太州会」の企業舎弟から町長にのし上がった永原譲二大任町長が、「企業舎弟だった事実はない」「町長就任後に太州会と密接な関係を有してきた事実はない」としてニュースサイト「ハンター」の運営会社と代表者である筆者を提訴した。名誉棄損に対する損害賠償として現金330万円、対象記事の一部を削除した上で、1年間謝罪広告を掲載しろという内容。訴訟物価格は970万円となっている。
 
 
2022年から永原氏の暴力支配を追及する記事を配信し続けてきたが、今頃になって名誉棄損を主張するというのには理由があるはず。背景にあるのは……。

■来年春の町長選挙
唐突な提訴の背景にあるのは、永原氏の嘘やでっち上げを次々に暴いてきた本サイトへの報復感情と、来年春に予定される町長選挙への怯えだろう。

これまでハンターは、永原氏の指示による違法な入札結果非公開や、巨額な公費が投入されるごみ処理3施設(「大任町ごみ処理施設」「汚泥再生処理センター(田川地区クリーンセンター)」「大任町一般廃棄物最終処分場浸出水処理施設」)建設工事を巡る疑惑、ペーパー業者と側近企業による町発注工事の独占状況などを詳細に報じてきた。
 
【参考】
・大任町ごみ処理施設整備工事:契約金額220億円
・汚泥再生処理(*し尿処理)センター整備工事:契約金額89億8,560万円
・大任町一般廃棄物最終処分場浸出水処理施設整備工事:36億円

いずれも政治家にとっては命取りになりかねない問題で、特に田川市・郡の8自治体で構成する「田川郡東部環境衛生施設組合」(組合長:永原譲二大任町長)が整備を進めるごみ処理3施設については、町長が「積算書なんて全国どこ探してもない」と強弁して隠蔽を図ってきた積算書の存在をハンターが明らかにするなど、永原氏は追い詰められた状態だ。3施設の工事契約額は約350億円。本体工事に含まれない周辺整備などを入れると費消される血税は400億円を軽く超える計算で、そこに不正があれば、とんでもない裏金が動いた可能性さえある。

永原氏にとって一番の打撃となっているのは、「ない」と主張してきた積算書のうち、し尿処理施設に関する業者提出の積算文書が見つかってしまったことだろう。「行政が作成した積算文書はない」と言い逃れしようとしたが、現在は「あれは積算書ではなく設計内訳明細書だ」との主張に変わっている。ハンターの情報公開請求に応じて積算書を開示した福岡県に抗議したという情報もあるが、どれだけ逃げ道を探しても、しょせんは無駄なあがき。どこの業者に聞いても「これは積算書」と太鼓判を押す。そもそも、大任町から問題の文書の提出を受けた県が、ハンターの記者や同時に開示請求を行っていた複数の市議、町議らの前で「積算書であると認められる」と明言しているのだから結論は出ている。

受注するだけで実際の工事には手を付けないペーパー業者や側近企業を集めた談合組織「田川政策研究会」のメンバーに町発注工事を独占させるなど、やりたい放題を続けてきた永原町長。彼が発覚を恐れているのは、血税収奪の仕組みが暴かれることだ。不都合な真実を隠そうとした町長は2021年9月、「何人」も請求可能だった町の情報公開条例を「町内在住1年以上」と改悪し、町外からの請求をシャットアウト。ごみ処理関連施設整備をはじめとする町発注工事の実態を隠蔽したが、厳しい批判に晒され昨年9月に元に戻すという失態を演じている。

最近では、田川市・郡で長く続いてきた、し尿処理業者の区割りを勝手に変更。ハンターは、一方的な区割り変更に正当性がないことや、許可権をたてに一部業者を排除するなど独裁的なし尿処理行政に走った永原氏の責任を追及していた。

こうした永原氏の強権的な政治手法の後ろに見え隠れしてきたのが指定暴力団「太州会」の存在だった。ここで、永原氏の今日までの足跡を振り返っておきたい。

 
永原氏の妻は、田川市で市議会議長を務めていた二場武氏の娘。武氏は、筑豊のヤクザ組織「二場組」の初代組長で後に市議に転身した人物だ。太州会の代紋は、太田州春初代会長の「州」と、二場家の「二」などが図案化されたものだという。永原氏の周辺には、早い時期から太州会の影がチラついていたと見ることが可能だ。

下は、本サイトが独自に入手し、配信記事の中で紹介してきた写真である。上の表の赤字で示した2000年(平成12年)の秋頃、田川郡内のゴルフ場で行われた指定暴力団「太州会」のゴルフコンペ始球式で、大馬雷太郎三代目会長らと笑顔でクラブを振っているのは、当時三代目太州会において「企業舎弟」トップの地位にいた永原譲二氏だった。堅気(かたぎ)の人間にできるマネではあるまい。
 
 
「企業舎弟だった事実はない」「町長就任後に太州会と密接な関係を有してきた事実はない」としてハンターを訴えた永原氏。当方が負ける裁判ではないと断言しておくが、貧乏所帯のハンターにとっては明らかな「スラップ訴訟」だ。しかし、法廷で配信記事の正当性を証明するための証拠や証言はいくらでもある。もちろん、和解という選択肢はない。永原氏が負けた場合、「企業舎弟」であったことが公的に証明されることになる。その場合、永原町長はどう責任をとるのだろう。

来年春に行われる町長選挙に出馬するとみられている永原氏が最も恐れているのは、町政刷新を掲げる候補者に敗れることではないか。昨年6月、福岡県町村会の会長選挙で、予想外の敗北を喫した同氏は、かつて町長選で負けた時のことを思い出したはずだ。

6期目を目指す過程で、前回の選挙まではなかった「元企業舎弟」の悪名がついて回ることは何としても避けたいことだろう。そのためのスラップ訴訟だと考えると、今頃になってハンターを訴えたことに合点がいく。

法廷で、永原氏側がどのような言い訳をするのか、楽しみである。

(中願寺純則)


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